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「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)23 September 2024

23 September 2024

<ポイント>
―先週のFOMCBOJ会合終わって、ドル安・円安の様相―

・今週の予想レンジ:142-146 ―堅調推移か
先週のレンジ:139.58-144.49 (先週の予想レンジ:139.00-144.00)
・先週はFOMCと日銀政策会合というビッグイベントを通過したが、一言でいうと”BUY on fact”(この読みは当たった)。FOMCでは50bpの大幅利下げが行われ、一方日銀会合では金利は据え置きになったものの、植田総裁は「データが見通し通りであれば利上げということに変わりない」と述べ、ドル円はFOMC直後140円台半ばまで、また植田総裁会見中も一時141円台後半まで急落したが、結果的に金曜日のNY市場では144円台半ばまで急反発したのは”BUY on fact”そのものであった。
・今年始まった主要国の金融緩和への転換。
早い順にSNB(スイス中銀)3月、カナダ中銀とECB 6月、BOENZ中銀8月、FOMC 9月とバラつきはあったが、金融緩和方向は明白。
その中でRBAは依然政策を据え置きにし、日銀のみが3月と9月に“利上げ”を行った。
・植田総裁は政策会合後の記者会見で「他国との金融政策のサイクルの違い当然ありうる」と発言しているが、果たしてこの「周回遅れの逆走」は日本に固有として適切なものなのか?
・パウエル議長は奇しくも「政策調整(上げて下げ)は経済と労働市場の強さを維持するのに役立った」と述べているが、金利水準5%であるが故の金融政策の有効性・柔軟性である。かつて“マイナス金利の雄”であったスイス中銀すら、低金利(最高1.75%の政策金利)ながらも今年ここまで利下げを2回行いインフレ対応に成功しているのだ。
・引き換え“サイクルの違い”と称して利上げ継続を示唆する植田・日銀。
主要国の今年のGDP予想値(カッコ内は2025年)――IMF7月予想)では日本0.7%(1.0%)、米国2.6%1.9%)、ユーロ圏0.9%(1.5%)、英国0.7%(1.5%)、豪州1.4%(2.0%)。日本の低成長が際立ち、しかもその原因は個人GDPの低さであり、その原因は労働生産性や労働分配率の低さ、、(近々日本経済の凋落を分析したい)
・“腐っても鯛”のGDP世界4位や対外純資産世界1の陰で、日本経済は着実に衰退している。今日明日170円に円が下落するわけではないが、いずれボディーブローとなって効いてくるだろう。
・ドル円は140円割れで底入れと見るが、今週も円ブルと円ベアの綱引きだろう。ドル円はややレベルアップを予想する。

 

◎<豪ドル相場>
先週のFOMC、日銀政策会合を通過して、足元ドル安・円安相場となっており、豪ドルもこの動きに準じて対ドルでは68セント台に続伸し、対円でも98円台と9月初旬以来のレベルを回復している。

先週の相場レンジ―AUDUSD 0.6705-0.6839   AUDYEN  93.87-98.31
(先週の予想レンジ―AUDUSD 0.6600-0.6800   AUDYEN  92.00-97.00)
今週の予想レンジ―AUDUSD 0.6700
-0.6900    AUDYEN  96.00-100.00


・先週はFOMCにおける50bp利下げに欧州通貨は素直に反応して上伸。ユーロが1.11台を固める中豪ドルも68セント台まで続伸した。
・対円では「ドル安・円安地合」を受けて月初来となる98円台まで回復した。因みに今月の安値はドル円の140円割れ時に93円台まで下落している。
・発表された8月雇用統計は、失業率は4.2%と前回並みであったものの、就業者数は+4.75万人(予想+2.5万人、前回+4.89万人)とpart-time-jobが急増したとはいえ、先月に続いて強い数字を示し、RBAの利下げ観測が後退したことも豪ドルをサポートした。
・明日のRBA理事会では政策金利は引き続き4.35%に据え置き予想となっているが、合わせて水曜日発表の8月CPI(予想+2.7%、前回+3.5%)と木曜日に発表される“RBA四半期金融政策報告書”も注視したい。
・上述のように日銀を例外視すればRBAは先進国で唯一金融緩和を実施していないが、今後景気動向に照らして利下げの時期を探ることとなろう。
・商品相場も持ち直しつつあり、暫くドル安・円安地合を受けて豪ドルの堅調地合が継続しそうだ。

 

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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