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今週の相場見通しby Joe(12 October 2020)

12 October 2020

◎<主なイベント>

10/12(月)黒田日銀総裁- 国際金融協会年次会合にて講演、ラガルドECB総裁講演、ベイリーBOE総裁講演、IMF世銀年次総会(~18日)、米債券市場はコロンブスデー休場
13(火)中国9月貿易収支、独10月ZEW景況感指数、米9月CPI、IMF世界経済見通し、米アップル製品発表イベント
14(水)10月WESTPAC消費者信頼感、ラガルドECB総裁講演、米9月PPI、G20財務相中央銀行総裁会議
15(木)豪州9月雇用統計、中国8月CPI・PPI、EU首脳会議(~16日)、英国Brexit交渉期限、米新規失業保険申請件数
16(金)米9月小売売上高、米9月鉱工業生産・設備稼働率、10月ミシガン大学消費者信頼感

◎<マーケットの焦点>

先週は前週コロナウィルス陽性となったトランプ大統領が週明けに早くも退院し市場を驚かせた。また10/15のBrexit期限を控えて英国とEUの通商協議が行われたが目立った進展はなく、刻々入る情報が相場をかく乱した。
しかし全体としては前週のトランプ陽性によるリスク回避の動きも一服し米株式市場は回復。
為替市場ではリスクオンのドル売り・円売りの動きが活発化した。
ウィルス感染からの短期回復で“コロナに打ち勝つ強い大統領”を演じたトランプ大統領であったが、その常軌を逸した行動に対して国民の視線は冷たく、むしろバイデン支持率との差が広がるという皮肉な結果になっている。
両者は第2回討論会の実施方法で合意せず10/15の討論会は結局中止となり、次回の討論会は10/22になる模様。
前週トランンプ大統領は民主党の経済支援案を拒否したが、航空業界や中小企業向けの対策を議会に要請するなど、部分的な支援の動きを示唆している。また追加対策の規模を1.8兆ドルまで拡大する意向を示すなど、国民の反応を見ながら民主党案への対抗策を打ち出しており、この駆け引きが今週も続くだろう。
なおバイデン候補の政策は、「大幅増税を実施し、それを原資に大規模投資で米経済回復を図る」としている。当初バイデン氏の大幅増税=株価下落の思惑が強かったが、バイデン支持率上昇とともに、“長期的には米経済の活性化につながる”との肯定的な見方も増えつつある。
したがってトランンプ勝利=株高・ドル高、バイデン勝利=株安・ドル安と短絡的に決めかねる状況になりつつある。
10/15のEU首脳会議をBrexit交渉期限に設定したジョンソン首相はハードBrexitも辞さない構えだが、これはEU側も同じで、両者とも強固姿勢を貫いている。
しかし多分に交渉術的要素もあり、10/15の期限を超えても交渉を継続するとの見方が一般的だ。ただしその都度入ってくる情報はポンドやユーロ相場をかく乱するだろう。
先週は全般的に前週のリスクオフ相場の巻き戻しでドル安・円安の動きが活発化し、ユーロは1.18台、ポンドは1.30台まで台まで反発した。
果たしてユーロやポンドは既に悪材料織り込みで続伸するのか?
ECBは引き続き「ユーロ高はインフレ見通しに大きな影響を与える」としてユーロ高けん制を続けており、1.19-1.20接近場面では高値警戒感も強まるだろう。
またポンドも10/15前後にむけてボラタイルな動きが予想される。先週見られた欧州通貨高・ドル安の流れが急転換する可能性には留意したい。
先週は久しぶりに106円台まで反発したドル円は「リスクオンのドル売り」の影響を受けて105円台半ばまで反落したが、欧州通貨が反落すればドル円を再度106円台に押し上げる可能性があるだろう。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―堅調だが反落に注意

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7096-0.7243 AUDYEN 74.95-76.52
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7000-0.7300 AUDYEN 75.00-78.00

先週豪ドルはリスクオンのドル売りが活発化する中、欧州通貨の上昇にフォローして72セント台半ば、76円台半ばまで上昇し週中最高値圏で越週した。
前週のリスクオフ・株安の流れが一服して主要国の株価が上昇し、商品相場も反発(原油は一時41ドル台回復)しており、このリスク選好地合も豪ドルをサポートした。また国慶節明けの中国市場の平穏な動きも好感された。
ただ今週は上記のように米大統領選やBrexit関連でも重要な週となり、相場が大きな動意(モメンタム)を得る可能性もある。
また国内では9月の雇用統計が発表されるが8月の大幅改善から、ビクトリア州の感染第二波の影響もあり一転して悪化予想となっており、足元のブルセンチメントに水を差す可能性があるだろう。
失業率は予想が7.1%(前回6.8%)、就業者数は-3.5万人(前回+11.1万人)に悪化予想である。
豪ドルは9月下旬以降70セント~72セント、74円~78円のレンジを形成しているが、特に対ドルでは上限に近い可能性がある。
先週のRBA理事会でRBAは今年の経済見通しついて、「最悪シナリオは避けられる」との判断だが、3月以降実施されている緩和策の長期化を示唆している。
RBAの景気判断についての詳細は11月初に発表される“RBA四半期金融政策報告書”を待つ必要がある。

―読者各位―

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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