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今週の相場見通しby Joe Tsuda (11 January 2021)

11 January 2021

◎<主なイベント>

1/11(月)日本「成人の日」休場、豪州11月小売売上高(確報値)、中国12月CPI/PPI
12(火)12月景気ウオッチャー調査、米11月求人件数
13(水)米12月財政収支
14(木)日銀支店長会議、中国12月貿易収支、米新規失業保険申請件数、OPEC月報
15(金)米12月小売売上高・PPI・鉱工業生産、独与党キリスト教民主同盟党大会

◎<マーケットの焦点>

先週は色々な意味で“変化の週であった。
7日の米議事堂襲撃事件をきっかけにトランプ大統領はやっと敗北を認め、バイデン政権へのGoサインが出たが、下院民主党はトランプが議会襲撃を先導したとして、週明けには大統領弾劾条項を議会に提出するつもりだ。
ペロシ下院議長は「錯乱している大統領に核のボタンを持たせてはならない」とまで発言している。
金曜日発表の米12月nfprは驚きの-14.0万人となったが、発表直後こそドルが売られたものの結局反発(ドル円は104円台を回復)して越週。
雇用悪化を避けるためにバイデン政権の経済パッケージが予想を上回る大規模なものになるとの思惑から、新政権への期待が米株価を史上高値へと押し上げた。この米株高は主要国に波及し、独、ブラジル、カナダなどの株価が軒並み史上高値を更新した。
一方バイデン政権の景気刺激策への思惑から米債利回りは急上昇し、10年債利回りは昨年3月のパンデミック宣言以来、初めて1%の大台に乗ってドルの反発を誘った。
リスクオンの株高が「ドル安」に繋がらず、むしろ年末来市場に蓄積したドル売りポジションは調整反発したのも久しぶりであろう。
コロナ感染者は世界中で90百万人を超え、死者数は2百万人が目前であり、時に冬季にある北半球では厳しい状況にある。ワクチン接種率は欧米中心に高まりつつあるが、感染拡大には追い付かない状況だ。
今週は本日トランプ大統領弾劾決議案が提出される見通しであるが、トランプ大統領も急速に”過去の人間”になりつつあり、市場はむしろ1/20のバイデン新大統領就任式とバイデン政権のコロナ対策に注目する。
ワクチン効果先取りから今度はバイデン政策期待と株価の「いいとこ取り」が続くが、徐々に米株は“危険水域”に近づきつつある気がしてない。
足元のドル相場反発はいかにも“ショートカバー“であり、年末来溜まりに溜まったドルショートポジションの巻き戻しの域を出ないだろう。
ただドルインデックス中最大ポーションをしめるユーロは、現在1.21台とクリティカル・レベルに差しかかっている。何度は指摘したように2014年の高値、1.3993と2017年の安値1.0340の中間値である1.2166近辺を下抜けば、市場に溜まるユーロロングの投げが出る可能性がある。きっかけとして、今週金曜日(15日)の独与党キリスト教民主同盟(CDU)の党大会では党首選が行われるが、事実上のポスト・メルケル選挙であり注目される。メルケル路線を継ぐと言われるラシェット・ノルドラインベスファーレン州首相とメルケル氏の政敵と言われるメルツ氏の一騎打ちと言われるが、メルツ氏が勝利すれば独政局が不安定化する可能性があるだろう。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―押し目買いにサポートされる展開か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7642-0.7820 AUDYEN 78.85-80.93
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7550-0.7850 AUDYEN 78.50-81.50

先週の豪ドルは2018年以来の高値78セント台前半、80円台後半まで続伸したが、さすがに買いもたれ感強まり、金曜日の米12月雇用統計のマイナスnfprを受けて上昇した後は、利食い売りに押された。
ただ原油価格は52ドル台に続伸し、商品相場(CRB Index)も184台まで続伸しており、下値は押し目買いにサポートされる展開が継続しそうだ。
足元株高・リスク選好地合に著変はないが、世界のコロナ感染拡大が止まらず、加えて米中関係も急速な改善は望めないなど不安材料も混在しており、豪ドルも青天井の続伸とはいかないだろう。
本日発表された11月小売売上高(確報値)は+7.1%(速報値は+7.0%)と依然高い数字を示し、Q4における国内景気の回復を印象付けるが、むしろ市場は世界のコロナ動向や中国経済など外的要因に注目するであろう。
また来週月曜日(18日)発表予定の中国Q4GDPに関心が集まるだろう。
足元のドル反発が継続するようであれば、自ずと豪ドルの上値も限定されることとなるだけに、今週も欧州通貨の動向が鍵となろう。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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