今週の主な予定、イベント
11/7(月)日銀金融政策決定会合議事要旨、 ユーロ圏財務相会合
8(火)中国9月貿易収支、米大統領選挙、英9月鉱工業生産、シカゴ連銀総裁講演
9(水) 日本9月国際収支、中国10月CPI/PPI、米原油在庫、ミネアポリス連銀総裁講演、NZ準備銀行理事会
10(木)日銀主な意見(10/31-11/1分)、ショイブレ独財務相講演、地区連銀総裁講演(SF、セントルイス)、米新規失業保険申請件数
11(金)11月ミシガン大学消費者信頼感(速報値)、カナダ中銀総裁講演
<マーケットの焦点>
キーワード:米大統領選、日欧米金融政策、Brexit、中国貿易収支、日銀限界論、原油価格
先週の市場の焦点は8日の米大統領選を意識した”トランプリスク”でした。
主要国の株価は前週末比で大幅に下落し原油はじめ商品相場も下落と典型的な”リスク回避相場”でした。
前週末10/28(金)に発表された米国Q3GDPは+2.9%と予想を上回りましたが、同日NYK市場午後にFBIが「クリントン候補のメール問題を再調査する」と発表したことから市場の警戒度が高まりました。
このメール問題が原因となり先週発表された世論調査はトランプ氏の支持率がクリントン氏に肉薄し、中にはトランプ氏優勢となるものも出てきました。
最新のCNN調査ではクリントン氏46%、トランプ氏43%となっていますが、米大統領選は各州ごとに割り当てた選挙人の獲得数で勝敗が決定します。選挙人総数538人中過半数の270人を獲得した候補が勝ちとなりますが、現在接戦州の選挙人合計が150人程度とも言われており混戦です。
先週は各種メディアが発表する支持率に一喜一憂する相場でした。金曜日に発表された米国10月雇用統計はnfpr+161千人、失業率4.9%、平均時給+0.4%とまずまずの数字で12月利上げ観測を否定するものではありませんでしたが、やはり米大統領選の注目度には勝りませんでした。
ただ本日早朝FBIのコーニー長官は「ヒラリーメールの再調査で違法性は見つからなかったという前回の結果は変わらなかった」と述べ、クリントン優勢観測が再び強まり、先週末103円台前半でクローズしたドル円は今朝のシドニー市場では104円台前半と1円以上の”ギャップ”オープンしています。
大統領選の大勢が判明するのは日本時間で9日の午後というところでしょう。今回の大統領選は元々政策論争というよりはお互いのスキャンダルを攻撃し合うという泥試合です。そもそもクリントン、トランプ両候補ともに今回の選挙結果を素直に受け入れるか?という問題がありますが、その問題は置いておきましょう。
両候補勝利の場合のファーストリアクションを考えますと:
クリントン候補勝利―とりあえず安堵感から株価上昇、リスク回避後退からドル円が上昇、商品相場も上昇でしょう。ただ同候補も保護主義的主張が強く、富豪層への増税、オバマケアの拡大など米経済にとってはネガティブな政策をとることが予想され、ポジティブな反応も長くは続かないでしょう。一方、
トランプ候補勝利―トランプリスクの現実化ということでリスク回避の動きが高まり世界的に株価下落、商品相場下落、為替相場ではドルの下落と円やスイスフランなどのヘブンカレンシーが買われるでしょう。影響は国内政治、経済、金融、国際政治に及ぶわけで市場の混乱は暫く続くでしょうが、6月のBrexit時に見られたように市場は徐々に落ち着くでしょう。
またトランプ氏とFRBのイエレン議長はあまりソリが良くないわけで、FRBとの関係がギクシャクするでしょうし、12月のFOMCではリスク対応のため利上げが見送られる可能性も出てきます。
いずれにしても各市場ともに乱高下する可能性がありますのでご注意ください。
<豪ドル相場>
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7588-0.7689 AUDYEN 78.47-80.64
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7500-0.7800 AUDYEN 78.00-82.00
今週の豪ドルは: 乱高下の可能性があります
先週の豪ドルはトランプリスクで米ドルが下落したことや、RBA理事会で住宅価格の上昇が指摘され、また景気・インフレ率とも向こう2-3年で上昇するとの見方が示されたことから足元の利下げ観測が後退し、76セント台、79円台中心に総じて堅調を維持しました。
同時にトランプリスクや原油の44ドル台への続落したことからリスク回避のの動きも活発で積極的に上値をトライすることにも警戒的でした。
今週は中国9月貿易収支も重要ですが、やはり火曜日の米大統領選が最大の焦点です。上記の両候補勝利の場合の影響にも述べましたように為替市場に対する影響はドルの動向と、リスク回避の動向に分かれます。
ドルが上昇れば豪ドルは売られますが、一方ドルが買われる状況はクリントン勝利であり、リスク選好の動きから豪ドルが買われるというやや複雑な動きになります。
逆にトランプ勝利でドルが急落すれば豪ドルは買われますが、一方リスク回避で豪ドルは売られやすくなります。
いずれにしても豪ドルが主役となるというよりは、むしろ米ドルの脇役としての動きになるでしょう。
またリスク回避の円買いは大きな流れになりますので、円クロスで豪ドルが影響を受けることも無視できないでしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。