今週の主な予定、イベント
7/7(月)日銀地域経済報告、黒田総裁挨拶、安部首相豪州訪問、独首相中国訪問、ユーロ圏財務相会合
8(火)日本5月国際収支、英国5月鉱工業生産、EU財務相理事会、中曾日銀副総裁講演、地区連銀総裁講演(ミネアポリス、リッチモンド)
9(水)中国6月CPI・PPI、米FOMC議事録、米中戦略経済対話(~10日)
10(木)中国6月貿易収支、豪州6月雇用統計、韓国中銀政策金利、ECB月報、英中銀政策金利、米新規失業保険申請件数、地区連銀総裁講演(カンザスシティー、ダラス)
11(金)独6月CPI、カナダ6月雇用統計、メキシコ中銀政策金利、地区連銀総裁講演(アトランタ、シカゴ)
マーケットの焦点
キーワード:NYダウ史上高値更新、米国の求人労働異動調査、地政学的リスク、FOMC議事録、GPIF
先週は週初月末・四半期末ということで、株式市場にも調整が入り、またウクライナ/イラクの地政学的懸念もあってリスク回避ムードが高まりました。
しかし月初・新期を迎えて投資家マインドも心機一転、木曜日のビッグイベントECB理事会と米6月雇用統計に向けては株価上昇で市場センチメントも好転しました。
結局ECB理事会/ドラギ総裁会見から予想通りに緩和姿勢の堅持が確認され、またユーロ高に対するけん制も聞かれました。
また6月の米雇用統計は失業率が前回の6.3%(今回予想6.3%)から6.1%に改善し、非農業部門就業者数は前回の+224千人(予想+212千人)から+288千人と大幅改善し、米長期債利回りは上昇し、NYダウはついに17,000ドル台に史上高値を更新しました。
ただECB理事会と米雇用統計の結果を受けて米ドルが上昇しましたが、ドル円の上値は102円台前半止まり、またユーロも1.3600を割り込むレベルと相変わらず市場の動きは鈍いものでした。
ポンドは金利先高観に支えられてドル高にもかかわらず1.71台、ポンド円が175円台といずれもリーマンショック後の高値を更新している点が印象的でした。
さて、先週のビッグイベントを消化して市場はやや材料不足で、早くも「このまま夏休み相場に突入か」との見方もありますが、今週も注目ポイントはいくつかあります。
まずは8日に米国の求人労働異動調査(JOLT)が発表されますは、これは米労働省の発表される雇用統計とは別に、求人率、解雇率、退職率、採用率などに注目した分析結果であり、イエレン議長の強調する”労働の質”を探る上で重要です。
また9日には6月のFOMC議事録が発表されますが、今年に入ってFRBは出口戦略に向けた試験的措置として”リバースレポ(過剰流動性の吸収)”を実施しており、議事録から出口戦略に向けた議論の有無を探ることになります。
ウクライナやイラクの地政学的懸念も依然存在します。ポロシェンコ・ウクライナ大統領と親ロ武装勢力との和平協議が難航する場合にはリスク回避の動きが活発になるでしょう。
一方中東は現在ラマダン月に入っていますが、アルカイダ系武装組織「イラク・シリア・イスラム国」がイスラム国家の樹立を宣言しており、米国とロシアがマリキ・イラク政権を支援していることから緊張が高まっています。
米国の軍事介入なき中東紛争は有事のドル買いに働くばかりではなく、原油価格の急騰は、原油依存度の高い日本の貿易赤字を拡大させ、円安に働くでしょう。
またアベノミクス成長戦略第二弾としての年金改革の一環としてGPIFが海外投資を増やす可能性があり、その他本邦機関投資家の外物投資が増えれば、円安要因と認識できるでしょう。
先週のビッグイベントでも市場の動きは非常に限定的で失望感が募りますが、相場変動エネルギー徐々に溜まっていることは確かです。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9329-0.9505 AUDYEN 95.17-96.50
今週の予想レンジ AUDUSD 0.9250-0.9450 AUDYEN 94.00-97.00
今週の豪ドルは下値サポートされ底堅い動きでしょう
先週はRBA理事会で予想されたほどハト派的な声明文が出なかったことや、中国の6月PMIの堅調な数字を受けて一時95セント近辺、96.50まで買い進まれました。しかし発表された5月貿易収支が-$1,911mioと予想を大きく上回る赤字であったことやスティーブンスRBA総裁のかなり強いトーンの”豪ドル高けん制”で反落地合となりました。加えて米国6月雇用統計が非常に強い結果であったことから対ドルでの売り強まり、93セント台前半に下落した後小戻し。対円でもドル円の上昇が102円台前半と限定的であったことから95円台前半に下落した後、95円台半ば中心の揉み合いとなっています。
今週の国内指標で注目すべきは10日(木)の6月雇用統計(予想、失業率5.9%、前回5.8%、就業者数+12千人、前回-4.8千人)です。5月は久しぶりに就業者数減少となりましたが、本日発表の6月ANZ求人広告は+4.3%(前回-5.7%)と増加に転じており、就業者数も再び増加になる可能性が高いでしょう。
今回95セントワンタッチでRBA総裁の”豪ドル高懸念発言”が聞かれましたが、奇しくも米豪10年債利回り格差も1.00%を切っており、やはり95セントの壁は結構強固なのかもしれません。
むしろ豪ドル円はドル円が現在のレンジ101-103円を上抜けする場合には、年初来の高値を更新する可能性があるでしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
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ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。