今週の主な予定、イベント
3/7(月)
黒田総裁講演、EU首脳会議、ユーロ圏財務相会合、ブレイナ―FRB理事・フィッシャーFRB副議長講演
8( 火)
日本Q4GDP(改定値)、日本1月国際収支、中国2月貿易収支、EIU財務相理事会
9(水)
NZ準備銀行理事会
10(木)
中国2月CPI・PPI、ECB理事会、米新規失業保険申請件数
11(金)
カナダ2月雇用統計
マーケットの焦点
キーワード:ECB理事会、中国全人代と景気/金融刺激策、日本Q4GDP、米国3月FOMC、英国EU離脱問題、原油価格、日欧の追加緩和観測
G20後の先週は、市場の関心も再び足元の原油価格や株価に戻り、係る中米国の2月雇用統計の発表や中国全人代の開催などが注目されました。
前週のG20では世界経済や金融市場の懸念は共有されたものの、具体的な解決策は提示されませんでした。
しかし原油価格が35ドル台まで反発し、主要国の株価は前週から大きく回復するなど、中国全人代への期待もあって市場のリスク選好の動きが活発化しました。
全人代では今年の成長目標を6.5%-7.0%として21年ぶりに幅を持たせ、政策に弾力性を持たせると同時に、GDP比の財政赤字幅を3%に拡大して、構造改革とともにインフレ投資にも注力しています。
発表された米国2月の雇用統計はNFPRや失業率は予想を上回ったものの、平均時給が予想+0.2%(前回は+01.5%)を下回る-0.1%となったことから、思ったほどの力強さに欠けるとして一時高まっていた3月利上げ観測が再び後退しました。
ドル円も雇用統計発表後は一時114円台前半に上昇しましたが、一方先週下落していた欧州通貨がユーロ1.10台、ポンド1.42台など反発するなどドル自体はやや軟化しています。
この結果、先週122円台まで下落したユーロ円は一時125円台に、またポンド円も155円台から161円台まで反発するなど、円クロスが全般的に上昇しています。
今週も全人代における中国の諸政策や原油動向がカギとなりますが、一方先週の2月雇用統計を受けた米国3月のFOMCにおける利上げの有無も焦点となるでしょう。また今週のECB理事会では1月の理事会でドラギ総裁の発言から何らかの緩和策発動が確実視されます。
また火曜日には日本のQ4GDP(改定値)が発表されますが、こちらは前回の速報値年率-1.4%から-1.6%への下方修正予想となっており、日銀への追加緩和期待が高まる可能性があります。
米国の3月利上げ観測もやや後退していますが、一方日欧の追加緩和観測も根強いため、米ドルが全体としてサポートされる可能性があります。
また英国のEU離脱問題はオーバーリアクションが収まりつつありますが、依然として6月の国民投票に向けて不安材料として、ポンドとユーロ両方に作用する可能性が残ります。
米大統領予備選では民主党クリントン元国務長官と共和党トランプ氏が優勢ですが、両氏ともに日本や中国の通貨安政策(彼らの言によれば)には批判的である点も留意すべきでしょう。
相対的にドル堅調材料が多いですが、かといってドルも盤石ではないといったところです。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7108-0.7445 AUDYEN 79.81-84.93
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7250-0.7550 AUDYEN 83.00-86.00
今週の豪ドルは: 利食いをこなして堅調地合いでしょう
先週の豪ドル予想は“引き続きトレンドのないアップ&ダウン”としましたが、結果的には2015年7月以来の74セント台半ば、2月初旬以来の85円近辺まで上昇しました。
発表されたQ4GDPが前年同期比で+3.0%と久々にトレンド成長率+2.8%を上回ったことも豪ドルをサポートしましたが、やはり原油含めた資源価格の上昇と中国経済への期待感が好材料となりました。
原油は産油国の生産調整への期待もあり今週も36ドル台に続伸しています。
一方鉄鉱石も52ドル台に続伸し、石炭も51ドル台で小康状態となり、2月上旬に155まで下落していた商品相場インデックス(CRB INDEX)は先週金曜日には169台まで反発しています。
また先週発表された中国2月の製造業PMIは官民ともに冴えない数字でしたが、市場の目はむしろ先週末開催の第13回中国全人代に向かっています。
全人代では2016-2020年の年間成長目標を6.5%以上とし、また今年のGDP目標を6.5%-7.0%と幅を持たせて政策の弾力性を表に出しています。
上述のように構造改革とインフラ投資の両輪に注力しており、総じて市場の好感を得ています。
先週来の豪ドルの上昇は、それまでの売られ過ぎ状態の調整の買い戻しが主体ですが、一方シカゴIMMの通貨先物ポジションでは、既に豪ドルの買いポジションが徐々に大きくなっています。
また当地RBAウオッチャーの中には「豪ドルが続伸する場合にはRBAは再利下げを余儀なくされる」とみる向きもおり、このまま豪ドルの上昇トレンドが継続すると見るのも、また時期尚早でしょう。
今週は米ドル動向も気になりますが、豪ドルは上値テストと利食いの売り戻しで現レベル中心にもみ合う展開が予想されが、一時の下方圧力は後退しています。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。