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シドニー発豪ドル見通し(9 April 2018)

<主なイベント・日程>

4/9(月)日本2月国際収支、IMF世界経済見通し
10(火)米3月PPI、ダラス連銀総裁講演
11(水)中国3月CPI・PPI、米3月CPI、FOMC議事録、北朝鮮最高人民会議開催
12(木)米3月輸入物価、新規失業保険申請件数、ミネアポリス連銀総裁講演 13(金)中国3月貿易収支、地区連銀総裁講演(ダラス連銀、ボストン連銀、セントイス連銀))

<マーケットの焦点>

先週、各国の株価はまちまちの動き。
前週末比NYKダウはやや軟調、日経平均はやや堅調、独DAXや英ALL ORSはやや堅調、中国上海総合指数はやや軟調といったところ。 ドルインデックスは前週末の89.75から89.82にわずかに上昇し、ドル円は前週末の106円台前半から、一時107円台半ばに上昇し、106円台後半でクローズしています。
引き続き米中貿易摩擦が最大の材料でしたが、米国は追加措置として中国の知的財産権侵害に対して1,300品目、500億ドル相当に25%の関税措置を検討と発表し、中国は報復措置として大豆、航空機、自動車など500億ドル相当、106品目への課税措置を発表。 トランプ大統領はその額を後ほど1,000億ドルに引き上げています。
ただトランプ大統領は「中国と貿易戦争をしているのではない」と発言し、中国外務省も「通商交渉の門戸は引き続き開かれている」と発言するなど、水面下の交渉を示唆しています。
ただ先週発表された2月の米貿易収支は576億ドルの赤字と2008年以降の最大の赤字を記録し、中国は347億ドルで最大の赤字。対OPEC赤字が223億ドル、対メキシコ66億ドル、対日60億ドルなどで、トランプ政権にとっては引き続き許容しがたい内容でした。
米中貿易摩擦については両国交渉によって貿易戦争勃発は回避されるとの楽観的な見方あり、先週もリスク選好の動きに株価買戻し→ドル円上昇局面がありました。
ただ、トランプ政権は11月の中間選挙を控えて選挙公約である貿易赤字の大幅削減を投げ出すわけにはいかず、中国は報復の手を緩めないとあって、米中貿易摩擦も簡単には解決できないでしょう。
むしろトランプ政権は厳しい排ガス規制などで自動車輸入規制の強化を検討中であり、対日赤字の最大が自動車輸入であることから、日本に対する風当たりが強まる可能性があります。
また日本国内政局でも、財務省文書問題に加えて防衛相の文書隠ぺい問題も新たに発覚しており、安倍政権に対する逆風は収まらないでしょう。 アベノミクスの弱体化=株安・円高の反応が予想されます。今朝のニュースでは安倍政権の支持率は40.0%まで落ち、不支持率が58.4%と大きく支持率を上回っています。
先週高まった株高・円安の動きは金曜日の予想を下回る米雇用統計後、NYKダウ大幅下落(一時700ドルを超え、572ドル下落で引け)で円買戻しが顕著となりました。 最近の相場はリスク材料で円買い→材料織り込みで円売り戻しの繰り返しですが、ドル円が上昇トレンドに転換したとは考えていません。 次のリスク材料が浮上すれば再度株価下落・円高に振れる可能性があると思われます。

今週も引き続き米中貿易摩擦問題や日本への波及の可能性が注目されます。 また6月米利上げが確実視されますが、水曜日に発表される米国3月CPIもその裏付け材料として重要でしょう。
政治的イベントとしては4/17と日米首脳会談と4/27の南北会談がそろそろ意識されます。

<豪ドルマーケット>

今週の豪ドルは引き続き76-77セント、81-82円台中心の揉み合い相場でしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7651-0.7725 AUDYEN 80.82-82.65

今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7600-0.7800  AUDYEN 80.00-83.00

先週豪ドルは一時77セント台前半、82円台半ばをテストするなど前週までの下値圧力が後退しました。
発表された2月小売売上高が+0.6%(予想+0.3%、前回+0.1%)と強い数字となり、一方2月貿易収支は+825mioと黒字を継続したことも好感されました。 また米中貿易摩擦懸念がやや後退したことも豪ドルをサポートしました。 RBA理事会では20か月連続の金利据え置きとなり、「低金利が引き続き豪経済をサポートする」、「インフレは当面低水準」と緩和基調継続が表明されました。 現在金利先物市場では25bpの利上げの100%織り込み時期は来年の8月まで後退しています。
今後の米中貿易摩擦の成り行きが最大の関心事ですが、中国が豪州の最大の貿易相手国であるばかりか、リスク要因として株式市場の先行きにも直結した問題です。
悪材料としてかなり織り込んでいる一方、結果次第ではまだ予断を許さない状況に変わりがありません。
先週も主要国の株価は乱高下しましたが、この不安定な状況は今週も継続し、豪ドルもアップ&ダウンするでしょう。

 

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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