今週の主な予定、イベント
3/17(月)ユーロ圏CPI、米国3月住宅市場指数/鉱工業生産
18(火)独ZEW景況感指数、米2月CPI/住宅着工
19(水)日本2月貿易収支、英中銀議事録、FOMC(経済予測公表)、イエレン議長会見
20(木)黒田日銀総裁会見、米2月中古住宅販売/景気先行指数、EU首脳会議、FRB最新のストレステスト結果発表、新規失業保険申請件数
21(金)日本春分の日祝日、黒田日銀総裁講演、フィッチ米格付けを発表、FRB講演(スタイン理事、ミネアポリスFED、セントルイスFED)
マーケットの焦点
キーワード:ウクライナ情勢(クリミア住民投票後)、人民元の許容変動幅拡大、日本の2月貿易収支、FOMC、3月末リパトリ
先週も週末のクリミア自治共和国の住民投票を控えてウクライナ情勢が緊迫化し、また中国の金融不安や景気後退懸念が台頭するなど、市場のリスク許容度は低下して、世界的に「株安、商品相場安」が進行しました。
NYダウは16,000ドル近辺、日経平均は14,300円近辺と年初の水準(NYダウは16,442ドル、日経平均は16,291円)を割り込んでいます。
また為替市場ではリスク回避の円買いが活発化し、ドル円は週初の高値103円台から101円台に下落し、ユーロ円は143円台から141円台に、またポンド円も173円台から168円台に値を下げています。
注目のクリミア自治共和国の住民投票では、暫定開票の結果、95.5%がロシア編入を支持という結果。
米国はロシア影響下での住民投票を認めない方針で、EUも住民投票は違法としており、欧米はロシアに対して追加の制裁を課すことを示唆しています。
今週もIMFやEUのウクライナへの金融融資が行われるか否かも含めて、ウクライナ情勢から目が離せません。
また先週李中国首相はシャドーバンキングを巡る金融商品(理財商品)の一部で債務不履行(デフォルト)が不可避との見方を示すなど、中国金融不安が伝えられますし、加えて景気スローダウン懸念から国際商品である銅価格や鉄鉱石価格が大幅に下落するなど、中国に対する懸念も根強いものがあります。
中国人民銀行は一部予想された”人民元の許容変動幅”を週末に従来の1%から2%に拡大しました。(前回は2012年4月に0.5%→1.0%に拡大)
長い目で見れば人民元の市場化に近づくものとして評価できますが、前回の拡大時には豪ドル下落や円買いの反応が見られており要注意です。
また今週は18/19日とFOMCが開催されますが、こちらもイエレン新議長やフィッシャー新副議長の元での最初のFOMCであり注目されます。
先週フィッシャー新議長候補は公聴会において「金融緩和が引き続き必要」と述べており、国際情勢も中国やウクライナ懸念がある現状、緩和政策の継続が確認される模様です。
ただ緩和縮小(テーパリング)については12月、1月に続いて今月も100億ドルの緩和縮小を実施するものと思われます。
その他では19日(水)に日本の2月貿易収支が発表されますが、1月の史上最大の赤字2兆7,917億円から6,000億円程度に赤字の縮小が見込まれます。
3月末の期末決算を控えてリパトリ(外貨資産の売却円転)の可能性も指摘される中、貿易赤字の縮小は円買い圧力となる可能性もあります。
ドル円は先週既に103円台から101円台に下落していますが、上述のリスク回避の動きや需給面を考えると“ドル円一段安”で100円近辺をテストする可能性もあるでしょう。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.8924-0.9103 AUDYEN 91.29-93.61
今週の予想レンジ AUDUSD 0.8900-0.9200 AUDYEN 90.00-93.00
今週の豪ドルは上値の重い展開でしょう
先週はウクライナ情勢も一服ということで”豪ドル底堅い動き”を予想しましたが見事に外れました。
ウクライナ情勢(週末のクリミア選挙)に加えて中国関連の悪いニュースが次から次へとクローズアップされ、加えて銅や鉄鉱石価格の下落も豪ドル下押し材料となりました。
発表された2月の雇用統計は就業者数がなんと+47.3千人と10年ぶりの大幅増となり、失業率も前月の6.0%から悪化しませんでした。
おまけに前月分の就業者数が-3.7千人から+18.0千人に大幅上方修正!
豪州の雇用統計も米国同様にある期間のサンプリングから算出されますが、”雇用が豪州経済のアキレス腱”と説明してきたエコノミストや私自身も含めて解釈に窮してしまいます。
まあ、もう数カ月の結果を検証していく以外にありませんが、今回の非常に強い雇用統計効果も一時的で、やはり上記のようなリスク回避の動きに豪ドルも流されて下落してしまいました。
豪ドルは再び月初の安値89セント台近辺、90円近辺が視野に入ってきました。
足元はウクライナや中国関連などリスク回避材料が多く上値の重い展開を予想します。
ただウクライナ紛争も地域紛争の一つであり、大戦争に発展する可能性は少なく、早晩解決に向かうでしょう。
また中国の景気・金融不安も別に今回が初めてではなく、景気減速を市場は既に織り込みつつあることを考えれば、極端な悲観論に立つ必要もないと思います。
目の前のリスク回避の次のアクションをそろそろ考え始める時かも知れません。
(豪ドルの買い場探し?)
「リスクはチャンス」なのかも知れません、、、
それでは:
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
http://www.gaitame.com/gaitame/
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