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今週の為替相場見通しby Joe Tsuda(津田 穣)4 July 2022

4 July 2022

◎<主なイベント>
7/4日(月)豪州住宅建設許可件数(5月)、スイス消費者物価指数(6月)、ユーロ圏生産者物価指数(5月)、
トルコ消費者物価指数(6月)、独立記念日祝日のため米株式・債券市場は休場
ウクライナ復興会議(5日まで)
5
日(火)日本10年利付国債入札、日銀需給ギャップと潜在成長率、韓国消費者物価指数(6月)、中国財新サービス業PMI(6月)、RBA政策金利、英中銀金融安定報告、ベイリー英中銀総裁 記者会見
6
日(水)日銀生活意識に関するアンケート調査、ドイツ10年債入札、ユーロ圏小売売上高(5月)、米ISM非製造業景気指数(6月)、米FOMC議事録(6月14日-15日開催分)
7
日(木)豪州貿易収支(5月)、日本景気動向指数(5月)、日本30年利付国債入札、米ADP雇用者数(6月)、ECB議事録(6月9日開催分)、米貿易収支(5月)、セントルイス連銀総裁講演、ウォラーFRB理事全米企業エコノミスト協会(NABE)インタビュー、G20外相会合(8日まで)
8
日(金)日本景気ウォッチャー調査(6月)、米雇用統計(6月)、ラガルドECB総裁講演、NY連銀総裁講演、ECB気候変動リスクストレステスト結果公表
9
日(土)中国消費者物価指数・生産者物価指数(6月)
10
日(日)参院選投開票


◎<マーケットの焦点>―波乱含み-135円台が目先の均衡点?

前週、久しぶりに前週比プラス圏で終わった米国はじめ主要国の株価は、先週再びマイナス圏に沈んだ。
週前半は円安が先行。ECBフォーラムでパウエルFRB議長が「米経済は金融引き締めに十分対応できる状況にある」と発言し、米10年債利回りは3.2%レベルに上昇。ドル円は19989月以来の137.00にワンタッチした。
しかしパウエル議長の発言以降、米経済成長鈍化懸念が急激に台頭し、株安と共に米債利回りが低下。6月シカゴPMIISM製造業景気指数が悪化する中、米10年債利回りは2.88%まで低下した。
利回り低下を受けて金曜日米株価は反発したが、結局前週末比でNYダウが
-403pts
、ナスダックが-305ptsで越週した。
週末にかけては株安・リスクオフのドル買い優勢となりユーロは一時1.03台、ポンドは1.20割れまで軟化したが、137円をヒットしたドル円は、リスクオフの流れを受けて一時135円台を割り込み、ドル高/円高相場となっている。
早くも年後半に突入し、コロナはピークアウトしたものの依然終息には至らず、ウクライナ紛争は、長期化・ドル沼化の様相だ。
係る中主要国(日本以外)の金融引き締め転換は景気減速懸念を生み、早くも米欧では予定より早い利上げ打ち止め観測も聞かれる状況。
今週は6月米雇用統計で米経済の減速の実態を見ることになるが、申すまでもなく、失業率や就業者数は「景気の遅行系列」に属し、むしろここまでの結果であって市場は更にその先を読むことになる。
各国そろって景気減速となれば、やはり“ドルの優勢地合”に著変はないであろう。更にウクライナ紛争のみならず中国・香港など世界的な地政学的懸念のよる安全保障面からのドルニーズは変わらないだろう。
黒田総裁は就任10年になり、自らの“黒田バズーカ不発”→予期せぬエネルギー価格高騰による「インフレ目標達成(足元2.5%)」には“内心忸怩たるもの”があるだろう。ただ、主要国の当局は、黒田総裁ほどは現在のインフレを一過性とは見ていない。足元のインフレを認めず、金融緩和に固執するのは「国民のインフレ期待そのものを損なう行為」であろう。本当に円安の弊害を懸念するのであれば「インフレ正常化はそう遠くない」程度のリップサービス発言はすべきであり、そうしないのは黒田総裁自身「内心強く更なる円安を望んでいる」ということではないか?
何と言っても10年間低インフィレに苛まれてきた黒田総裁である。
現在、自分的には「136円台では高い」と感じ、「134円台では安い」と感じる。年初市場の想定外であった「135円台がニュートラル」??
円相場の地合も変わったものだ、、、、、
ただ140円達成の前に、もう少しアップ・ダウン(むしろダウン・アップ?)して“地ならし”する必要があるように思う。

 

◎<豪ドル相場>

意外に続くU70(アンダー70セント)状態―再びベアセンチメント

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6763-0.6964  AUDYEN  91.43-94.71
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6700-0.7000  AUDYEN  90.00-94.00

先週の豪ドルは結局一度も70セント台を回復せず、むしろ一時67セント台まで下落。対円でもドル円137円台への上昇で週前半は踏み止まったものの、結局豪ドルドルの下落に押されて週後半は91円台まで下落する局面もあった。
「70セント台以下が押し目買いでサポートされ、円クロスの堅調に支えられていずれ70セント台回復」との見通しであったが、ここまで完全に読み違いであった。
予想外のユーロの軟調(ドル全面高)にドル円がついて行けず、ドル高・円高になりつつあるのが豪ドル下落の一要因。
また主要国の景気減速懸念が強まり、原油価格が一時105ドル台まで下落し、商品先物インデックス(CRB Index)が月初の351台から310台まで反落したことも豪ドルの重石となった。
豪ドルの行く末は今後の世界経済見通しに左右されるが、悲観的シナリオで株価や商品相場の下落が続くようであれば、豪ドルは65セント方向へ掘り下げられる可能性がある(サブシナリオ)。ただ、足元の景気減速懸念が緩和されるようであれば、徐々に70セント台を回復することとなろう。
今週のRBA理事会では50bpの利上げを市場は予想している。
ただFRBはじめ主要国中銀の引き締めスタンスが当初予想ほど強くないのであれば、今後のRBAの引き締め幅も下方修正されることとなろう。
今回50bpの利上げがあったとしても、主要国追随型であり、豪州が率先して利上げを行う上状況にはない。

 

―読者各位―
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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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