今週の主な予定、イベント
6/13(月)
中国5月小売売上高・鉱工業生産
14( 火)
米5月小売売上高
15(水)
米5月PPI、FOMC、米6月NY連銀製造業景況指数
16(木)
豪州5月雇用統計、日銀会合、米5月CPI、米国新規失業保険申請件数、ECB経済報告、ユーロ圏財務相会合
17(金)
米5月住宅着工、ドラギ総裁講演、EU財務相理事会
1)マーケットの焦点
キーワード:英国EU離脱問題(6/23)、FOMC(6/14-15)、日銀会合(6/15-16)、非常に弱い米5月nfpr、米利上観測後退、原油価格
この1週間はショッキングな米国5月nfprのネガティブなインパクトが残っている中、BREXITの懸念が強まり、世界的に株価は軟調で、商品相場も年初来高値から反落しました。
リスク回避の動きで世界的に債券相場が上昇していますが、特に英独の国債利回りは”質への逃避”の動きで過去最低水準に低下しています。
為替市場では先週の米雇用統計後のドル安相場から“ドル高・円高”の典型的なリスク回避相場に移行し、この流れは週明け以降も継続しています。
ドル円は5月上旬以来の106円台を割り、ユーロは1.12台前半に、ポンドは4月以来の1.41台半ばに下落。
この結果ユーロ円は2013年4月以来の119円近辺に、ポンド円は2013年8月以来の149円台半ばまで下落しています。
23日のBREXIT国民投票を控えて離脱懸念が高まっていることがリスク回避の大きな原因となっていますが、最新の世論調査では:
オブザーバー 残留派 44% 離脱派 42% 未定 13%
You Gov 残留派 42% 離脱派 43%
ガーディアン 残留派 47% 離脱派 53%
テレグラフ 残留派 48% 離脱派 49%
TIMES 残留派 39% 離脱派 46%
など離脱派が徐々に優勢になりつつあり、やはりイベントリスクに大きく反応しているのが現在のリスク環境を物語っているといえます。
ちなみに英国のブックメーカー(賭け屋)のオッズ(掛け率)を見ると離脱派は依然として3割程度です。つまり残留派が7割と圧倒的に優勢ですが、ここ数か月で残留派が8割から7割に落ちたことを不安視する向きもあります。
先週は世界銀行が今年の世界経済の成長見通しを前回10月の2.9%から2.4%に下方修正しましたが、やはり世界経済、中でも米経済に対する新たな減速懸念や中国経済スローダウンへの根強い警戒感がベースにあるだけにBREXIT問題が増幅されてリスク回避を助長している感が否めません。
23日の結果が出るまでこの流れは続き、国民投票の結果「残留」となれば調整が入り、可能性は少ないと個人的には思いますが、「離脱」が現実となれば、英国を取り巻く新しい枠組みを模索しながらの不安定な相場が続くことになり、リスク回避相場は更に増幅される可能性があります。
2014年9月のスコットランド独立国民投票の折に、ポンドは高値1.71台からすでに1.60台に下落し、独立を否決した投票後も1.46台まで続落しました。
しかし当時はドル上昇期でユーロも1.40台から1.04台まで下落した時期であり、ドルが軟調地合いである現在、BREXITが否決される場合にはかなりのスケールでポンド買戻しが入る可能性があるでしょう。
今週はBREXIT問題以外にもFOMCと日銀会合という二大金融イベントがあります。
FOMCの金利据え置きはほぼ既成事実ですが、7月と9月(8月は休会)、特に7月利上げを示唆するような内容になるかがポイント。おそらく5月nfpr悪化の原因分析はされているはずですが、それらの内容が公表されるかも注目されます。再びハト派に傾く場合には”利上げ中止論議”にも発展する可能性があるでしょう。
一方日銀会合では、次回が7月後半となって総選挙が終了しているだけに、追加緩和を今回決定する可能性があります。ただたとえ追加緩和が決定されても、目下のリスク回避の円買いを方向転換させるだけの力があるか疑問だといえます。
2)豪ドル見通し
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7315-0.7504 AUDYEN 78.04-80.29
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7200-0.7500 AUDYEN 77.00-81.00
今週の豪ドルは: 上下とも大きくスイングする可能性があります
豪ドルはRBAの金利据え置き、商品相場の上昇、ドル安をサポート材料として75セント台、80円台に上昇後、リスク回避の増大や関連した株価下落、商品相場反落を嫌気して73セント台半ば、78円台前半まで反落しました。
中国の経済指標(5月貿易収支、鉱工業生産、小売売上高)はそこそこで無事通過しましたが、やはりよりマグニチュードの大きいBREXIT問題に起因するリスク回避の動きにフォローした形です。
今週は木曜日に5月雇用統計が発表されます。
(就業者数-予想値+15千人、前回+10.8千人、失業率-予想値5.7%、前回5.7%)。
ただ国内要因よりはやはり外的要因(BREXIT、日米金融政策、中国経済、資源価格など)に影響される相場展開がしばらく続きそうです。
BREXITに起因するリスク回避の動きや先般MSCI INDEX組み入れ期待で大幅上昇した中国株が再び反落し、原油価格はじめ資源価格が伸び悩むなど、足元サポート要因はあまり見当たらない状況で、豪ドルの上値も限定的でしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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