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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)

6 Decenber 2021

◎<主なイベント>

6日(月)岸田首相所信表明演説、ユーロ圏財務相会合
7
日(火)黒田日銀総裁挨拶、中国貿易統計(11月)、豪中銀政策金利
ドイツZEW景況感指数(12月)、ユーロ圏ZEW景況感指数(12月)、EU財務相理事会、EU保健相会合
8
日(水)日本GDP改定値(第3四半期)、インド中銀政策金利、カナダ中銀政策金利、ラガルドECB総裁挨拶、ドイツ連邦議会新首相指名選挙を予定
9
日(木)中国消費者物価指数・生産者物価指数(11月)、ミネアポリス連銀総裁講演、米国民主主義サミット開催(10日まで)
10
日(金)米消費者物価指数(11月)


◎<マーケットの焦点>

先週は相場が不安定に揺れた。
材料はOmicron株の出現、パウエル議長のタカ派的議会証言、nfprの予想外の増加スローダウンと失業率の改善など。
Omicron
株は現在40ヵ国以上に拡散しており、週を通してリスク回避色の元凶となった。感染力が強く従来のワクチン効果も不透明で不安材料視されるが一方、WHO12/3現在でOmicron株による死亡例はないと報告しており、重症化しにくいとの報道もあった。ワクチン効果の検証には2週間程度かかる模様。
一方Omicron株の出現により再度ハト派色が強まるとの予想もあったパウエル議長の議会証言は、全くの逆のタカ派色が強いもので、株式市場に大きなショックを与えた。
同議長は、「債券購入縮小の終了時期の前倒しと“インフレは一時的”との文言を削除することを検討」と発言し、金利先高観から米株式市場に冷水を浴びせた。
この発言の裏には自分を再指名してくれたバイデン政権がインフレ抑制を最重要視しており、その政策をサポートする意図を感じる。
そして金曜日に発表された11月の米雇用統計は、nfprの増加が予想の53万人に対して21万人と大幅に減速。なお10月分は+53.1万人が+62万人に上方修正された。一方失業率は前回の4.9%から4.2%に大幅改善(予想4.5%)。
この「悪いnfprと失業率の改善、前月のnfprの上方修正」は9月と全く同じパターン。
9
月の数字発表時はドル円が一旦売られて、結局高値圏に戻して引けたが、今回は112円台の週中安値圏に下落して引けた。やはりOmicron株によるリスクオフ・センチメントに加えて、依然として11月のドル上昇局面の調整が続いているのであろう。ただ欧州通貨への売り圧力も強く、再びドル高・円高の様相。
12
月となり年末相場になるが果たして新年に向けてこのリスク回避局面が継続するのか?あるいはリスク回避が一巡してリスク選好地合を取り戻しながらの新年となるのか?
近々発表されるであろう現行ワクチンのOmicron株に対する有効性が鍵を握るが、やはり「今年の株とドル円の天井は11月に見た」と考えるのが妥当のようだ。
「リスク回避の安全通貨円(?)買い」健在である(汗)。
円に内在する「円売り材料と円売り圧力」が表面化するのは、一体いつのことであろうか、、、、

◎<豪ドル相場>

足元の豪ドル相場―豪ドルは70セント割れと年初来の安値を更新し、豪ドル円も78円台と8月の年初来安値77円台を窺う。今年は軟調裡に越年?!

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6992-0.7173  AUDYEN  78.78-81.41
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6900-0.7200  AUDYEN  78.00-82.00

先週豪ドルは、予想を上回る強い売り圧力を受けて対ドルでは年初来の安値70セント割れまで下落した。Omicron株の出現により再び世界経済への懸念が高まり、10月には256レベルまで上昇していた商品相場(CRB Index)も234台まで大幅下落。
85ドルを超えて青天井か?と思われた原油価格も65ドル台まで大幅下落している。
国内指標でも、やはり増加が見込まれながら4.63万人マイナスに終わった10月雇用統計の影響を引きずっているようで、Q3のGDPが予想の-2.5%(前期比)に対して-1.9%に留まったものの足元のOmicron株の出現が景気回復ムードに冷水を浴びせた形だ。
ここ数年年初にリスクオフの洗礼を受けてきたが、今年はそれが年末に前倒しされているのか?
通常年末にかけては資源会社の来年度の輸出予約の豪ドル手当て買いが出回るのだが、係る豪ドル売り圧力を受けては豪ドルの反発も覚束ない、、
年末に向けた実需の豪ドル買いを期待して71セント台から豪ドルを買い下がっているが、かなり厳しい状況と言わざるを得ない。
果たしてOmicron懸念が後退して、年末に向けて豪ドル反発となるか??

RSIなどは17%台と市場ポジションは「極端なoversold」に傾いていることは確かだが。

 


―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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