今週の主な予定、イベント
1/19(月)米国休場(キング牧師生誕記念)
20(火)中国Q4GDP、中国12月小売売上高・鉱工業生産、独1月ZEW景況感指数、米一般教書演説、IMF世界経済見通し改定版公表
21(水)日銀会合(展望リポート中間評公表、黒田総裁会見)、豪中銀議事録、米12月住宅着工/建設許可件数、世界経済フォーラム(ダボス会議)
22(木)ECB理事会、日銀月報、新規失業保険申請件数
23(金)麻生財務相講演、中国1月HSBC製造業PMI、独/ユーロ圏1月製造業PMI、米12月中古住宅販売件数、米12月景気先行指数
マーケットの焦点
キーワード:ECB理事会、原油安、中国Q4GDP、ギリシャ不安(1/25総選挙)、イスラム国のテロ、第三次安倍内閣発足とアベノミクスの行方、ロシア経済(ルーブル下落)、GPIF
先週は原油安、スイス中銀による突然の(対ユーロ)スイスフラン上限撤廃(一瞬でフランは30%以上暴騰)などを受けて市場の不安定な動きが増幅されました。株価は中国や独・英などの欧州株を除いて総じて軟調でした。
スイス中銀は2011年9月から1ユーロ=1.20スイスフランに上限を設定し、上限防衛のために無制限のスイスフラン売り/ユーロ買い介入を実施してきましたが、今週のECB理事会における追加緩和観測(国債購入の開始)が高まり、これ以上コストのかかるフラン上限防衛を放棄する形となりました。
この突然の政策変更により為替証拠金取引ではスイス中銀の政策維持を期待してスイスフラン売りポジションを持っていた筋に巨額の損失が発生。決済肩代わりができない証拠金会社の倒産が伝えれれており、カバー先の大手銀行も巨額の損失を被ったようです。
また低金利(マイナス金利)よるスイスフラン調達をしていた企業/個人は大きな損失を抱えている模様で、今後更なる余波が訪れる可能性があります。
今週はイベント的には22日(木)のECB理事会における追加緩和(国債買い入れ開始)の有無、そして25日(日)のギリシャ総選挙など欧州発のニュースが重要です。
先週EU司法裁判所はECBによる国債買い入れに対して「要件を満たす必要があるが基本的に“合法”」との判断を示しており、追加緩和実施となればユーロ売り材料視されるでしょう。
またギリシャ総選挙では反緊縮財政の急進左派連合(SYRIZA)が優勢と伝えられており、同連合が勝てば債務再編、そしてギリシャのユーロ離脱などギリシャ危機の再燃が懸念されます。
この他にも20日(火)には中国のQ4GDPが発表されますが、予想は7.2%とQ3の7.3%からやや減速予想で、弱い数字が出れば中国人民銀行の追加緩和観測が強まる一方、弱い数字はリスク回避の円買いにつながる可能性があります。
また21日(水)には日銀会合の結果が発表されますが、原油価格の大幅下落や、4月から消費増税の影響がなくなることから、日本の消費者物価がマイナスに落ち込む可能性があります。インフレ目標2%が遠ざかることから、日銀が追加緩和に動く可能性が指摘されます。
原油安によるロシア経済不安も含めて市場にはリスク回避材料が目立ちます。また商品相場下落で痛手を被ったヘッジファンドが円キャリートレードの手仕舞いに動いているとの話や、原油大幅下落からオイルマネーが株式市場から資金を引き揚げているとの話まで、あまりいい話は見つかりません。
リスク回避の円買い戻しが継続しそうですが、日本の年金ファンドGPIFなどがどの程度ドル円の下落速度を緩和させるか注目されます。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.8068.8295 AUDYEN 94.25-96.91
今週の予想レンジ AUDUSD 0.8100-0.8300 AUDYEN 95.00-98.00
今週の豪ドルは売り買い交錯でしょう
先週は週前半は商品相場(原油)の続落やリスク回避の動きから上値の重い展開でしたが、木曜日に発表された12月の雇用統計が非常に強い数字になり、豪ドル買い戻しが活発化しました。
12月雇用統計は失業率6.1%(予想6.3%、前回6.2%)、就業者数+37千人(full-time-job+41.6千人、予想+5千人、前回+45千人に上方修正)、労働参加率64.8%(前回64.7%)と文句なしの強い数字で、豪ドルは対米ドル中心に急反発しました。
また同日ヨーロッパ時間に発表された上記スイス中銀による”スイスフランの上限撤廃”により豪ドル/ユーロが上昇したことも豪ドルをサポートしました。
今週は豪州発の大きなイベントはありませんが、中国のQ4GDPが非常に注目されます。
弱い数字は基本的に豪ドル売り材料ですが、一方中国人民銀行による追加緩和期待が浮上する場合には豪ドルをサポートするために判断は微妙です。
その他ECB理事会など欧州ネタが豊富で、豪ドル/ユーロクロスレートの動きにも影響を与えるために、なかなか気の抜けない週となりそうです。
先週は強い12月雇用統計で反発した豪ドルですが、雇用指数は毎月バラつきがあることや、足元の多くのリスク要因を考えると、まだまだ底離れとは言えないようです。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。