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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)8 November 2021

8 November 2021

◎<主なイベント>

8日(月)日本景気動向指数(9月)、パウエルFRB議長、FRB主催会議開会挨拶
シカゴ連銀総裁講演、フィラデルフィア連銀総裁、講演、中国共産党第19期中央委員会第6回総会開催(6中総会)(11日まで)、APEC閣僚会合(9日まで)
9
日(火)ドイツZEW景況感指数(11月)、米生産者物価指数(10月)、ベイリー英中銀総裁討論会参加、ラガルドECB総裁、フォーラム開会挨拶、パウエルFRB議長、FRB・ECB・カナダ中銀共同主催会議開会挨拶、EU財務相理事会
10
日(水)中国消費者物価指数・生産者物価指数(10月)、米消費者物価指数10月)
11
日(木)豪雇用統計(10月)、英国GDP速報値(第3四半期)、ECB経済報告
欧州委員会経済見通し、メキシコ中銀政策金利、OPEC月報、ベテランズデー祝日のため米債券市場は休場、中国「独身の日」
12
日(金)EU財務相理事会、APEC首脳会議、COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)閉幕

◎<マーケットの焦点>

先週は主要国の金融政策会合が焦点となった。
RBA
3年物国債利回り目標を廃止し、出口に一歩前進の感を市場に与えたが、声明では引き続きインフレターゲット達成に慎重な姿勢が確認され、発表後豪ドルは軟調に転じて73セント台まで反落。
一方FOMCでは今月から資産購入ペースの縮小開始と今後の月額150億ドルずつの縮小計画を発表した。またパウエル議長の会見では市場が期待したような利上げ時期の示唆などはなかった。
一方BOEは事前に利上げ観測もあったが、今回は政策金利、資産購入枠ともに据え置きとなってポンドの失望売りを誘い、金曜日には一時1.34台前半まで下落した。
結局各国中銀は量的緩和の段階的縮小方向に乗り出したが、利上げへのハードルは依然高いということだ。
ベイリーBOE総裁は市場の利上げ期待の強さをけん制した形だが、依然として英国が主要国で最初の利上げ国で来年来年には利上げという市場の読みは変わっていない。
また金曜日に発表された米10月雇用統計はnfprが事前予想を上回る53.1万人の増加、失業率も予想の4.7%より1ポイント良い4.6%となったが、むしろ米10年債利回りは1.5%を割り込み、米株インデックス(ダウ、S&P500、ナスダック全て)は史上高値を更新して越週している。ドルは米債利回りの低下に歩調を合わせて発表直後の上昇が維持できなかったのは週末控えた「Sell on Fact」とも言えよう。
ドル円は113円台前半まで値を崩した。
主要国の中銀政策会合も終わり、今週は米10CPIや英Q3GDP(速報値)、更には火曜日にはパウエル議長、ラガルドECB総裁、ベイリーBOE総裁の発言が重なり注目したい。特に米経済は供給のボトルネックや繰延需要の存在から今後景気がピックアップされるとの見方もあり、インフレ状況と相まって米金利先高観が他国を上回る可能性があろう。
日本株は米株に比較して一進一退だが、全般的なリスクオン状態における先週の円の上昇には違和感を感じざるを得ない。112円台に下落すれば更にドル円ロングのストップロスが出る可能性もあるが、需給面でも円の上昇は疑問であり、10月下旬から溜まった円売りポジションが掃ければ再度ドル円は反発に転じると見ている。

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―商品相場の騰勢も一服で再び一時73セント台半ば、83円台後半まで反落。ただここから下は押し目買いサポートか。

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7360-0.7536 AUDYEN  83.82-86.06
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7350-0.7550  AUDYEN  83.00-86.00

先週豪ドルは前週の堅調地合から一転軟調推移した。
RBA理事会で3年物国債利回り目標0.1%が撤廃され、出口に一歩前進と考えられるが、労働市場やインフレ見通しでRBAは依然慎重姿勢であり、主要国の中銀の中でも最もハト派的スタンスは変わっていない。
また中国経済減速懸念から上伸してきた商品相場にもさすがに天井感が出ていることも豪ドル売り戻しを誘った。
今週発表される10月就業者数は、ロックダウンの影響から前2カ月続いた10万人を超える大幅減少から+5万人に回復する予想だが、果たしてうまくプラス転換するか?また先週はポンドをはじめとした欧州通貨安に豪ドルもフォローしたが、この欧州通貨安が継続するかも注視する必要がある。
豪ドル買いポジションの調整も一巡したと思われ、年末に向けての豪ドル押し目買い需要が豪ドルの下値をサポートする展開が予想される。

 


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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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