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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)30 May 2022

30 May 2022

◎<主なイベント>
5/30日(月)ドイツ消費者物価指数(5月)、EU首脳特別会合(31日まで)、
米国市場はメモリアルデー祝日のため休場
31
日(火)日本雇用統計(4月)、日銀国債買い入れ日程(6月)、中国製造業PMI・非製造業PMI(5月)、ユーロ圏消費者物価指数(5月)、カナダGDP(第1四半期)、米消費者信頼感指数(5月)、国際決済銀行(BIS)主催「グリーンスワン2022」(1日まで)
6/1
日(水)、豪州GDP(第1四半期)、中国財新製造業PMI(5月)、カナダ中銀政策金利、米自動車販売(5月)、米求人件数(4月)、米ISM製造業景気指数(5月)、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、NY連銀総裁、講演、セントルイス連銀総裁、講演、FRB、量的引締め(QT)開始、ラガルドECB総裁、中国人民銀行総裁、国際決済銀行(BIS)主催「グリーンスワン2022」パネル討論会参加
2
日(木)ユーロ圏生産者物価指数(4月)、米ADP雇用者数(5月)、クリーブランド連銀総裁講演、OPECプラス閣僚級会合、スプリング・バンク・ホリデー祝日のため英国市場は休場
3
日(金)、トルコ消費者物価指数・生産者物価指数(5月)、米雇用統計(5月)
米ISM非製造業景気指数(5月)、EU外相理事会、端午節祝日のため香港・中国市場は休場、プラチナ・ジュビリー・バンク・ホリデー祝日のため英国市場は休場


◎<マーケットの焦点>―今週の重要米指標が軟調であれば、ドル高調整が継続するであろうが、徐々に底入れと見る

先週は前週同様にウクライナ情勢や世界経済減速懸念は強いもののリスクオン地合となった。米債利回り(10年債)は前週の2.8%台から2.7%台に低下し、ナスダックが12千ドル台を回復するなど、久しぶりに主要国の株価がまとまって反発した。
このリスクオン + 米債利回り低下受けてドルが全面的に軟化し、5月中旬に105台まで上昇した米ドルインデックスは101台まで下落して越週した。
3
月上旬に131円台前半まで上昇したドル円は一時126円台前半まで下落し、1.03台半ばまで下落したユーロは1.07台半ばに、1.21台半ばまで下落したポンドも1.26台前半まで回復した。
FOMC
議事録が発表されFRBの利上げペースが市場に織り込まれる一方、ECB7月利上げ開始が市場のコンセンサスとなった。
また米国、英国など既に大幅利上げに着手している国の利上げペース織り込みと同時に今後の景気減速懸念が高まり、逆に後発のユーロや豪ドルの引き締め開始がフォーカスされた形だ。
ただ後発組のECBRBAもいずれ引き締め開始後の景気減速懸念に直面することになるのだが、、、、
今週は米国5月のISMや雇用統計、更に中国の5PMIなど重要指標が発表される。米指標は雇用が堅調予想である一方、ISMなどセンチメント系はやや減速予想が目立っており、利上げ開始後の減速懸念が実際の経済指標にどのように反映されるか?極めて興味が持たれる。
上述のように主要国の引き締め開始後の景気減速懸念は現在米国に顕著であるが、これは主要国共通の懸念でもあり、いずれ為替にも反映(自国通貨反落)されるだろう。
ただドルの反落は5月後半になってやっと顕著になったわけで、ドルの調整売りは今暫く続く可能性があるだろう。
一方日銀の黒田総裁は日本のインフレは他の主要国に比べて抑制されており、「家計の消費支出は限定的で、総需要の回復も欧州や米国より緩やか」と述べるなど強力な緩和スタンスの維持を明言している。ドル円についてはドル下落の圧力を受ける一方、クロスでの円売り需要もあるため、その両者の綱引きによって、一方的なドル円の下落に歯止めが掛っている状況だ。
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円台前半のクリティカルレベルを割ってもドル円割安感が感じられること自体、市場センチメントは明らかに円安に傾きつつある。つまり125-126円を下回るドル下落は実需に反した投機的な円買いであり、いずれ買われた円はポジションで調整売り戻しされるものと考える。

◎<豪ドル相場>

依然として豪ドルは堅調地合維持か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.7035-0.7166  AUDYEN  89.24-91.07
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.7050-0.7250  AUDYEN  89.50-92.50

豪ドルはドルが軟調に転じる中、週末に向けて買い戻し強まり71セント台半ば、91円台前半まで反発した。対円ではドル円の反落を受けて一時89台前半まで反落したが、週末に向けて再び91円台を回復した。
根強い原油高(115ドル台まで上昇)など商品相場(CRB Index)が341台まで上昇していることも豪ドルをサポート。
中国経済に対する懸念が、ロックダウンの緩和や政府の減税措置により後退していることが商品相場及び豪ドルの押し上げ材料となっている。
今週は国内指標としてQ1GDPはじめ毎月初の諸指標が発表になるが、RBAの出口戦略と共に景気への利上げの影響を注視したい。
また今週発表される中国のPMIが予想通りに底入れするか?非常に重要であろう。
先週はNZ準備銀行が50bpの利上げを実施し今後の利上げ継続を示唆したこともオセアニア通貨高の一因となった。RBAはRBNZほどタカ派に傾いているわけではないが、今週発表される諸指標の結果次第では、来週のRBA理事会にむけて大幅利上げ(50bp)の観測も出ることが予想され豪ドルをサポートしよう。
尚水曜日に発表されるQ1GDPは予想値が前期比+0.7%(前回+3.4%)、前年比+3.0%(前回+4.2%)と減速予想となっているが、市場は“一時的減速”として既に織り込み済であろう。

また5/21の総選挙では事前予想通りに労働党の9年ぶりの政権交代となったが、政権交代の経済及び外交に及ぼす影響は然程大きくないと予想され、市場の混乱は全く見られなかった。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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