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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣) 14 March 2022

14 Mach 2022

◎<主なイベント>

14日(月)ユーロ圏財務相会合、第4回ウクライナ-ロシア停戦協議(予定)
15日(火)中国小売売上高・鉱工業生産(1-2月合算分)、ドイツZEW景況感指数(3月)、米生産者物価指数(2月)、EU財務相理事会、OPEC月報
16日(水)米小売売上高(2月)、米FOMC声明、経済予測公表、パウエルFRB議長記者会見、NATO臨時国防相会合
17日(木)NZ GDP(第4四半期)、豪雇用統計(2月)、トルコ中銀政策金利、英中銀政策金利、ベイリー英中銀総裁記者会見、ラガルドECB総裁、講演
18日(金)日銀金融政策決定会合、黒田日銀総裁記者会見、日本消費者物価指数(2月)、ロシア中銀政策金利

◎<マーケットの焦点>――今週もウクライナ情勢がメイン・ファクター

先週はウクライナ情勢を巡って相場が激しく振幅した。
週初は情勢好転への期待も一時膨らんだが結局3回目の停戦協議も目立った進展なし。
先週末のNYダウ引け値は32,944ドルと前週末比で▲670ドル(年始来11%下落)、ナスダックは▲470ドル(年初来19%下落)、日経平均も▲823円(年初来で15%下落)となっている。
また週初130ドル台まで急騰した原油価格はさすがに高値警戒感も強く一時107ドル台まで反落(引けは109ドル台)。
前週末にはロシア軍がウクライナの原発を掌握してウクライナの軍並びに一般市民に多くの犠牲者が出だ。また米国や英国初め欧州諸国が対ロ禁輸措置を発表するなど関係は悪化の一途を辿った。
しかしその後は“人道回廊”の設置やトルコ仲介のウクライナとロシアの外相会談開催の話で市場の期待が膨らんだ。またゼレンスキー大統領は「ウクライナはNATO加盟をもはや主張していない」と述べるなど、事態の好転期待から一時1.08台、124円台に下落していたユーロは1.10台、129円台まで反発した。
しかし両国協議の裏でロシア側の強固姿勢は変わらず市場は再び失望。一部報道でプーチン大統領が「両国協議で一定の前向きの動き」と報じられて警戒感が緩む局面もあったが、結局週末に向けて再び失望感が高まる展開となった。
注目のECB理事会ではウクライナ情勢を受けてタカ派色が後退するとの事前予想に反して、結果は「APP縮小の終了時期の前倒し」など、むしろインフレ対応を前面に出したタカ派色が強い内容であった。この内容を受けてユーロも一時1.11台まで続伸したが、ECB理事会と同日に発表された米2月のCPIが前月の7.5%から7.9%まで続伸したことや、ウクライナ情勢への懸念が勝り、週末にかけてユーロは再び1.09前半まで反落。一方ドル円は117円台前半と20171月以来の高値まで上昇している。
今週もウクライナ情勢をにらんで一喜一憂の不安定な相場とならざるを得ない。
キエフ陥落は時間の問題と言われるが、同時にここまで戦火を拡大させたプーチン政権への国際的非難もマキシマム状態であり、ロシア国内でも反プーチ運動が激化するなど、ウクライナ情勢は思わぬ展開(幕引き)となる“種々の”可能性にもそろそろ留意したい。
期せずして(?)筆者の主張する「円安地合」になりつつあるが、1月の本邦経常並びに貿易収支の大幅赤字に加えて、国際紛争でも全くイチシアチブを取れない国の通貨は売られて当然というところ。
非核三原則(特に核を持ち込まない)の解釈上とはいえ、津軽海峡の中心部を公海として直近でもロシアの軍艦10隻が堂々と通過する国の通貨が安全とは言い難い。(ここ数年は中国の軍艦も通過している)
遅かれ早かれ120円が視野に入りつつある。

◎<豪ドル相場>

ユーロにフォローしてアップダウン

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7245-0.7441  AUDYEN  83.81-85.89
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7200-0.7400  AUDYEN  83.00-87.00

先週豪ドルは引き続きウクライナ情勢や原油価格に翻弄される展開となった。
週初は原油価格が一時130ドル台まで急騰する中、ウクライナ情勢好転への期待も高まり74セント台半ばで上昇したが、週後半は原油の反落やウクライナ情勢が好転しない失望感も手伝い72センチ台後半まで反落。
一方対円では週末に向けてドル円が2017年1月以来の高値117円台に上昇したこともあり、対ドルでの反落に勝る形で85円台後半まで上昇している。
先週発表された3月のWESTPAC消費者信頼感は-4.2%(前回-1.3%)、96.6(前回100.8)と大幅に悪化したが、ウクライナ紛争とガソリンをはじめとした物価高が主因であった。RBAも理事会声明でウクライナ紛争の及ぼすであろう国内経済への影響に言及しているが、解決が長引けば最大の影響を受ける欧州を最大の貿易相手国としている中国経済に影響し、早晩豪州経済にも波及するとの懸念は根強い。
更に足元の原油はじめとした商品相場の高騰が世界経済に及ぼすネガティブなインパクトの可能性もいずれ浮上するであろうし、商品相場高を手放しで喜べないのが豪州の立場ということだ。
足元は直近の高値72セント台~74セント台の間での振幅が予想されるが、対円では依然として“伸びしろ”があるだろう。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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