22 February 2021
◎<主なイベント>
3/1(月)中国2月財新製造業PMI、米2月ISM製造業景気指数
2(火)RBA理事会、豪州Q4経常収支、豪州1月住宅建設許可件数、日本1月失業率、米2月自動車販売
3(水)豪州Q4GDP、中国2月財新サービス業PMI、米2月ADP雇用者数、スナク英財務相予算案、FEDベージュブック、米2月ISM非製造業景気指数
4(木)豪州1月貿易収支、米1月製造業受注、OPECプラス閣僚級会合、ユーロ圏1月失業率
5(金)米1月貿易収支、米2月雇用統計、中国全国人民代表大会(全人代)開幕
7(日)中国1-2月合算貿易収支
◎<マーケットの焦点>
先週は一時NYダウも史上高値を更新したが、結局週末に向けて反落。またコロナ収束期待の高まりと共に、巣籠産業株から在来株への資金のシフトも活発化し、Nyダウの史上高値更新をよそにナスダックは大幅反落した。テスラ株の大幅下落に見られるよう年初来の株高をけん引してきたハイテク・IT株がさすがに息切れしてきたのは、コロナ収束期待に加えてgafaはじめとしたIT企業に対する世界的な風当たりの強さを反映しているのか。
更に米長期債利回りの急上昇がアセット価格反落のきっかけになった。米10年債利回りは前週の1/2-1.3%レベルから先週の木曜日には一時1.61%台まで急上昇している。
従来から指摘しているように、たとえFRBが向こう2年-3年の緩和維持を言ったところで、景気回復期待やインフレ期待が高まれば市場金利の上昇は避けられない。市場は常に先を読む。
そして最大経済を擁する米国の金利上昇速度が最速になることもある意味“自明の理”と言えるだろう。またこの米国に端を発する世界的な長期金利の上昇に対する各国中銀の反応の違いが見られたのはなかなか興味深い。
パウエル議長は議会証言において「米債利回りの上昇は成長とインフレの上昇見通しによるもの」と発言し、現状では静観姿勢を示した。
一方ECBのレーン・チーフエコノミストは「ECBは長期債の名目利回りを注意深く見ている、市場の楽観が経済よりも先行すれば問題がある、大規模な金融緩和は長期にわたり必要」と念を押している。
またBOEのマイナス金利導入期待は後退したものの、長期金利の上昇に何らかの対応を行うとの観測がみられた。ベイリー総裁は「Q1の英国経済はマイナス成長を予想」と改めて楽観論に釘を刺している。
黒田日銀総裁も「10年国債利回り目標を0%前後から押し上げるつもりはない」と発言して市場金利上昇の追認を否定した。
先週は株価や商品相場が反落し、ポンドや豪ドルなどのリスク通貨も売り戻されるなど、「リスクオフのドル買い」も見られた。またスイスフランに対する逃避買いが見られる中、円買いは加速せず、“リスクオンで売られず、リスクオフで買われる円”という最近のパターンに変化の兆しが現れているようにも感じる。
今週は米2月の雇用統計が発表されるが、予想は失業率が前回の6.3%から6.4%に若干悪化する一方、前回+4.9万人と予想を大きく下回ったnfprは15万人程度に急増する予想だ。ワクチン接種の普及率ナンバー1を目指す米国の雇用統計が改善すれば、更に長期債利回りを押し上げる可能性がある。昨年年初の10債利回り水準1.8%程度が目先のターゲットとなりそうだ。
果たして先週見られた米債利回り上昇、株価反落リスクオフの動きが、単なる「ガス抜き」で終わるのか、あるいは経済の教科書通りに金利上昇局面に向けて株価の下落が続くのか?
今週の株価の動きは米雇用統計も含めて最初の試金石となりそうだ。中期的ドル上昇見通しに加えてBrexit後の英国経済の悪材料からポンド上昇に懐疑的であったが、先週の1.42台で当面の天井を見たのか?正直言ってまだ自信はない。
◎<豪ドル相場>
足元の豪ドル相場―上値は重いが、下値は押し目買いサポート
先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7692-0.8007 AUDYEN 81.98-84.95
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7600-0.7900 AUDYEN 81.00-84.00
先週豪ドルは木曜日に一時2018年2月以来の高値0.8007、2018年12月以来の高値84.95円を示現した後、一時77セント割れ、83円割れまで急落して引けた。
強いレジスタンスのある80セントや85円近辺を付けて上値達成感が出たことは否めないが、が、株価や商品相場の反落によるリスクオフの動きが活発化し、ここまで積みあがってきた豪ドル買いポジションがロスカットオーダーを巻き込んで整理された形だ。
特に世界的に史上高値圏まで上昇した株価の調整が一時的なものか、あるいは天井確認となるか?慎重に見極める必要があるだろう。
今週は火曜日のRBA理事会(据え置き予想)はじめ、豪州のQ4GDP(予想前期比+2.4%、前回+3.3%)、前年同期比-2.0%(前回-3.9%)や1月住宅建設許可件数、貿易収支など各種指標が発表される。豪州経済はQ4にリセッションから早くも脱出したと思われるが、足元の景気についてはやや減速しているとの懸念もある。また昨年11月から上昇に転じている住宅価格動向を見る上でも1月の住宅建設許可件数が注目される。
ただ豪ドルは国内指標よりは、やはり今週も主要国の株価動向や、欧州通貨動向に影響される部分が大きいだろう。先週後半は大幅反落したが、市場ポジションもかなり整理されており、下値は押し目買いでサポートされる展開が予想される。
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東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
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☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
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