「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣) ...
21 October 2024 ◎<ポイント> ―150円台定着は容易ではなく、、、― ・今週の予想レンジ:148.00-152.00 先週のレンジ…
8/27月) 独8月ifo景況感指数、英国市場休場
28(火)米8月消費者信頼感、米6月ケースシラー住宅価格指数
29(水)米Q2GDP改定値、米Q2PCEコアデフレーター、米7月中古住宅販売成約指数
30(木)豪州7月住宅建設許可件数、米7月個人所得・支出
31(金)日本7月雇用統計、中国8月製造業PMI
先週は米中通商協議やFOMC議事録、ジャクソンホール・シンポジウムなどのイベントが重なり注目の週となった。
トルコ情勢一服、そして米中協議においても妥協案が出るのではとの楽観論も聞かれ、主要国の株価は上昇し(米ナスダックは史上高値更新!)、前週売られていたユーロやポンドなどの欧州通貨が買い戻され、リスク選好ムードでドル円も111円台に反発した。
ただ週初はトランプ大統領の発言、つまり「利上げに対する不満や、中国や欧州は為替操作をしているとの発言」をロイター通信が再度伝えドルが軟化する局面も。
またトルコ情勢は一服だが、週末には非核化の進展が不十分としてトランプ大統領が今週のポンペオ国務長官の訪朝中止を発表。 米中通商協議(今回は次官級会議)も目立った進展ないまま、23日には米中双方への160億ドル相当への25%追加関税が発動された。
またFOMC議事録やパウエル議長の講演などでは米国経済や米利上げに対する前向きな発言が期待されたが、むしろFRBの慎重姿勢が印象的であった。
つまりFOMC議事録では「貿易、住宅、新興国市場が下振れリスク」と指摘されたし、「金利はニュートラルにより近付きつつある」と述べ、「イールドカーブのフラット化についての協議に時間が割かれた」との述べている。
―イールドカーブのフラット化はインフレ期待の後退を意味する― 一方トランプ大統領のパウエル批判(利上げ批判)を受けてのパウエルFRB議長の講演が注目されたが、同議長は「力強い成長が続けば漸進的な利上げが適切、力強い経済が続く十分な根拠がある」と発言する一方、「インフレが2%を超えて加速する明らかな兆候はなく、経済の加速リスクは高まっていない」と慎重なスタンスを示しており、まさかトランプ大統領に迎合した訳ではないだろうが、意外感を与えた。
このようにややハト派的なFRB関連の発言を好感して主要国の株価は上昇したが、一方力強さを欠いた利上げ観測を受けてドルが軟化し欧州通貨が反発した。
今週は先週と異なり大きなイベントはないが、水曜日に発表される米国Q2GDP(改定値)が注目される。予想は非常に強かった速報値(前期比年率+4.1%)から+4.0%にやや下方修正となているが、米国のGDP改定値はブレが大きいことでも有名である。
以前指摘したがトランプ政策は税制改革など一発で決まることは例外であり、移民政策、通商政策、ロシア問題などほとんど全て就任以来、“引っ掻き回して結論出ず”の状態だ。
むしろ、問題の解決を意図的に長引かせて、11月の中間選挙に向けて都合のいいように、個々の問題を引っ張り出して自分のプレゼンスを高めようしているようにすら感じる。
平素より「米国の金利格差・景気格差からドル上昇の可能性はあるが、多くのトランプ懸案事項はいまだ未解決であり、ネガティブファクターとして意識する必要がある」と述べている。
この前提の中で上記のようにFRBの引き締め姿勢にブレーキがかかりつつあるのであれば、最大のドル買い要因が後退することになる。
足元の豪ドル相場―底堅い推移か
先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7237-0.7382 AUDYEN 80.57-81.70 今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7200-0.7400 AUDYEN 80.00-83.00
先週豪ドルはターンブル政権の支持率低下と政局混迷を嫌気して72セント台前半、80円台半ばに下落したが、金曜日にモリソン財務相が新首相に決定したことで政局不安があく抜けし、73セント台前半、81円台半ばまで反発している。
トルコ情勢、米中摩擦ともに解決には至っていないがやや一服感が出つつあり、主要国の株価が持ち直していることも豪ドルをサポート。
また米国のイラン制裁を控えて、イラン原油の生産減の観測から原油が68ドル台に反発するなど、商品相場が総じて堅調であることも好感されている。
ただ8月以来内外の悪材料を受けて極端に売られ過ぎ状態であった豪ドルの買戻しが活発化した状況であり、“ショートカバー”一巡後は上値追いとはならないだろう。
米中摩擦や欧州情勢、新興国不安などの根本原因が解決とは程遠く、豪ドルの反発も一時的なものに留まる可能性がある。
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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
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