今週の主な予定、イベント
2/20(月)日本1月貿易収支、ユーロ圏財務相会談、トゥスクEU大統領/ペレス米副大統領会談、米国プレジデンツデー休場
21(火)ユーロ圏/独2月製造業PMI、EU財務相理事会、地区連銀総裁講演(フィラデルフィア、ミネアポリス、SF)
22(水)独2月ifo景況指数、米FOMC議事録、米1月中古住宅販売、RBAロウ総裁講演
23(木)豪州Q4民間設備投資、米新規失業保険申請件数、アトランタ連銀総裁講演
24(金)RBAロ総裁講演、米1月新築住宅販売
<マーケットの焦点>
キーワード:トランプ政策の行方、ハードBrexit、欧州情勢(仏大統領選、イタリア銀行不安、ギリシャ債務問題)、日欧米金融政策、中国の信用不安・人民元安、原油価格
先週もNYKダウは史上高値圏(20,600ドル台)をキープしました。
トランプ大統領就任式から1か月が経ちました。
先週は記者会見を実施して「我々は1か月で多くのことを成し遂げた、ホワイトハウスはとても順調だ」と自らの成果を強調しましたが、その間米国国内および世界中に激動と混乱を引きおこしたと言っても過言ではないでしょう。
同大統領の平均支持率は現在45%で、これは就任直後のハネムーン期間の数字としては異例の低さだということです。
実績を振り返ってみると:
既存政策の見直しでは、TPP離脱、オバマケア撤廃、ドット・フランク法撤廃、NAFTA見直しなどを実施/発表しました。
また外交関係ではメキシコ国境の壁建設を明言し、移民の停止、不法移民一斉摘発、イスラム圏7か国からの入国禁止を発表し、この入国禁止令はまだ控訴審で結論が出ていません。
二国間首脳会談を精力的にこなし、日米首脳会談では友好ムードをアピール。また“一つの中国”政策見直しで中国に揺さぶりを掛けましたが、こちらは習国家主席との電話対談で一転支持を表明する豹変ぶり。
またイスラエル首相との会談では「(イスラエル・パレスチナ)二国共存に必ずしもこだわらない」、「イスラエルの米大使館エルサレム移転発言」など従来の常識を覆す言動を繰り返します。
また人事は混乱しています。入国禁止令に反対したイエーツ司法長官解任に始まり、ロシアとの癒着疑惑でフリン大統領補佐官辞任、不法移民雇用や元妻への暴力疑惑でパズダー氏が労働長官就任を辞退、コンウエー大統領顧問が大統領の娘のファッションブランド購入をテレビで呼びかけ懲戒処分などなど。
閣僚15人中ポストが決定したのは9人だけであり、その他上院の承認が必要な500以上のポストも殆ど決定していないという異例の人事の遅れです。
市場は今月中に発表される“驚くべき税制改革”に期待する一方、今週発表予定の国家安全にかかわる新たな大統領令が更なる混乱を呼び起こす可能性もあり、まさに戦々恐々といったところです。
同大統領とFRBの関係でいえばFRBのタルーロ理事(金融機関への規制担当)はドット・フランク法撤廃への抗議の意味もあり4/5付け辞任を表明しました。
最近のイエレン議長のタカ派的発言(3月利上げ示唆)は同大統領への抗議の意味もあるのかもしれません。大統領としては予算決議案が確定するまで金融政策の変更(利上げ)は先送りしてほしいというのが本音でしょうから。
いずれにしても今週もトランプ政権の言動に市場は振り回されそうです。
ただ欧州情勢は引き続きBrexitに加えてオランダ、仏、イタリア、独などの国政選挙に向けて各国の反EU勢力が盛り上がる可能性があり、それ以外にもイタリアの銀行不安やギリシャ債務問題など、欧州情勢がリスク回避の動きに結び付く可能性には留意したいところです。
先週ドル円はトランプ期待やFRBの引き締め観測に115円台手前まで一時上昇しましたが、結局115円のテクニカルポイントのブレークに失敗して112円台まで反落しました。
依然トレンドが見られず今週もアップ・ダウンでしょうが、NYKダウの高値警戒感も含めてリスク回避材料には注意したいところです。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7618-0.7732 AUDYEN 86.30-88.18
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7550-0.7750 AUDYEN 85.50-88.50
今週の豪ドルは:現レベル中心の揉み合いでしょう
先週豪ドルは商品相場の堅調と強い国内指標(1月NAB 企業信頼感・景況感、2月WESTPAC消費者信頼感、2月雇用統計)にサポートされて一時77セント台前半、88円台前半まで続伸後やや反落しました。
RBAロウ総裁が講演で「ファンダメンタルズから豪ドルが高過ぎるとは言い難い」と発言したことも金利先安観を後退させています。
豪州の貿易収支は昨年11月の分から黒字に転換して直近12月分は35億ドルの過去最高の黒字を示し豪ドルにとり好材料となっています。
ただ従来からの懸念事項に設備投資の後退があり、木曜日に発表されるQ4民間設備投資の内容が注目されます。Q3まで同数値は連続マイナスを記録しています。
欧米の不透明感から豪ドルの相対的な地位が向上している感は否めませんが、節目である80セントが視野に入れば、再びRBAや豪州製造業界からの豪ドル高懸念が高まる可能性があります。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。