今週の主な予定、イベント
7/8(月)日本5月国際収支、ユーロ圏財務相会合
9(火)中国6月CPI/PPI、英5月鉱工業生産、EU財務相理事会
10(水)中国6月貿易収支、欧州銀行監督機構理事会、米FOMC議事録、バーナンキFRB議長講演
11(木)日銀金融政策決定会合、豪州6月雇用統計、ECB月報、米新規失業保険申請件数
12(金)日銀月報、日本5月鉱工業生産/設備稼働率、米6月PPI、米7月ミシガン大学消費者信頼感、地区連銀総裁講演(サンフランシスコ、セントルイス)
マーケットの焦点
キーワード:雇用統計後の米国のQE縮小観測、エジプトのクーデターと原油高、ギリシャ・ポルトガル懸念再燃?中国金融市場の混乱
先週はリスク要因多いものの(中国金融不安、エジプトクーデターと原油高、ポルトガル・ギリシャ不安再燃など)、ECBとBOE理事会でハト派的な姿勢が確認できたことや週末の米国6月雇用統計が強い内容であったことから世界的に株価は堅調推移しました。
商品相場はエジプト懸念と需給ひっ迫感から原油高(1バレル103ドル台)が進みましたが、商品相場全般はドル高を反映して軟調推移でした。
為替相場では上述のようにドル高が進行しました。
量的緩和(QE)縮小観測が高まる米国に対して、日本の”異次元の緩和”は元より、欧州(ECB、BOE)が緩和姿勢を鮮明にし、特にECBは「長期にわたり低金利維持」というように、時間軸方式に転換しています。
また豪州でもRBAが再利下げを示唆したり”豪ドル安誘導”とも取れる発言をしたりで、米ドルとその他通貨の格差が浮き彫りになりました。
週末の強い米雇用統計を受けてドル円は101円台前半に上昇し、ユーロは1.28台前半に、ポンドは1.48台半ばに、豪ドルは0.90台半ばに下落しています。
今週も米国の量的緩和縮小観測が市場の焦点で、その意味でも10日(水)に発表される今月のFOMC議事録とバーナンキ議長の講演が注目されます。議長講演は来週17/18日の議長の半期に一度の議会証言の前哨戦とも言えます。
今朝発表された日本の5月国際収支では経常黒字が+5,407億円(予想+6,000億円、前回+7,500億円)に縮小し、一方貿易赤字は-9,067億円(予想-9,011億円、前回-8,188億円)に拡大し、ファンダメンタルズ面からの円安をサポートしています。
また今週10/11日(水/木)の日銀会合では”経済・物価情勢の展望”の中間評価がなされますが、日本版長期資金供給オペ(LTRO)導入の可能性があり、その場合には更に円安に働く可能性があります。
ユーロはECBの金融緩和継続姿勢に加えて、ポルトガルの政局不安定や、ギリシャの債務協議の問題などを抱え、足元軟調な展開が予想されます。またエジプトのクーデターによる地政学的懸念から原油が高騰していますが、こちらもリスク要因と解釈すべき問題です。
主要国の金融緩和継続姿勢から世界的にリスク許容度は増加しつつありますが、米国のQE縮小観測や地政学的懸念等の波乱要因には留意すべきでしょう。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9036-0.9253 AUDYEN 90.16-92.42
今週の予想レンジAUDUSD 0.8950-0.9250 AUDYEN 90.00-93.00
豪ドルドルは軟調推移、一方豪ドル円は底堅い展開でしょう
先週の豪ドル底入れ予想は見事に外れました。
原因はRBA理事会の結果やスティーブンスRBA総裁講演における”執拗な豪ドル高牽制、あるいは豪ドル安誘導とも取れる発言”です。
発表された国内指標では5月小売売上高が+0.1%(予想+0.3%、前回+0.2%)、5月住宅建設許可件数が-1.1%(予想-1.0%、前回+9.5%)と冴えない一方、5月貿易収支は+670mio(予想+53mio、前回+28mio)と大幅に黒字がアップするなど、相変わらずの”まだら模様”でした。
ただRBA理事会では金利は予想通りに据え置かれたものの、声明では「一段の緩和余地がある可能性、豪ドルは依然高水準にある、豪ドル安は経済のリバランスに寄与する、豪ドルが一段と下落する可能性がある」と述べています。
また翌日のスティーブンス総裁講演では、こちらも「豪ドルは豪州経済の多くの部門にとって高過ぎる水準、豪ドル下落が経済を支援する可能性、交易条件を勘案すると豪ドル下落にあまりに時間を要した」とこれまた”豪ドル安誘導”とも取れる発言です。
現在の豪ドルは中国景気減速懸念/金融市場の混乱、米ドル高(QE縮小観測)、RBAの豪ドル高牽制など、依然として悪材料が目立ちます。
特にRBAが露骨に豪ドル高牽制を執拗に継続していますので、やはりそれを無視するわけにはいきません。
これで7月が陰線(豪ドル下げ)で終わって、6月、7月とダブル陰線となれば、前から申し上げている2010年、11年、12年の年央の”大幅下げ→翌月か翌々月急反発”のパターンが崩れることになり、気がかりです。
ただ豪州に住んでいると豪ドル安からの輸入物価の急上昇に悩まされています。豪州は日用品などの工業製品はほとんど輸入に頼っていますが、それら製品価格が上昇しています。また東海岸(シドニー、メルボルン、ブリスベンなど)のガソリンは中東からの輸入原油に頼っていますが、年初リッター1.2ドル程度であったガソリンが現在1.6ドルと急騰(25%高)するなど、豪ドル安の弊害が出てきています。
足元豪ドルの軟調が続きそうですが、かかる輸入物価の上昇からインフレ懸念が高まることや、中国の景気が回復基調となるサインが見られれば、豪ドルは徐々に底入れすることになると予想します。
それでは Have a nice week in advance!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
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