「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)2...
23 September 2024 ◎<ポイント> ―先週のFOMC、BOJ会合終わって、ドル安・円安の様相― ・今週の予想レンジ:142-146 ―…
先週は主要国の株価は総じて上昇し、リスク選好地合が優勢となった。
英国議会では再度Brexit修正案が否決されたが、同時に“合意なき離脱案”も否決され、6月末までの離脱期限延長をEUに要請することになったことも市場にやや安心感を与えた。
また北朝鮮の核実験再開観測が聞かれ、「北朝鮮が米国との非核協議の停止を検討か」との報道もあった。
為替市場ではポンドが乱高下した。
EU離脱修正案と“合意なき離脱案”は共に否決され、EUとの離脱期限延期交渉に入るが、3日にわたる英議会採決を受けてポンドドルは1.2960-1.3382(422ポイント)、ポンド円は143.72-148.88(516ポイント)乱高下した。
先週のドル円のレンジ102ポイント、ユーロドルのレンジ123ポイントと比較して、ポンドが断然為替市場の主役であった。
ただ離脱延長交渉(6月末まで)の前提として20日(水)までに議会で離脱案の合意を得ることが必要であり、更にその後EU27か国全ての合意を取り付ける必要があるなど、離脱延長も用意ではない。
仮に離脱案合意やEUの延長承認を得られない場合は“合意なき離脱”とならざるを得ないだろう。
依然として根強いBrexit関連や欧州経済減速懸念にもかかわらず先週はポンドやユーロが前週の大幅下落から買い戻されドルが総じて軟調推移したが、ここから更に欧州通貨を積極的に買う理由もない。
同時に今週20日(水)のFOMCでは利上げが見送られ、今後の利上げについてもFRBの慎重な姿勢が確認される可能性があり、利上げ観測の更なる後退からドルを選好するにも限度がある。
加えてロシア疑惑に関するモラー特別検察官の最終報告が近々出る模様であり、また米中首脳会談が4月に延期されるとの観測から、本日は6月にずれ込むとの報道もあり、新たなリスク要因となる可能性には注意したい。
ロシア疑惑や、不発に終わった米朝会談、更に米中合意の遅れ、そして非常事態宣言否決に対して就任後初めて拒否権を発動するなど、内外の問題が山積するとトランプ政権が、今月にも開始予定の日米通商交渉においては、日本に対して為替条項を含めた非関税障壁撤廃など強固な要求をしてくる可能性もあるだろう。
欧州通貨もドルも買えない状況で、再びリスク回避地合となれば円が急伸する事態も想定される。
足元の豪ドル相場―ベアセンチメント後退も上値は限定的
先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7020—0.7098 AUDYEN 77.91-79.24
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6950-0.7150 AUDYEN 77.50-80.50
前週、弱いQ4GDPや1月小売売上高を受けて下落した豪ドルは、先週は欧州通貨の買戻しにフォローする形で70セント台後半、79円台前半に小反発した。
引き続き米中通商交渉やBrexitの成り行きなどの国外要因に影響を受けることになるが、どちらも小康状態ながら無条件に楽観視できる状況にはない。
特に米中摩擦は一時の融和ムードから、知財法や技術移転問題など構造改革面での両国の隔たりが埋まらないこと、更にはトランプ政権の政局不安もあり、米中首脳会談は4月以降に先送りされるなど、依然としてくすぶっている。
また21日(木)には2月の豪州雇用統計が発表されるが、前回1月分は就業者数+3.91万人の大幅増であったがその反動にも注意したい。
米中問題やBrexitなどのリスク要因に目立った悪化がなければ売られやすい豪ドルは買い戻される展開だが、上記のようにいずれのリスク要因も根本的解決に至っておらず、加えて根強い“RBAの利下げ観測”があるなど、未だ豪ドルが上昇トレンドを取り戻すような状況にはない。
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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
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☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
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☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
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