今週の主な予定、イベント
7/13(月)中国6月貿易収支、ユーロ圏財務相会合
14(火)6月NAB企業信頼圏/景況感、独7月ZEW景況感指数、米6月小売売上高、EU財務相理事会、カンザスシティーFED総裁講演
15(水)7月WESTPAC消費者信頼感、日銀会合、中国Q2GDP・6月小売売上高・鉱工業生産、米6月PPI・鉱工業生産、米7月NY連銀製造業景況指数、FEDベージュブック、イエレン議長半期に1度の議会証言(下院金融委員会)
16(木)ECB理事会、米新規失業保険申請件数、イエレン議長議会証言(上院銀行委員会)
17(金)米6月CPI・住宅着工件数・7月ミシガン大学消費者信頼感、フィッシャーFRB副総裁講演
マーケットの焦点
キーワード:ギリシャ法制化デッドライン(7/15)、日欧米の金融政策(FOMC議事録)、中国株価下落/景気刺激策、GPIF
前週末のギリシャ国民投票で国民は債権団の緊縮案に対して「NO」の意思表示を行い、ギリシャが改革案を提示してそれに対して12日(日曜日)のユーロ圏首脳会議で支援延長の可否が決定されることになりました。
また週中中国株式相場が暴落を演じ(上海総合指数は6月高値から33%を超える下落)、ギリシャ不安と相まって市場ではリスク回避の動きが活発化しました。主要国の株価・商品相場下落、そして為替相場では資源通貨などのリスク通貨が売られて円が買い戻されました。
ドル円は水曜日には120円台前半に、またユーロ円は133円台前半に、ポンド円は185円近辺まで下落しました。
ところが週後半に向けてはギリシャ情勢好転への期待感や中国当局が株価支援のためにドラスティックに諸策を講じたことから株価が急激に反発し、リスク回避の動きが沈静化しました。
中国当局は年金基金の株式投資解禁、IPOの一時停止、中国証券金融への2600億元の与信に加えて、大株主や経営幹部の自社株売買を6ヶ月間禁止、株式担保融資の延長などの施策を矢継ぎ早に講じました。
このようにギリシャ情勢好転への期待感や中国の株価底入れを背景に週末に向けては主要国株価も反転し、ドル円は122円台後半、ユーロ円137円台、ポンド円190円台まで回復しました。
そして注目の週末ユーロ圏首脳会議。結果はツィプラス政権の改革案を承認しましたが、同時に「ギリシャが税制や年金制度の改革などの措置を15日夜までに法制化する必要がある」との条件を付し、また「支援の条件を満たせなかった場合には一時的にユーロ圏から事実上離脱させる」というドイツ案も盛り込まれました。
メルケル独首相は「もっとも重要な信頼が失われてしまった」と述べてギリシャに対する不信感を現す一方、オランド仏大統領は「ギリシャのユーロ圏離脱はEUの後退を意味する」と述べるなど最大の債権国独仏の不協和音が聞こえます。
今回のギリシャ問題は2012年末から始まった2回にわたる支援策の期限が6月末に到来し、第三次支援を行うかが争点ですが、改善傾向を見せないギリシャ経済や政府の諸策に対する不信感から「これ以上国民の税金を費やすこと」への各国の反対意見も根強く、袋小路に入り込んだ感すらあります。
IMFへの6月末支払が遅延しているのみならず、7/20のECBへの3.5bioユーロの返済など、今後多くの返済期限が到来する中で、“現実的な短期ブリッジローン”で急場をしのぐという意見がある一方、そろそろ見切りをつけてギリシャに退場頂くとの意見が高まっているのも事実であり、今週15日のデッドラインまでに協議がまとまるのか微妙な状況です。
先週は底入れしたかに見える中国株式市場ですが、官民協力のなりふり構わぬ株価維持策がはたしてどこまで通用するか?
本日上海総合指数はここまで35ptsほど上昇しており、本日から365社が売買再開となるようです。今週は実体経済面でもQ2GDP、6月貿易収支(本日発表済)、小売売上高、鉱工業生産などの諸指標が発表されます。
取り敢えずリスク回避の動きは峠を越した感がありますが、ギリシャ情勢、中国株価動向ともに依然として予断を許さない状況には変わりはなく、進展を見守る以外にはありません。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7372-0.7532 AUDYEN 89.17-92.42
今週の予想レンジ AUDUSD 0.73.00-0.7600 AUDYEN 90.00-93.00
今週の豪ドルは: 下値不安が徐々に収まる展開でしょう
先週は引き続きギリシャ情勢や上記の中国株価不安から週央にかけてはリスク回避の動きが活発化し豪ドルは対ドルで2009年5月以来の安値73セント台後半を、また対円では昨年2月以来の89円台前半、対ユーロで昨年12月以来の0.66台、対NZドルでも7月の年初来高値1.14台から1.10台に下落するなど豪ドル全面安となりました。
特に欧州・中国・豪州はそれぞれ貿易相手国として欧州は中国の最大輸出入先、中国は豪州の最大輸出入先ですから、ギリシャ問題の悪化も豪ドル売り要因となります。
また先週の言いましたがRBA理事会声明で74セント台にあるにもかかわらずAが「豪ドルが更に下落する可能性がある、そして必要がある」と述べたことも豪ドルに対するセンチメントを悪化させました。
ただ週末にかけては上記のようにリスク回避の動きもやや沈静化したことから豪ドルも一時74セント台後半、91円台後半まで反発しています。
今週は火曜日にNAB企業信頼感、7月にWESTPAC消費者信頼感が発表されますが、国内要因よりもやはりギリシャ情勢や中国株価動向が焦点でしょうあ。
依然として市場の豪ドル売りポジションは大きく、事態が好転すれば買い戻しの動きが活発化する可能性があります。
ただギリシャ、中国、商品相場などの売り材料の根本解決はまだかなり先の話であり、売られ過ぎ状態が解消すれば再び上値の重い状況となる可能性があります。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。