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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)1 November 2021

1 November 2021

◎<主なイベント>

10/31(日) 衆院選投開票、中国10月製造業/非製造業PMI、欧州は夏時間終了し冬時間に移行、COP26国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)開催(12日まで)
11/1日(月)
中国財新製造業PMI(10月)、COP26首脳級会合(2日まで)、米ISM製造業景気指数(10月)
2
日(火)
豪中銀政策金利、米自動車販売(10月)、日銀議事録(9月21日-22日開催分)
3
日(水)
NZ
雇用統計(第3四半期)、トルコ消費者物価指数・生産者物価指数(10月)
米ADP雇用者数(9月)、米ISM非製造業景気指数(10月)、米FOMC声明、パウエルFRB議長記者会見
4
日(木)
英中銀政策金利、金融政策報告、ラガルドECB総裁、イベント講演、OPECプラス閣僚級会合
5
日(金)
カナダ雇用統計(10月)、米雇用統計(10月)
7
日(日)
中国貿易統計(10月)、米国市場は夏時間終了、冬時間へ移行

◎<マーケットの焦点>

先週は週半ばまでドル安地合だったが、金曜日には月末のドル需要もあってか、全面ドル高となって越週した。
ユーロは結局1.15前半、ポンド1.36台半ばまで反落し、ドル円も114円台まで反発し、ドルインデックスも木曜日の93.34から金曜日に急伸して引けは94.10
一方前週1.70%台まで上昇した米10年債利回りは1.50%台まで低下し、米株は金曜日にはNYダウ・S&P500・ナスダック“三役揃い踏み”で史上高値を更新して引けた。原油は週初85ドル台の高値を付けたあと、一時81ドル割れまで下落し、結局83ドル台でクローズ。ある意味、先週も各市場の相場水準から言えば“歴史的な動き”を我々は経験したわけだ(相場の中にいると??という感じだが)。
木曜日まではドル売りが優勢だった。ECB理事会では政策金利及び資産購入ペースの維持が発表され、ラガルド総裁は「市場の利上げ観測はECBのガイドラインと一致しない」とまで言って行き過ぎた金利先高観に釘を刺そうと躍起だった。
しかし市場の12月テーパリング開始観測は強く、直後にユーロは100ポイント上昇した。
またカナダ中銀はサプライズの量的緩和の終了を発表し、ドルカナダ急落局面もあった。
一方日銀は超緩和継続姿勢を継続し、日本と欧米各国の金融政策格差はより鮮明化したといえるだろう。ただ週半ば米債利回りの低下著しく、ドル円の114台への上昇にも調整が入った。木曜日に発表された米Q3GDP+2.0%と予想(+2.7%)を下回り前2Q続いた6%台からの減速は明らかであったが、為替へのインパクトは限定的。
むしろ金曜日のドル全面高につながった背景には、月末のドル需要に加えて、米経済減速は「需要減退よりはむしろ供給不足(ボトルネック)」との市場認識があるのも一因だろう。
今週はFOMCBOE MPCRBA理事会が予定され、金曜日には早くも10月米雇用統計を控える。雇用統計予想は先月の悪い数字から、失業率4.7%(前回4.8%)、nfpr 45万人(前回19.4万人)と改善予想になっている。またFOMCではテーパリング開始が、BOEでは0.15%の利上げが半ば織り込まれている状態だが、はたして両方が実現した場合、両通貨ともに買われるのか?あるいは“Sell on fact”となるのか?
思うにタイムラグこそあれ、主要国(日本除く)の金融緩和解除は既定路線であり、結果がどう転ぼうが金融政策の相場への影響度は徐々に薄れつつあると思う。
むしろ市場は各国の実体経済動向により注力するだろう。金融は後でついて来る。
一方週末のG20首脳国会議では中露と米欧の対立の構図が鮮明化しつつあり、リスク要因として認識すべきだろう。
係る中日本での衆院選の結果は、自民党が選挙前より17議席程度減らす見込みだがしっかりと単独過半数を確保し、一部あった与党過半数割れは回避された。
今週の焦点は上記主要国の金融政策会議及び米国の10月雇用統計となるが、先週末見られた月末のドル需要が経過して、ドルが反落するのか?あるいはドル堅調地合が年末のドル需要に繋がっていくのか?見極めたい。
紆余曲折あろうがドル円↑の見方は変えていない。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―再び75セント台前半、85円台後半と、10月の高値に並びつつある。ただドル堅調地合が年末に向け続けば一方的な豪ドル上昇とはなりがたい。対円では上昇余地あり。

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7464-0.7555 AUDYEN  84.75-86.06
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7400-0.7600  AUDYEN  84.00-87.00

先週豪ドルは前週上昇の調整局面も長くは続かず、再び10月高値圏である75セント台半ば、85円台後半まで上昇した。
前週の中国Q3GDP(+4.9%、前回7.9%から減速)発表以来、上昇続きだった商品相場もさすがに調整局面入りで週初の257レベルから週末には252まで下落したが、今回のエネルギー価格をはじめとする商品相場の上昇には世界的な供給不足があるだけに、「商品相場の中期的な堅調は変わらない」との見方が優勢だ。
係る中、米10年債利回りが1.70%から1.50%台に低下する一方、豪連邦債(10年物)利回りはむしろ2.08%まで上昇しており、10月初から豪州債利回り>米国債利回りの状況が続いていることも、投資家目線からは豪ドルサポート要因であろう。
もちろんシドニー地区に続いてメルボルン地区のロックダウンも解除やされ、経済再開への期待も豪ドル支援材料と言える。
ただ先週末はユーロやポンドなどの欧州通貨(円も若干)が下落するなどドル全面高の様相を呈しており、ドル堅調地合が継続する場合には豪ドルの上値も自ずと限定的と言わざるを得ない。またG20内におけるコロナ起源を巡る中国と主要国の対立も足元の注意事項といえるだろう。


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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