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今週の豪ドル見通し(18 June 2018)

<主なイベント>

6/18(月)日本5月貿易収支、上海・香港は休場、ECB主催フォーラム(~20日、ポルトガル・シントラ、ドラギ総裁講演)
19(火)メルカリ東証マザーズ上場、ドラギ総裁講演、米5月住宅着工件数、セントルイス連銀総裁討論会出席
20(水)日銀議事録、米5月中古住宅販売、中銀会合(タイ、フィリピン、ブラジル)、ECBパネルディスカッション―ドラギ総裁、パウエル議長、黒田総裁、ロウ総裁
21(木)BOE理事会(カーニーBOE総裁講演)、 米5月景気先行指数、ユーロ圏財務相会合、ユーロ圏財務相会合、FRB銀行のストレステスト結果発表
22(金)日本5月CPI、独・ユーロ圏6月製造豪PMI、EU財務相理事会、OPEC総会

<マーケットの焦点>

先週は前週の米朝会談の後を受けてFOMCとECB理事会が市場の焦点となりました。
また米中通商摩擦の激化も注目されたところです。 米国政府は約1,100品目、500億ドル相当の中国輸入品に対する関税を決定し、7/6に第一弾を発効すること発表しました。
これに対して中国は即500億ドルの報復関税を7/6から開始する旨発表しています。
注目のFOMCでは予想通りに今年2回目の利上げが発表されFF金利の誘導目標は1.7500-2.00%となりましたが、スタッフ予想の平均値として年内あと2回の利上げが予想されるなどタカ派的な内容となり、直後は米債利回り上昇・ドル買いが活発化しました。
一方ECB理事会では予想通りに資産買い入れプログラムを年内に終了する旨発表されましたが、ドラギ総裁は「来年4-6月期まで弱い経済が続く可能性」、「利上げの時期は協議されなかった」などFRBとは逆にハト派的内容となり、ユーロは先週1.18台から1.15台に大きく下落しています。
先週ドルは全般的に上昇し、FOMC後はドル円も一時110円台後半まで上昇しましたが、米中貿易摩擦に加えて、ポンペオ米国務長官が「北朝鮮の非核化が完了するのはトランプ政権の任期が終わる2021年頃」と発言し、非核化の遅れが指摘されたことから週末にかけてドルは対主要通貨でやや反落しました。
今週は本日から20日までポルトガルのシントラでECB主催のフォーラムが予定され、ドラギ総裁、パウエル議長、黒田総裁、ロウRBA総裁などパネルディスカッションに出席し注目されます。
特に日欧米三極の景況感については米国のみが強気の見通しを、日欧は引き続き慎重なスタンスを取ることが予想されますが、これはドル堅調要因と言えます。
ただ先週のFOMCがタカ派的である一方、「政策金利は目標としている水準に比較的早く到達する」とも述べており、来年以降利上げのペースが鈍化するとの観測が出ています。
また先週は米中の輸入関税合戦となり再び貿易戦争の様相ですが、保護主義問題の激化は世界経済に悪影響を与えるリスク要因であることは明白で、ドル円の上伸を阻むでしょう。
このように米朝会談、FOMC・ECB理事会という大きなイベントは終了しましたが、今週もそれなりに注目材料は多く、米株式市場や米債利回り動向を見ながら神経質な相場展開となりそうです。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―OPEC総会を見据えて神経質な展開でしょう

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7439-0.7623 AUDYEN 82.27-84.16 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7350-0.7550 AUDYEN 81.50-84.50

 

先週の豪ドルは米朝会談後のリスク選好の動きも一服で、むしろ今週金曜日のOPEC総会における増産決定の可能性から原油はじめ商品相場が軟調推移したことや、5月以降続く新興国通貨の下落を嫌気して対ドルで年初来の安値水準に下落し、対円でもドル円の堅調を豪ドルドルの下落が上回る形で82円台前半に下落しました。
今週のOPEC総会では年末までの減産体制維持への期待がある一方、ロシアなどの非OPEC諸国の増産にフォローする形で減産体制がなし崩しになることを懸念する見方もあります。
また米中貿易摩擦の悪化も豪ドルの悪材料と言えるでしょう。
豪ドルを取り巻く環境は依然として厳しいですが、OPEC総会が減産体制を維持する場合には、豪ドル売られ過ぎ状態の調整が入る可能性もあります。
米朝会談以降市場のリスク許容度は増加しており、一方的に豪ドルが続落する可能性も少ないものと思われます。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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