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今週の相場見通し(7 January 2019)

“新年明けましておめでとうございます。  本年も宜しく願いいたします!” 

<主なイベント>

1/7(月)米中通商協議開始、米12月ISM非製造業景気指数、米11月耐久財受注
8(火)豪州11月貿易収支、米11月貿易収支
9(水)豪州11月住宅建設許可件数、ユーロ圏11月失業率、FOMC議事録、カナダ中銀理事会、FOMC議事録
10(木)黒田日銀総裁発言、中国12月CPI・PPI、パウエルFRB議長発言、FOMC議事録、米新規失業保険申請件数
11(金)豪州11月小売売上高、米12月CPI

 

<マーケットの焦点>

年初はアップルの業績悪化懸念から米株大幅下落で始まり、日経平均も2万円を大きく割り込むなど、悲観的ムードで新年がスタートした。
リスク回避の円買いが活発化しドル円は大みそかの109円台半ばから、3日の早朝(ニューヨーク引け後)一時104円台(一部FX業者では103円台が出合った?)まで急落した。
アップルの業績悪化の主因が中国での販売不振に起因したことや、年末・年始に発表された中国の12月製造業PMI(政府発表、財新共に)が節目の50を下回ったことも世界経済減速懸念を誘った。
ただパニック相場の立ち直りも速く、金曜日に発表された米国12月雇用統計が予想を上回った(特にNFPRは31.2万人増加!)ことも好感されて、NYダウは700ドル以上反発し、本日日経平均も一時700円を超えて反発するなど年初から乱高下を演じている。
ただ昨年末に指摘された不安材料に目立った改善はない。 むしろ米政府機関の閉鎖が長引く様相を呈しており、市場の不安心理を煽っている。 トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設で下院民主党と激しく対立し、壁予算の確保なしに暫定予算案への署名を拒否し続け、むしろ非常事態宣言をして大統領権限で壁建設費用の捻出を示唆している。
また上記アップルの業績悪化に見られるように米中摩擦が両国の経済に悪影響を与え始めていることは間違いのない事実であり、世界経済の先行きにも暗雲が立ち込める。 係る状況下、今週から米中通商次官級協議が始まる。
トランプ政権も両国摩擦が米経済に及ぼす影響を重視し始めており、両国の歩み寄りに対する楽観的な見方もある。 ただ両国摩擦は二大国の覇権争いを背景とするとの見方が一般的であり、貿易・通商関連での完全和解に至るとの見方は非現実的であろう。
また先週パウエルFRB議長発言があり、米経済に対する強気な見方、またFRBの(トランプ大統領からの)独立性を強く訴えていた。しかしながら12月のFOMCで今年の利上げ回数のコンセンサスが3回から2回に減るなど、FRB当局発言の中にも景気減速に対処すべく柔軟な金融政策を支持する声が高まっている。
今週も米11月貿易収支や12月CPIなど重要指標が発表されるが、米経済減速懸念が高まれば再びFRBの利上げ停止観測でドルが下落する可能性がある。 いやその前に米政府機関閉鎖が長引けば係る指標の発表もできない状況が続くことになる。
欧州でも年末年始にフランスでの反マクロン運動は依然激しいし、英国でも与党保守党内の過半数以上はメイ首相のEU離脱案に不賛成であり、むしろ“合意なき離脱”支持派が増えている。
係るりリスク要因渦巻く中、株価の反発、そしてドル円の反発余地も限定的であろう。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―売り買い交錯

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6716-0.7124 AUDYEN 71.26-78.50
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7000-0.7300 AUDYEN 75.00-80.00

 

年初の豪ドルは市場がリスク回避ムードでパニック相場となる中、1/3日早朝には豪ドルとドル円が狙い撃ちされ、瞬時に2009年2月以来の安値67セント台前半、2009年7月以来の71円台前半まで暴落した。
取引の過程でアルゴリズム発動などによるストップロス狙いの豪ドル売りを巻き込んだ参加者不在のシステム売買が相場を襲い、「リスク通貨豪ドル」が大幅に下落した。
しかし係るパニック相場が落ち着くに従い、主要国の株価回復に歩調を合わせて豪ドルも71セント台、77円台まで値を戻している。
上述のように昨年末に市場に立ち込めた不安材料が一気にはけ口を求めた形だが、不安材料に一向に回復の兆しは見られず、先週末からの豪ドル反発をもって豪ドルの最悪期は脱したと判断するのは時期尚早であろう。 まずは本日から始まる米中通商協議の成り行きを見守る必要があろう。 また今週は国内指標でも11月貿易収支、住宅建設許可、小売売上高などの重要指標が発表される。特に小売売上高は豪州の不冴えな個人消費が第三四半期GDP(予想を下回る+2.8%)の足を引っ張っただけに、注視する必要があろう。
米中通商協議が市場観測のように前進するのであれば豪ドルは反発する可能性があるが、両国の覇権争いが今後も続くことを勘案すれば、過度の楽観論は慎むべきかと考える。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


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詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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