20 March 2023

◎＜ポイント＞ 　金融不安は一過性か 

・先週は米銀の金融不安とクレディスイスの経営不安が表面化し、株安、商品相場安、ドル高・円高の“リスク回避相場”となった。
・先日FRBが「ターミナルレートは予想されたより高くなる可能性」と発言した直後の金融不安勃発ということで市場にはカウンターパンチ。
・138円近辺まで上昇していたドル円は一気に131円台まで反落した。安全通貨円神話の復活とは“口が裂けても”w言いたくないが、主要国が金融緩和に転じれば、“動かざること山がごとし”のゼロ金利円との金利差縮小で円の再評価なることを市場は先取りしているのだろう。
・ポイントは今回の金融不安が「第二のリーマンショック」のトリガーになるか？―そうはならないと思う。
・リーマンショックは野放図なMBS投資と米国の不動産バブル崩壊がもたらした人災である一方、今回のSVBやシグネチャーバンクの破綻、そして他の米銀の経営不安問題はFRBによる大幅利上げのもたらした、ある程度計算の出来た結末であろう。
・米金融当局も不安のSNS拡散に対抗すべく迅速な対応策（預金の全額保護など）を表明したのは、まさにリーマンショックの教訓だろう。
・一方欧州有数の銀行クレディスイスの経営不安問題は2021年の同行の米ヘッジファンド・アルケゴスへの投資損失（5200億円相当）や同年の英グリーシルへの投資損（700億円相当）による古傷に起因しており、筆頭株主のサウジナショナルバンクの追加投資拒否が引き金となり「too big to rescue（大き過ぎて救えない）」問題を抱えていた。しかし先ほどUBSによる買収（30億スイスフラン＝訳4200億円）で合意のニュースが出ており、こちらも終点が見えてきた。
・今週のFOMCでは金融不安の局地化が可能であれば、当初予想通りの25bp利上げを予想するが、これは先週のECBによる50bp利上げ同様に、金融不安の拡大懸念を打ち消す意味合いもあるだろう。
・一旦金融不安によるリスク回避相場が終了すれば株安・ドル高・円高の流れに調整が入ることになろう。
・ただまだ表面化していない欧州の銀行への利上げに起因する経営問題や20年以上にわたるゼロ金利状態にあえぐ邦銀の経営問題などが今後表面化する可能性も忘れるべきではない。
・今後主要国が金融緩和局面入りとなれば“ゼロ金利円”との金利差縮小で相対的に円が再評価される局面も予想され、安全通貨に代わる不動の金融政策で投機的に円が買われる局面もあるだろう。
・しかしそれあくまで“投機による円買い”であり、最終的には日本固有の問題が表面化し、円が大幅下落するとの考えは変えていない。（詳しくは本日アップされるセントラル短資FX社のマーケットビューご参照）

◎＜豪ドル相場＞

豪ドルはリスク回避相場の中67セント台、87円台まで下落
金融不安が過ぎ去れば買戻しとなるだろう

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6589-0.6725  AUDYEN  87.35-90.19
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6600-0.6900  AUDYEN  87.00-91.00

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