3 July 2023

◎＜ポイント＞ 先週ドル円は一時145円台に達したが昨年のような過熱感なし

・先週はドル高と円安が同時に進行し、ドル円は143円台から金曜日には一時昨年11月以来となる145円台を付けた。
・ユーロ円はリーマンショック以来の高値157円台を、対ポンドでBrexit投票前2015年以来の高値183円台を付けるなど“円全面安地合”。
・注目のECBフォーラムにおける主要国中銀討論会では、予想通りに日銀は金融緩和姿勢継続を訴え、米国はじめ欧州、英国などの中銀は引き締め堅持の姿勢を示し、日本と主要国の金融政策格差は歴然としていた。
・印象的だったのは植野日銀総裁が日本における堅苦しいイメージと異なり、ジョークを交えながら日銀緩和姿勢の継続や円安環境を説明したこと。
・特に「2年程度とも言われる金融政策の効果」について問われたところ、自身が日銀審議委員であった25年前の政策金利0.2～0.3%と現在のマイナス金利を比較して「緩和期間は少なくても25年のようだ」とのジョーク発言は、パウエル議長はじめ主要国中銀総裁の笑いを呼んだ。発表された6月の東京都区部のCPI3.2%(予想3.4%、前回3.1%)が落ち着いた数字となったことも、緩和の長期化を印象付けた。
・今週は米6月雇用統計が発表になるが果たして強かった5月に続いて堅調を維持するか？7月の利上げ再開の有無を占う上で重要であろう。
・ECBフォーラムでは極端な金融緩和でも物価が上昇しない日本の“ユニークさ”が目立ったが、これは今に始まったことではなく、逆に日本がインフレを他の主要国に輸出しているとの見方もできるわけだ。
“日本の特異性”に留まるうちは良いが、いずれその超人為的な金融政策や悪化の一途を辿る財政政策に対する批判が強まるだろう。
・植田総裁の言う“25年間”で大きく円安に動いているのは日本への評価の表れであり、この流れは今後も続く（いずれ大幅円安）との見方は変えていない。

◎＜豪ドル相場＞――引き続き対ドル軟調、対円強保合か

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6597-0.6720  AUDYEN  95.16-96.50
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6500-0.6800  AUDYEN  94.00-98.00

・先週豪ドルは「ドル高・円安地合」の中、対ドルでは軟調、対円では豪ドル軟調とドル円堅調が相殺し合い、95-96円台で保合推移となった。
・発表された中国6月製造業PMIが49.0と依然50を下回っていることも、豪ドルの上値を重くした一因。
・今週のRBA理事会では政策金利を4.1%に据え置く予想が多いが、連続利上げすればサプライズであり、むしろ豪州経済への悪影響が懸念される事態となるだろう。豪州の経済規模は米国の約1/15であるが、金利大幅上昇の影響を吸収する力は米国より劣っていることは間違いないだろう。
・米6月の製造業・非製造業ISMや雇用統計が軟化する可能性もあるが、先週発表された5月の豪州CPI 5.6%(予想6.1%、前回6.8%)に低下する一方、米国のQ1GDPは上方修正されており、経済指標は相対的に米国優位だろう。
引き続き対ドル軟調、対円では「保合からいずれ上放れ」を予想する。

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