今週の主な予定、イベント
9/8(月)日本7月国際収支、日本Q2GDP(改定値)、ルー財務長官講演、上海中秋節祝日休場
9(火)NAB8月企業景況感、日銀議事録、英7月鉱工業生産、FRBタル―ロFRB理事上院銀行委員会で証言、アップルイベント開催、香港中秋節振替休場
10(水)米7月卸売在庫、世界経済フォーラム夏季ダボス会議(天津)
11(木)NZ準備銀行理事会、豪州8月雇用統計、中国8月CPI・PPI、ECB月報、アジア欧州会議・財務相会議(イタリア・ミラノ)、米国新規失業保険申請件数
12(金)安倍首相講演、黒田日銀総裁講演、米8月小売売上高、米9ミシガン大学消費者信頼感(速報)、ユーロ圏財務相会合
マーケットの焦点
キーワード:日銀追加緩和の有無、FOMC(9/17-18)、地政学的懸念(ウクライナ、中東)、GPIF
先週も市場は材料満載でした。
ECB理事会では大方の予想を裏切りECBが追加緩和を実施しました。
政策金利を0.15%→0.05%に引き下げ、上限金利・下限金利ともに引き下げ(下限金利―中銀預金金利をを6月の-0.1%から-0.2%に引き下げ)、ABS(資産担保証券)の買い取り(量的緩和)開始を明言しました。
またウクライナ和平についてプーチン・ロシア大統領とポロシェンコ・ウクライナ大統領が合意し、その後ウクライナ政府と親ロシア分離派の停戦合意を見ましたが、こちらは依然衝突が続いています。
金曜日の米8月雇用統計は失業率が6.1%にJ改善しましたが非農業部門就業者数(NFPR)は+218千人予想に対して+142千人にスローダウンしました。
また週末の世論調査ではスコットランド独立支持率が51%に増加する一方反対は49%に減少しています。
これらの出来事を受けてドル高が継続しています。
ECB理事会の予想外の追加緩和でユーロは1.32台から1.29台に急落。
またドル円は米雇用統計を受けて一時104.70近辺に反落しましたが、週末を前に再び105円台を回復しています。
また週末のスコットランド独立世論調査の結果を受けてポンドは先週末の引け値1.63台前半から今朝のシドニーでは1.61台半ばまで大幅に下落しています。
今週は12日に黒田日銀総裁講演がありますが、日銀の追加緩和姿勢を見極めることになります。
今朝発表された日本のQ2GDP(改定値)は前期比-1.8%、前期比年率-7.1%と速報値からやや下方修正されており、加えて同時に発表された7月の貿易収支は-8,281億円と相変わらず巨額の赤字を計上。
来年10月に予定される消費増税を可能にするためにも日銀の追加緩和の可能性が高まり、金曜日の黒田総裁の講演が注目されます。
また9日には米7月求人労働異動調査(JOLT)が発表されますが、こちらはイエレン議長の注目する9つの労働関係指数のうち4つが注目されます。
イエレン議長は「たとえ失業率が改善してもこれら9つの指標がリセッション前の水準に戻るまで利上げはしない」と言っています。
先週金曜日のNFPRの伸びは鈍化しましたが、不完全雇用者率や平均時給はやや改善しており、これがドルの大幅下落に至らなかった原因でもあります。
9月に入ってから為替市場ではまずドル円が上昇し、次にユーロが大幅下落し、そして週末はポンドが大幅下落するなど“スパイラルなドル高現象”が顕著です。
ドル円では日本のファンド(特にGPIF)の外貨資産投資が増額されれば実際の実弾(円売り/外貨買い)が出てドル円上昇が更に進む可能性があります。
米国とその他主要国との金融政策の方向性の違いや景況感により基本的にはドルの堅調地合が継続と見ますが、ドル買いポジションもかなり溜まりつつあり、その調整には留意すべきでしょう。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9263-0.9402 AUDYEN 97.12-98.68
今週の予想レンジ AUDUSD 0.9250-0.9450 AUDYEN 96.50-99.50
今週の豪ドルは対ドル保合、対円堅調地合を予想します
先週の豪ドルは全面的に堅調推移しました。
対ドルでは一時7月以来の高値94セント台に達し、対円では昨年5月以来の高値98円台後半に、また対ユーロでは昨年7月以来の高値0.72台に、対NZドルでは昨年11月以来の高値1.12台と豪ドルが全般的に上昇しました。
RBA理事会の声明での豪ドル高けん制のトーンがやや下火になったことと国内指標の堅調であったことも豪ドルをサポートしました。
多くの国内指標が発表されましたが、一部マイナス予想があったQ2GDPは前期比+0.5%、前年同期比+3.1%と予想を上回りました。
建設支出、個人支出、在庫増がGDPに寄与し、一方商品相場の軟調と豪ドル高が前期からの成長鈍化の原因でした。
また7月の住宅建設許可件数、小売売上高も予想を上回り、貿易収支も赤字ではありましたが、予想をやや下回りました。
ただ豪州の建設ブームがGDP押し上げに寄与する一方、スティーブンスRBA総裁は住宅バブルの可能性について警鐘を鳴らしています。
「史上最低レベルの超低金利と、更に住宅価格が上昇するという期待感は、環境が変わればバブル崩壊を引き起こす可能性がある」と述べています。
今週は火曜日にNAB企業景況感/信頼感が、また木曜日に8月雇用統計が発表されます。
特に雇用統計は失業率が予想値6.3%(前回6.4%)、就業者数予想値+15千人(前回-0.3千人)となっており、7月が不冴えな数値であっただけに、雇用の落ち込みが一時的であるのか否か注目されます。
現在米ドル堅調地合にあって豪ドルは非常に健闘しているといえます。
特に日欧両極の金融政策・景況両面からユーロ、ポンド、円が軟調推移している分、豪ドルに投資資金が集まる傾向にあるようです。
今週も米ドル堅調地合にあって基本的には、対ドル保合、対円堅調が予想され、特に豪ドル円は100円が徐々にターゲットに入ってくる展開でしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。