今週の主な予定、イベント
8/12(月)日本Q2GDP、ギリシャQ2GDP
13(火)日銀議事録、NAB企業信頼感/景況感指数、独8月ZEW景況感指数、英7月CPI・PPI・小売物価指数、米7月小売売上高、アトランタ連銀総裁講演
14(水)英7月失業率、英中銀議事録、Q2ユーロ圏・独・仏GDP、米7月PPI、セントルイス連銀総裁講演
15(木)日本終戦記念日、米7月CPI・鉱工業生産・設備稼働率、米8月NY連銀製造業景況指数、8月フィラデルフィア連銀景況指数、セントルイス連銀総裁講演、新規失業保険申請件数
16(金)ユーロ圏7月CPI、米7月住宅着工件数・建設J許可件数、米8月ミシガン大学消費者信頼感
マーケットの焦点
キーワード:米ドル反落、米国量的緩和縮小観測、日本のQ2GDP、米債償還・利払い月、欧州Q2GDP、8月ネガティブサプライズ
先週は株式相場も夏休みを控えた利食い調整の動きが活発で、景気減速懸念がやや薄らいだ中国以外の主要国の株価は軟調推移しました。
NYKダウは15,300ドル台にまた日経平均は13,500円台に反落しました。
係る株価や商品相場の軟調を背景とした”リスク回避の動き”が高まり為替市場では”ドル安・円買い”の動きが目立ちました。
ドル円は一時96円割れまで反落し、ユーロ円128円割れ、ポンド円147円台、豪ドル円86円台まで一時値を下げています。
ドル円は5月に103円台まで上昇後6月には93円台まで大幅下落しましたが、その原因は急激な買われ過ぎの調整もさることながら、日銀会合で期待された追加緩和がなく政策が据え置きとなったこと、及び米国の量的緩和縮小に対する不透明感から主要国の株価が大幅に反落したことでした。
今回の円買い戻しも同様の原因と考えられますが、やはり昨年76円台から今年103円台まで急上昇したドル円相場は、既にアベノミクス効果や黒田日銀総裁の異次元の緩和、更には米国のQE縮小をかなり織り込みつつあり、ドル円続伸には新たなカンフル剤(支援材料)が必要なようです。
むしろ日本の消費増税問題はこの秋にかけての最大政策課題であり、景気回復の腰を折るようであれば、更に”失望の円買戻し”に繋がる可能性があります。
一方6月ま末で日本の政府債務残高(国の借金)は初めて1000兆円を上回りこれはGDPの200%以上と世界最大規模です。
<景気、消費増税、財政赤字>と依然として日本を取り巻く環境は厳しいですが、これらの懸念要因は”失望の円高”と“日本売りの大幅円安”の両面の可能性を孕んでいます。
足元を見れば今朝発表された日本のQ2GDPは前期比年率で+2.6%(予想+3.6%、前回+4.1%)と三期連続のプラスではありますが、Q1の勢いがないのがやや不安なところです。
その他でも8月は米債償還・利払い月に当たりますので、それらの円転需要が発生することが考えられます。尤も米国債に再投資されるのであれば影響はニュートラルですが、QE縮小を嫌って最近米国債ファンドからの資金流出が目立っているのも事実です。
また本邦のお盆夏休みシーズンで本邦輸出企業がドル売りオーダーを置いて休暇に入るのも例年のパターンであり、これらのドル売りオーダーがドルの戻り高を阻む可能性もあります。
それでなくても8月は過去の例から見てもネガティブサプライズ月として多く事象が起こっています。
1993年欧州為替メカニズム崩壊、1998年ロシアのデフォルト(債務不履行)、2007年パリバショックから米サブプライム問題表面化、2011年米国格下げなどです。
ドル円相場が再び100円乗せとなるのは本邦の需給面で円売り需要が増え、また米国経済が一層回復し量的緩和縮小が鮮明化する秋口~年末にかけてとなるのかもしれません。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.8848-0.9214 AUDYEN 86.40-88.77
今週の予想レンジAUDUSD 0.9100-0.9400 AUDYEN 87.50-90.50
今週の豪ドルは底堅い動きで対米ドルは上値テストでしょう
先週豪州国内ではRBA理事会による史上最低レベルへの利下げ(2.50%)、6月小売売上高や7月雇用統計の冴えない数字(就業者数-10.2千人、失業率5.7%)、RBA四半期金融報告書において短期的経済成長予想を引き下げなど豪ドルにとっては悪材料が目立ちました。
しかし豪ドルは88セント台、86円台から92セント台、88円台までむしろ反発しています。
典型的な利下げ前の”Sell on rumor, Buy on fact"ではありますが、徐々に豪ドルが自律反転ムードになりつつあるように思います。
つまり上記の悪材料には反応薄で、むしろポジティブなサイドを見出しています。
つまりRBAは利下げを断行しましたが「今後の追加緩和について声明で言及しなかったこと」に市場は注目しており、気の早いRBAウオッチャーの中には”利下げサイクルの終了”を予測する向きもいます。
また発表された中国のPMIが予想を上回り、7月貿易収支において輸入が大幅に増加している点(前年比+10.9%、予想+1.0%、前回-0.7%)を好感するなど、中国景況が予想ほど悪くないことも豪ドル買い戻しを誘いました。
また当地の新聞などの論調でもRBAの利下げを必ずしも評価しておらず、野党自由党は「労働党の経済政策の失敗が住宅バブル懸念が持たれる中で史上最低レベルまでの利下げを強要した」と非難しています。
確かに豪州の住宅産業は2001年以来の活況ですが、やはり低金利が最大の原因であり、今後景気が減速する場合には高過ぎる住宅価格とのギャップから”住宅バブルバースト”が発生することが懸念されます。
また年金生活者や資産運用者が安全な金利運用からよりリスク値の高い運用へのシフトを余儀なくされている点も低金利の問題点と指摘しています。
豪州資源投資ブームの終焉は世界の資源需要が減退していることよりは、豪州以外の生産国のキャッチアップが主な原因です。
豪州資源産業の生産コスト低下が急務ですが、豪ドルの大幅下落は追い風であることは確かです。
米国の量的緩和縮小観測から豪ドルの対ドルの戻りはせいぜい0.95近辺と思われ、また上記のように円高傾向が収まるにはまだ時間がかかりそうですが、豪ドルの下値は徐々に固まりつつあると思われます。
それでは Have a nice week in advance!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
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