今週の主な予定、イベント
1/16(月)黒田総裁挨拶(日銀地域経済報告)、IMF世界経済見通し、NYK休場(キング牧師生誕記念日)
17(火)独11月ZEW景況感指数、英12月CPI・PPI、メイ首相EU離脱に関する演説、1月NY連銀製造業景況指数、世界経済フォーラム(ダボス~20日)、NYK FED・SF FED総裁講演
18(水)米12月CPI、FEDベージュブック、イエレン議長パネル討論会、ミネアポロスFED総裁講演
19(木)豪州12月雇用統計、衆議院本会議(安倍首相演説)、日銀議事録、中国Q4GDP・12月小売売上高・12月鉱工業生産、トランプ大統領就任(第45代大統領)、フィラデルフィアFED・SF FED総裁講演
20(金)仏社会党の大統領予備選、第一回投票
<マーケットの焦点>
キーワード:トランプ大統領就任、ハードBrexit、欧州情勢(仏、イタリア)、日欧米金融政策、中国の信用不安、原油価格、アジア通貨安
先週はトランプ氏の記者会見が注目されましたが、結果は株価の大きな崩れは見られなかったものの、ドルが大きく下落しました。
トランプ勝利以来118円台まで上昇していたドル円は、トランプ会見を控えて116円台まで既に調整反落していました。
しかし同会見後は一気に114円台まで下落し、翌日には113円台まで示現しています。
トランプ氏が具体的な経済・財政政策に言及しなかったことで失望感が出ました。会見は殆どがロシアのハッカー疑惑やメディアとの論戦に費やされました。
一方トランプ氏が貿易不均衡問題に言及し、中国やメキシコに続いて日本を名指しに非難したことも、20年前の日米貿易摩擦を想起させドル円の下落を誘いました。
今週はいよいよ20日の就任式で第45代トランプ米大統領が誕生します。現在祝賀ムードと同時に多くの反トランプ抗議集会やデモも計画されており、全米を分断した大統領選の傷はまだ癒えません。
果たしてトランプ大統領は就任式で、前回の勝利宣言のように融和的色彩を表に出すか?あるいは最初から強固姿勢を打ち出すか?
融和的色彩を出せは安堵感から一時的にドルが買われる展開が予想されますが、結局同氏が主張する”米国第一主義”、”保護貿易政策”、”排他性”などに対する警戒感が払しょくできず、ドルの上値が重い展開が予想されます。
週末もトランプ氏は「中国を為替操作国に今すぐ認定はしないが、為替や貿易に対する中国側の進展がなければONE CHAINA POLICYにはコミットできない」と述べ、一方中国は「ONE CHINA PRINCIPLE」は中米関係では交渉の余地がない」と反発しています。
週末にはその他のニュースもありました。
英国のメイ首相は「明確なハードBrexit」の可能性に言及し、一方大陸でもイタリアでは憲法裁判所において選挙制度改革が審議されており、結果次第ではポピュリスト政党「五つ星運動」が政権を獲得する可能性があります。イタリア暫定政権は2月の解散総選挙を示唆しています。一方5月の仏大統領選の社会党予備選挙も今週開催されまますが、こちらも民族主義政党の台頭が予想されます。
英米欧ともに保護・民族主義的色彩が高まり、これは世界経済にとってリスク要因であり、リスク回避の円買いが再び活発化する可能性があると言えます。
その他今週はイエレン議長の発言(パネルディスカッション)が予定されますが、同議長の天敵とも言えるトランプ氏の大統領就任で同議長も内心穏やかではないでしょう。「年3回」と予想される利上げに前向きな発言をするのか、あるいはトランプ政権の政策に対する不透明感を指摘して慎重姿勢を示すのかも興味を持てるところです。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7321-0.7518 AUDYEN 85.05-86.28
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7400-0.7600 AUDYEN 84.00-87.00
今週の豪ドルは:堅調推移でしょう
先週の豪ドルはトランプ会見後の米ドルの調整反落を受けて12月中旬以来の75セント台まで、対円でも86円台まで反発しました。
イランとイラクの原油輸出増加報道で一時50ドル台まで下落した原油価格も52-53ドル台に反発し、商品相場が総じて堅調であることも豪ドルをサポート。一方前週に発表された11月の貿易収支が2014年3月以来の黒字(12億ドルの黒字)となったことも豪ドル押し上げ材料となりました。
鉄鋼石や石炭などの資源輸出の伸びが主因ですが、当地のエコノミスト達は今年年央まで貿易黒字が続くと予想しています。
今週は中国のQ4GDPや12月の小売売上高・鉱工業生産など中国指標がオンパレードで注目されます。また木曜日には12月の豪州雇用統計が発表されますが’予想は就業者数+10.0千人(前回+39.1千人)、失業率6.7%(前回5.7%)で就業者数は前回が非常に強い数字であったため反動の可能性もあるでしょう。
いずれにしても今週はトランプ大統領就任やイエレン議長発言など引き続き米国サイドの材料がメインとなります。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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