今週の主な予定、イベント
5/19(月)ダラス連銀・SF連銀総裁パネルディスカッション、バーナンキ前FRB議長講演
20(火)英国4月CPI・PPI、カーニーBOE総裁講演、地区連銀総裁講演(NYK、フィラデルフィア)
21(水)日本4月貿易収支、日銀会合(黒田総裁会見)、FOMC議事録、FRB高官発言(イエレン議長、NYK連銀、カンザスシティー連銀)
22(木)日銀月報、中国5月HSBC製造業PMI、独/ユーロ圏5月PMI、米4月中古住宅販売、新規失業保険申請件数
23(金)独5月ifo景況感指数、米4月新築住宅販売件数
25(日)ウクライナ大統領選挙
マーケットの焦点
キーワード:ウクライナ情勢(5/25大統領選挙)、日銀会合、ECB追加緩和観測、日本の機関投資家(GPIF)
先週は一時NYKダウや独DAX総合指数が史上高値を付けるなど週前半は株価堅調でしたが、週後半はウクライナ情勢緊迫化に加えて東南アジア(中国⇔ベトナム)の地政学的リスクも表面化し、NYKダウは調整売りに押され、日経平均も14,000台まで連れ安となりました。
為替市場では前週上昇したユーロやポンドなどの欧州通貨が下落して米ドル堅調となりましたが、株価の冴えない動向からドル円は102円台前半から101円台半ばまで反落しています。
特にユーロは前週のECB理事会後のドラギ総裁発言や、その他ECB高官の発言から6月追加利下げ観測が高まり、前週の1.40近辺から一時1.36台半ばまで大幅下落しています。
今週は20/21日の日銀会合が注目されます。
現状の金融政策維持が予想されますが、5/30に発表される日本の4月消費者物価指数や6月に予定される安倍政権の新成長戦略を確認した後の6/12-13、7/14-15での追加緩和の可能性が指摘されます。
2015年10月の消費増税の判断材料が今年Q3の経済成長率であることから、日銀は6月、7月に追加緩和を打ち出してQ3のGDPを加速させる必要があるためです。
また日経平均が2013年4月の黒田総裁異次元緩和導入時のレベルまで下落しているために、今週20/21日の日銀会合でサプライズな追加緩和を発表する可能性も全くないとは言えません。
ウクライナ情勢では25日の大統領選挙を控えて、ラブロフ・ロシア外相の言葉のようにウクライナは実質的に内戦状態に入ったとの見方もあります。
またウクライナ政府もロシアは宣戦布告なき戦争を仕掛けている発言しています。
大統領選挙で親欧米派が勝利した場合はロシアが6月上旬に天然ガス供給停止を警告しています。一方オバマ政権がロシア国家や金融機関の資産凍結を強行すれば、ロシアは米債券売却の可能性をチラつかせており、今週も緊張の度合いが高まる可能性があります。
6月から日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が外貨建て投資を増額する可能性が指摘され、この傾向は他の本邦機関投資家の運用方針にも影響を与えることが予想され、こちらも注目する必要があります。
今週も上記の市場のボラティリティーを高める材料には事欠きません。
ただこれらは既に周知の材料であり、余程想定外のサプライズとならない限りは、引き続き神経質な相場展開が継続する可能性があります。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9327-0.9409 AUDYEN 94.72-96.10
今週の予想レンジ AUDUSD 0.9250-0.9450 AUDYEN 93.50-96.50
今週の豪ドルは基本的に堅調地合を予想しますが、主要国の株価下落やリスク警戒が強まれば、反落に転じる可能性にも留意すべきでしょう。
先週豪ドルはユーロやポンドなどの欧州通貨が対ドルで軟調推移する中、ある程度の堅調地合を維持しました。
火曜日に発表された2014/15年度連邦予算案はかなり緊縮予算となりました。
「本年度の財政赤字額を499億ドルと予想し、来年度はこれを298億ドルに削減するとする。そして2018/19年には均衡財政に持って行き、2023/24年にはGDPの1%程度の財政黒字を見込む」としており、公務員削減、医療保険制度の縮小、GST(日本の消費税で現行10%)引き上げ構想、年金支給開始年齢引き上げ、所得増税などを盛り込み、次の4年間で370億ドルの財政改善を目指しています。
ただこの緊縮財政発表後は市場の反応は概して好意的でした。
つまり世界の主要国中GDP比の赤字額が最小レベルの豪州が更に均衡財政を目指す政策が評価されたかたちでした。
ただ今朝のファイナンシャル・レビューで発表された週末の政党支持率アンケートでは与野党の二大政党間支持率で保守連合44%(前回48%)、労働党56%(前回52%)、政党別支持率では労働党45%(34%)、保守連合35%(40%)、緑の党14%(17%)とアボット政権の支持率が大きく低下しています。
今後アボット政権は予算案の修正を出すことを余儀なくされるか、また気の早い向きは2016年の総選挙を待たずに年内解散総選挙の可能性を指摘しています。
昨年9月に発足した新政権ですが、早くも政権がぐらつき始めた感もあり、今後の政局は要注意です。
5月になってから”強保合い”相場を形成している豪ドルですが、上下に”放れる”エネルギーが溜まりつつあります。
株式市場における「Sell in May」の格言がやや不気味ですが、世界の株価や地政学懸念などの存在から、一旦”下放れ”する可能性にも留意すべきでしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
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