「今週の相場の焦点」by joe Tsuda (津田 穣)9...
9 December 2024 ◎<ポイント> ―ドルは水準を維持し、米株は史上高値更新― ・今週の予想レンジ:148.00-153.50円 先週…
14 December 2020
◎<主なイベント>
12/14(月)日銀短観、米大統領選選挙人投票、OPEC月報
15(火)中国11月鉱工業生産/小売売上高、10月対米証券投資、12月NY連銀製造業景況指数
16(水)日本11月貿易収支、英11月CPI、独/ユーロ圏製造業PMI、米11月小売売上高、米12月製造業PMI、FOMC
17(木)NZQ3GDP、豪州11月雇用統計、BOE理事会、12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米FDA諮問委員会モデルナのワクチン巡り会合
18(金)日銀金融政策会合、米11月景気先行指数
◎<マーケットの焦点>
先週は前週までのリスク選好株高・ドル全面安地合にやや変調が見られ、米株価は週中に史上高値を更新したものの、週末にかけてやや反落。またポンドが下落するなど全面ドル安地合に調整も入った。
はたして来年に向けての「ドル反発」につながるか、あるいは“年末調整”の域を出ないのかはまだ不明。
世界の感染者累計は72百万人を超え、死者数は1.6百万人に達した。特に最大被害国米国の感染者数は16百万人に達し(回復率が38%台と世界全体の66%台よりかなり低い!)、死者数は30万人目前である。
係る中カナダでは英国、バーレーンに続いてワクチン接種が開始し、米食品医薬品局(FDA)は11日にファイザーのワクチン緊急使用許可(EUA)を出した。
まさに「ウイルス対ワクチン」の戦争開始である。
一方、Brexit関連では結局英国とEUの首脳会談でも通商交渉は物別れに終わり、両陣営ともに“合意なき離脱”への臨戦態勢に入りつつあった。
週末(13日)に英EUの両首脳は“協議継続へ合意”と発表し、今朝はポンド、ユーロ共に「小さな上窓」を開けているが気休めに過ぎないだろう。
考えてみればこの交渉「頑固な老大国VS玉石混合チーム」という、いわば最も合意を形成しにくい組み合わせであるように思う。いずれにしても“決してBrexit来年への持ち越し”だけはやめてほしい。年内約束通りにBrexitを成立させ(合意のあるなしに拘わらず)、後は地域問題でのんびりやってほしい。
この他にも先週ECB理事会では事前の想定内の追加緩和が発表された。PEPP増額・延長、新たなTLTRO導入など。またEU首脳会議ではようやくEU予算、支援基金にゴーサインが出された。
英EU両地域の好悪材料を反映して先週EURGBPは0.89台から一時0.92台に大幅ジャンプアップした。
”ダダッ子・トランプダ問題“では、トランプ大統領の指示によりテキサス州の州務長官が求めた接戦4州(ペンシルベニア、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシン)の選挙結果を無効とする訴訟に最高裁は11日訴訟を退ける決定を下した。「訴えを起こす法的利益がない」と言うのが理由。トランプ側の”法廷闘争で選挙結果を覆そう“との望みが事実上終わった形で、本日(14日)米国の正副大統領を選出する選挙人投票が行われる。先週も対中制裁強化やモロッコとイスラエル国交正常化の仲介の労を取るなど、外交にも余念がないが、とてもトランプ政策の有終の美を飾ろうとしているとは思えず、本人は依然として訴訟継続を主張している。
本日の選挙人投票がダメでも1月の議会投票で一発逆転の企てとも言われるが、新庄のNPB復帰同様にかなり無理があるようだ。
Brexitとトランプ問題は終焉間近と判断するが、この両問題自体早く目の前から消えてほしいというのが本音。そして本題の「ウイルス対ワクチン」の闘い並びに「永遠には続かないリスクオンドル売り」にフォーカスしていきたい。
今週は年内最後のFOMC、BOE理事会、日銀会合が開催されるが、いずれも緩和継続は想定内であり、ポイントはFOMCにおける来年以降の景気動向予想、並びに合意なきBrexitとなった場合のマイナス金利導入の可能性にBOEが言及するか?
目下GPIFを抜いて国内最大の株式投資家となった日銀が、「償還がなく増加する一方の株式投資残高」に言及するのは一体いつのことになるのか???(汗)
◎<豪ドル相場>
足元の豪ドル相場―堅調地合継続か
先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7372-0.7572 AUDYEN 76.90-78.78
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7400-0.7700 AUDYEN 77.00-80.00
先週は依然として株式市場の大崩もなく、リスク動向に敏感な豪ドルは原油高とともに今年の高値を更新し、一時75セント台後半、78円台後半まで続伸した。
商品相場堅調の背景はワクチン接種開始によるコロナ禍収束の先取りであ。
商品相場(CRB Index)は171台と年初のコロナ禍前のレベルを取り戻し、特に鉄鉱石150ドル、石炭(燃料炭)80ドルは、年初来レベルの鉄鉱石90ドル台、石炭70ドル台を既に大きく上回っている。
足元のリスクオンのドル売りがどこまで続くか?あるいは豪中問題やコロナの感染拡大とワクチンの有効性への一抹の不安などはあるが、年末に向けての当地資源輸出会社(日本の商社や鉄鋼会社を含む)の来年度の輸出予約(豪ドル買い)も予想され、足元の豪ドル堅調は少なくとも年末までは継続しそうだ。
今週は11月の雇用統計が発表され、予想値は失業率7.0%(前回7.0%)、就業者数+4万人(前回は+17.88万人)と引き続き堅調予想となっている。
豪ドルは今年の高値を既に抜いており、テクニカルな次のターゲットは、豪ドル/ドル:2018年初の高値80セント、豪ドル/円:2018年末の84円台で、それまで大きなレジスタンスはない。ただしRSIは豪ドル/ドルが74.94%、豪ドル/円は70.70%とかなりoverboughtが進行している点は要注意だ。
―読者各位―
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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
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☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
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