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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣) 11 April 2022

4 April 2022

◎<主なイベント>
11日(月)黒田日銀総裁挨拶、日銀地域経済報告(4月)、中国消費者物価指数・生産者物価指数(3月)、EU外相理事会、シカゴ連銀総裁講演、アトランタ連銀総裁イベント講演
12
日(火)NAB企業信頼感・景況感(3)、日本国内企業物価指数(3月)、ドイツ/ユーロ圏ZEW景況感指数(4月)、米消費者物価指数(3月)、ブレイナードFRB理事講演、リッチモンド連銀総裁講演OPEC月報
13
日(水)WESTPAC消費者信頼感(4)、黒田日銀総裁挨拶、中国貿易統計(3月)、NZ中銀政策金利、英消費者物価指数・生産者物価指数(3月)、米生産者物価指数(3月)、カナダ中銀政策金利
14
日(木)豪雇用統計(3月)、韓国中銀政策金利、トルコ中銀政策金利、ECB政策金利、ラガルドECB総裁の記者会見、米小売売上高(3月)、クリーブランド連銀総裁講演、フィラデルフィア連銀総裁講演、米債券市場は短縮取引
15
日(金)中国1年物MFL金利、ECB専門家予測調査、米財務省半期為替報告書議会提出期限、グッドフライデー祝日のためオセアニア・香港・英国・欧州・米国市場が休場


◎<マーケットの焦点>――「ドル円は125円台の上」と見るがアップダウンは覚悟すべき

先週「ドル円は120円台がサポートされれば、120円をボトムにした中長期的な“上方レンジシフト”が確認される」と述べたが、結局安値は月曜日の122.26であった。→つまり上を見なければいけない!(汗)
基本的に円安論者というよりは、日本にとって円安が望ましいと考え、それを阻むのが旧態依然とした“安全通貨円神話”だ。長らく海外市場にいた自身にとって、安全通貨円神話”は「日本人の最後の砦」であると考えている。
したがって長年のうちに「日本人は(自分もそうだがw)簡単に砦を明け渡さない」との固定観念が自分には植え付けられており(多くの日本人にとってもそうだと思う)、この固定観念がドル円ロングの有言実行を邪魔する。
120
円台トライの時もそうであったが、ずっとドル円ロングで来て、120円が近づくとついつい売り上がってしまう。また今回も125円→121円台に落とされて、ブレイナード・ショックに反応して買っても、気が付けば124円台を売り上がり「いかん、いかん」とロングに転換して今度は124円台のロングで捕まったりする。
つまり長らく「上がる」と思っていても、儲かるとは限らないというわけで、いつになってもこれが相場の難しいところ。何も考えずに(失礼)「下がる、下がる」と言っていて、今度は「上がる、上がる」で、迷わずロングで走れる人間の方が為替には向いているのかもしれない。自分にはできないし、やりたくもないが、、、
今週は米国サイドで3CPI、同日“ブレイナード理事(本来はハト派であったが最近はタカ派の急先鋒に!)”講演、3月小売売上高など、強い数字の予想プラスタカ派変身理事の発言があり、また一荒れ来そうなムードだ。
もちろん、急激なFRBのタカ派路線は米株そして米経済を毀損する可能性があるし、またロシア制裁に米ドル決済禁止が含まれているため、最終的には世界的なドル決済ニーズが減少して、これもドルを押し下げるとの指摘がある。
しかし、いかんせんドルの代替通貨は??と問われて即答できる人はいないのも事実。第二のハードカレンシーであるユーロはロシア制裁→欧州経済先行き不安と誰もが考える。予想通り仏大統領選はマクロン/ルペンの決戦投票になったが、極右勝利ともなれば、瞬間風速にせよユーロは続落するだろう。
先週ドル円の反落が122円台前半で止まったのは象徴的で、ついに安全通貨円神話を作り出した日本人自身が神話に対して懐疑的になってきたか?と思う。
125
円を再度超えれば、政府筋のみならず指値オペ強行の日銀も円安けん制を始めるだろう。しかし最終的な「円安のよりどころ」は、やはり貿易黒字の減少あるいは赤字転換という実需の変化であり、金融引き締めの先頭集団から周回遅れの日本の金融政策そのものであろう。
ドル円は上がるだろうが決してその道程は平たんではない。

◎<豪ドル相場>

依然76セント台まで続伸したが、さすがに息切れ反落

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7426-0.7661  AUDYEN  901.57-94.16
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7350-0.7550  AUDYEN  91.00-95.00

先週豪ドルは、RBA理事会声明で従来からの緩和を維持するためのキーワード「忍耐強く」を外し、「今後数カ月で物価と人件費の新しい変化の証拠をみることができるだろう」と述べたことから俄然“引き締め開始近し”の思惑強まり、理事会後は76セント台半ば、94円台前半まで上昇した。主要国(除日本)の引き締め競争の最後尾を走ると思われたRBAのタカ派転換とも思える発言は、金利先高観が強まりつつある市場にとってもややサプライズであった。
年初頃は頑なに「2024年以前の利上げなし」にこだわっていたRBAであるが、その豹変ぶりは昔からであり、要は「経済その他環境の変化次第ではいかようにも対応する」ということである。
むしろRBAの言動に反して市場に高まった金利先高観は、正にRBAウオッチャーがRBAの動きを正しく分析していたということであろう。ただ利上げの速度や頻度はFRBに遠く及ばず、週後半はRBA声明への過剰反の調整が入った。
実際に賃金の伸びは依然としてRBAにとって満足のいくものでなく、「利上げへのフリーパスを得た」と判断するのは時期尚早と言えるだろう。コロナにしても依然国内では高水準の感染が続いており、ウクライナ情勢への不透明感も変わらない。
豪ドルは下値を固めつつも、引き続き日々のニュースにアップダウンするボラタイルな動きが継続しよう。

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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