今週の主な予定、イベント
8/10(月)8月日銀月報、日本6月国際収支、アトランタ連銀総裁講演
11(火)7月NAB企業信頼感/景況感、米6月卸売在庫
12(水)8月WESTPAC消費者信頼感、豪州Q2賃金コスト指数、ローRBA副総裁講演、日銀議事録、中国7月小売売上高・鉱工業生産、英月失業率
13(木)ECB議事録、ギリシャQ2GDP速報、新規失業保険申請件数
14(金)ケントRBA総裁補講演、ユーロ圏・独・仏・伊Q2GDP、ユーロ圏7月CPI、米7月PPI・鉱工業生産、8月ミシガン大学消費者信頼感
マーケットの焦点
キーワード:原油下落、中国株価、米9月利上げ観測、ギリシャ第三次支援プログラム交渉、GPIF
このところの米金利先高観から先週も主要国の株価は総じて軟調で、特にNYKダウは年初のピーク18,200ドル台から17,300ドル台に下落しています。
また上海総合指数は当局の下支え(空売り規制の強化)にもかかわらず一時3,660台まで反落しましたが、週末発表された7月の貿易収支・CPI・PPIは特に失望感を誘うものではなく、今週は再度3,865程度まで反発しています。
株価軟調にフォローして商品相場(CRB INDEX)は2002年1月以来の198ドル台に下落し、なかでも原油価格は2009年3月以来の43ドル台に安値を更新しています。原油価格下落の背景にはイランに対する経済制裁解除によりイラン原油(埋蔵量世界3位)が市場に出てくるとの思惑や、米国のシェールオイル・ガス増産の動きがあります。
市場の焦点はギリシャ情勢から米利上げ時期に移っており、基本的にはドル堅調地合いの中、先週も金曜日の米7月雇用統計を受けて相場が振幅しました。
ドル円は金曜日の米雇用統計での非農業部門就業者数(NFPR)が予想をやや下回ったことから瞬間124円台前半に急落後、失業率(5.3%)、平均時給(+0.2%)、労働参加率(62.6%)が予想範囲内であったことから今度は125円台前半に急反発。その後は原油価格の下落にフォローして再び124円台前半に反落しています。
ユーロはユーロキャリートレード(ユーロを売って他通貨買い)の動きやギリシャへの第三次救済プログラムへの不透明感もあり1.08台半ばに反落後、米雇用統計後の米ドル反落を受けて1.09台半ばに反発して越週しています。
注目の米7月雇用統計は9月利上げ観測をサポートする内容であったと考えますが、一方原油価格の続落はインフレ期待を後退させるものであり、利上げにはネガティブな材料です。
たとえ9月に25bpsの米利上げがあったとしてもその後の利上げペースは極めて緩慢なものになることはFRB当局の言動からも明らかで、金融市場に大きなインパクトはないものと思います。
しかし米国にとっては約9年ぶりの利上げであり、特にエマージング市場への負のインパクトを懸念する見方が根強いのも確かです。
市場は9/16-17のFOMCに向けて利上げを確信するだけの材料をできるだけ確認したいというところで、今後の指標に一喜一憂する展開が予想されます。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7260-0.7428 AUDYEN 89.96-92.25
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7300-0.7500 AUDYEN 90.50-93.50
今週の豪ドルは: ある程度堅調でしょうが、上下振幅相場でしょう
先週豪ドルは火曜日のRBA理事会で従来と比較して”豪ドル高けん制文言”が鳴りを潜めたことから「RBAは現レベルで満足」との思惑が広がりRBA理事会後に74セント台前半、92円台前半に反発しました。
しかしその後は商品相場安や米金利先高観から73セント台前半に反落。ただドル円堅調を受けて豪ドル円安値は91円台前半と限定的でした。
発表された7月の雇用統計は就業者数は+38.5千人と予想を大きく上回りましたが、失業率は6.3%(前回6.0%)と予想6.1%を上回り全体では豪ドル売りで反応。
ただ後講釈では失業率の悪化は労働参加率の上昇(前回の64.8%から65.1%に上昇)に影響を受けたとの見方も出ています。
金曜日に発表されたRBAの「四半期金融政策報告書」では2015年のGDPを2.5%で据え置く一方、2016年のGDPを5月時の2.75%-3.75%から2.5%-3.5%に下方修正し、一方2017年末にかけては3.0-4.5%に上昇予想となっています。
またインフレ予想は当面はRBAの目標レンジである2-3%で推移すると見ています。
つまり来年以降も成長は今年を上回ると予想しているわけで、追加利下げ観測はやや後退しています。
上述のように商品相場(特に原油)が非常に軟調ですが、中国株価の反発もあり豪ドル相場は意外に下げ止まっています。
ただ今週発表される7月NAB企業信頼感/景況感や8月WESTPAC消費者信頼感は商品相場安や豪ドル安を嫌気して再度悪化する可能性があります。
いずれにしても商品相場の軟調が続き、しかも米豪金利格差が縮小する地合いにあって豪ドルの上昇もショートカバー以外には難しい状況が今しばらく続きそうです。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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