今週の主な予定、イベント
6/6(月)
ボストン連銀総裁、イエレンFRB議長講演
7( 火)
RBA理事会、世銀世界見通し、カリフォルニア州などで大統領予備選
8(水)
日本4月国際収支、日本Q1GDP(二次速報値)、中国5月貿易収支
9(木)
NZ準備銀行理事会、中国5月CPI/PPI、米国新規失業保険申請件数、ドラギ総裁講演、上海・香港市場休場
10(金)
上海市場休場、6月ミシガン大学消費者信頼感
1)マーケットの焦点
キーワード:非常に弱い米5月nfpr- イエレン議長講演(6/6)、米利上げ観測後退、日本の消費増税再延期、日銀追加緩和観測、原油価格(OPEC総会6/2)、英国EU離脱問題(6/23)
先週は日本の消費増税再延期、OPEC総会、ECB理事会、米5月雇用統計などの重要イベントが重なりましたが、株価は世界的にマチマチの動き。
増税延期を市場は個人消費回復というポジティブには受け取らず、むしろ日本の財政悪化、格下げの連想から日経平均は16,500台に大幅下落しました。
一方上海総合指数は中国A株がMSCI(モルガンスタンレー株価インデックス)採用の思惑から再び3,000近辺に上昇。
また驚きの弱い米5月nfprの発表を受けて米利上げ観測が著しく後退し、NYKダウはむしろ17,800台と堅調です。
OPEC総会では生産調整に合意を見ませんでしたが、石油在庫の減少もあり原油価格は再び49ドル台まで反発しています。
為替市場では米ドルが大幅に下落しました。
週初は米6月利上げ観測からドルが堅調推移。しかし金曜日に発表された5月米雇用統計では非農業部門雇用者数(nfpr)が+38千人と2010年9月以来の驚くべき低い数字となりました(予想+160千人、前回+123千人)。失業率は4.7%とこれまた2007年11月(リーマンショック前)以来の改善を見せましたが、市場は労働参加率がやや低下した点に注目し評価しませんでした。
この結果ドル円は約1ヶ月ぶりの106円台半ばまで下落し、ユーロは5月中旬以来の1.13台半ばに上昇するなどドル全面安。
ただポンドは最近の世論調査でEU離脱派が優勢であることを嫌気して依然として1.44台で軟調推移。
この結果ユーロ円は2013年4月以来の121円割れに、ポンド円は2013年11月以来の153円割れまで一時下落しました。
今回の衝撃の5月nfprは同じ対象月5月の民間調べのADP雇用者数が+173千人であることや、前回6年前は失業率が9%台であったことを勘案すれば、かなりサンプリングの偏りなどが影響した可能性があります。
このnfprは以前からブレが大きく、翌月や翌々月に大幅修正されることで有名です。
とはいえ、6月FOMCでの利上げ期待がにわかに冷やされたことは間違いなく、先週急にタカ派的発言に転じたイエレン議長が本日予定される講演でどのような見解を述べるか注目されます。
先月末の高値111円台からドル円が5円以上急落しており、再び日銀の追加緩和観測や政府筋の円高けん制が予想されます。
ただ今回は「円高プラスドル安」であり、(単月とはいえ)米経済の悪い指標に基づいていること、さらには英国のEU関連国民投票への懸念などもあり(リスク回避の円買い)ドル円の上値は足元重いでしょう。
ドルがリバウンドするとすれば、本日のイエレン議長の講演で同議長が5月雇用統計は一過性と思われ、FRBの姿勢に変化がないことを明言するか、今回のnfprがかなり偏ったサンプリングによるなどの分析結果が出る必要があります。
2)豪ドル見通し
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7148-0.7369 AUDYEN 78.10-80.79
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7200-0.7400 AUDYEN 77.50-80.50
今週の豪ドルは: 対ドル堅調、対円軟調でしょう
先週は”豪州ウイーク”で数多くの経済指標が発表されました。
<強かった指標>
Q1GDP前年比+3.1%、4月住宅建設許可件数+3.0%、4月貿易収支-15.78億ドル(予想-20.8億ドル)
<弱かった指標>
Q1企業収益-4.7%、Q1経常収支-20.8億ドル〈予想-19.5億ドル)、4月小売売上高+0.2%(予想+0.3%)
依然として”まだら模様”ですが、GDP+3.1%は豪州のトレンド成長率(潜在成長率)+2.8%を上回っており、資源産業から非資源産業へのシフトがある程度順調に行われていることを示しています。
ただ豪ドル相場は引き続き国内要因よりはリスク回避や米国金融政策や中国情勢などの外的要因に大きく左右されます。
中国の株価上昇や商品相場の底堅さなどはサポート要因ですが、英国のEU問題や米景気減速懸念などはリスク要因となり、引き続き好悪両材料に挟まれて不安定な展開が続くでしょう。
米国の利上げ観測の後退は豪ドルサポート要因ですが、一方リスク回避の円買いが強まれば円クロスからの豪ドル売り材料となる点は要注意です。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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