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今週の相場見通し(21 January 2019)

<主なイベント>

1/21(月)中国Q4GDP、中国12月鉱工業生産・小売売上高、ユーロ圏財務相会合、IMF世界経済見通し、メイ首相EU離脱代替案呈示
22(火)独12月ZEW景況感指数、米12月中古住宅販売件数、ダボス会議
23(水)日本12月貿易収支、日銀政策会合
24(木)豪州12月雇用統計、独・ユーロ圏1月製造業PMI、ECB理事会
25(金)米12月耐久財受注、米12月新規住宅販売、独1月ifo景況感指数

 

<マーケットの焦点>

先週は主要国の株価堅調でリスク選好の動きが戻ってきた。
米中摩擦は月末の劉鶴副首相訪米に向けて話し合いが継続されているし、BrexitではEUとの離脱合意案は英議会で大差で否決されたものの、一気に“合意なき離脱”に突き進むという最悪シナリオはここまでのところ実現せず、交渉の延長も含めてまだ一縷の希望がある状況。
またトランプ大統領は週末に演説をし「57億ドルの国境の壁建設費用」を改めて要求したが、同時に幼少期に親とともに入国した不法移民の若者(ドリーマー)に対する保護を3年か延長する提案を行った。ただ民主党のペロシ下院議長はこの提案を拒否する意向。
今週も国境の壁問題を含むトランプ政権と民主党の攻防が一つのポイント。米政府機関の閉鎖は1ヵ月を上回っており、政府機関職員のみならず米経済にも影響を及ぼしつつある。
また米中摩擦は3/1の回答期限を前に両者の駆け引きが続くが、中国が対米赤字を大幅に削減させる方向で歩み寄りを見せるが、一方トランプ政権は国家安全保障上の理由から中国通信関連会社の業務を制限する準備をしているとも言われ、あまり楽観視はできない。
一方メイ首相は本日EU離脱協定修正案を議会に提出する予定であるが、議会が納得いくような修正案は見込み薄との見方が一般的だ。 むしろ完全にデッドロック状態の英国に対して、“合意なき離脱”はEUのためにも避けたいEU側に最大1年の離脱延期の声も上がっており、詰めの交渉が注目される。
このように依然として米政府機関閉鎖問題、米中摩擦、Brexitと昨年来のリスク要因にはかばかしい改善の兆しは見えないが、一旦最悪シナリオを描いた市場は、最悪の事態が避けられるのであれば”良しとする“風潮が芽生えているのも事実。
尚、本日中国のQ1GDPなど重要指標が発表になるが、(GDPは予想値6.4%、前回6.5%)、6.5%割れはリーマンショック後の最低水準に並ぶ。3月の全人代で今年の成長見通しを6.0-6.5%に下方修正するとの見方もあり、中国経済の減速懸念が新たなリスク要因として浮上する可能性にも留意したい。

 

<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―引き続き上値重い展開か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7147-0.7225 AUDYEN 77.56-79.11
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7000-0.7300 AUDYEN 76.00-80.00

 

年初の豪ドルは前週(年初)の暴落からは立ち直ったものの、高値72セント台前半、79円台前半を付けたあとは、買いもたれ感からやや軟調推移に転じた。
米中協議に対する期待感や、ハードBrexit懸念がやや和らぐなどリスク通貨豪ドルに対する売り圧力が若干後退した感がある。
ただ本日の中国Q1GDPの内容が気になるし、また米中摩擦も貿易関連だけではなくIT部門に波及するなど、依然として懸念材料であることに変わりはない。
また本日はIMFの世界経済見通しが発表されるが、前回(10月)には世界経済見通しを3.9%から3.7%に下方修正しており、今回更に下方修正される可能性がある。 もし連続下方修正されれば豪ドルにとり悪材材料となるだろう。
今週木曜日には豪州の12月雇用統計が発表される。
前回は就業者数が非常に強い+37千人、失業率5.1%であったが、12月の住宅価格の大幅下落など不安材料がある。
一旦買い戻し先行で反発した豪ドルであるが、買戻し一巡後は再び上値の重い展開が予想される。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


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詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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