今週の主な予定、イベント
3/20(月)東京休場、ユーロ圏財務相会合、シカゴ連銀総裁講演
21(火)英国2月CPI/PPI、EU財務相理事会、地区連銀総裁講演(カンザスシティー、クリーブランド)、NYK連銀総裁パネル討論会、安倍首相・ユンケル欧州委員長・トゥスクEU大統領会談
22(水)日本2月貿易収支、米2月中古住宅販売件数
23(木)米2月新築住宅販売件数、地区連銀総裁講演(ダラス、ミネアポリス)、イエレン議長講演
24(金)独・ユーロ圏3月製造業PMI、米2月耐久財受注、地区連銀総裁講演(シカゴ、セントルイス)
<マーケットの焦点>
キーワード:ハードBrexit、イエレン議長講演、欧州情勢(仏大統領選、イタリア銀行不安、ギリシャ債務問題)、日欧米金融政策、中国の信用不安・人民元安、原油価格
先週はオランダ下院選挙、FOMC、独G20などの重要イベントが行われました。
オランダ下院選挙では極右自由党の優勢が一部伝えられましたが、結局は与党自由民主国民党が議席を減らしながらも第一党を維持し、反EU台頭懸念がやや薄らぎユーロは1.07台まで買い戻されました。
注目のFOMCでは予想通りに25bpの利上げが実施されましたが、今年の利上げ回数の予想がタカ派的な見方である4回から前回12月の3回に据え置かれたことや、イエレン議長の慎重姿勢からFOMC後はドル売りが強まり、週末にドル円は112円台半ばに下落し、ユーロは1.07台を維持して越週しました。
独G20は初参加の米国ムニューシン財務長官対他の19か国対立の構造が鮮明に。
従来の文言「保護主義に対抗する」、「地球温暖化防止」などの文言が削除され、代わりに「過度の世界的な不均衡を縮小し、さらなる包括性と公正さを高め、格差を縮小するため努力する」と明記されました。一方当初は削除が予想された従来の文言「過度の為替変動は成長を害し、競争的通貨切り下げに反対する」という文言が継続されるなど、米国の姿勢、つまり“日本、中国、独などの貿易黒字を減らし、米国の貿易赤字を削減するため自国にとって有利となる貿易関係を目指す”トランプ政権の主張に沿う内容となっています。結果として米国に押し切られた形で今後のG20の存在意義が問われることとりました。
上記イベント終了で取り敢えずドルが下落したことはある程度筆者の予想通り(つまり米利上げ=ドル高とはならないという見方)でしたが、今後を考えますとやはりドル高、ドル安に決め打ちできない状況です。
つまりトランプ政策がうまく機能すれば財政刺激やインフラ投資、外資導入により米経済が活性化し、FRBは利上げに前向きとなり米ドル高となるでしょう。
一方トランプ政策の米国第一主義のもと保護主義や排他主義が全面に出て、トランプ政権への反発が更に高まりトランプ政策がとん挫する場合や、財政赤字の更なる悪化が顕著となる場合、FRB利上げから米経済が失速する、あるいはドル高・金利高から世界経済特に新興国経済不安が高まる場合や、米中間の対立激化で中国が保有米債の売却に踏み切る場合にはドルが急落する可能性があります。
また逆に更にドル高が進む場合も、貿易不均衡是正から米国はG20に通貨安是正を強力に呼びかけるでしょう。
また欧州不安が高まる場合にはリスク回避の円買い圧力が上昇するでしょう。
つまり引き続きドル高・ドル安両方の可能性がありますが、どちらかと言えばドル懸念材料が目につきます。
今週はメインイベント通過ですが、最大の関心事は英国がいつEU離脱宣言をするかという点で、EUとの交渉難航が予想され、場合によっては大きなリスク要因となります。またスコットランドは再び独立に関する国民投票実施の可能性を表明しています。
またその他注目は先週のFOMCに続いてイエレン議長はじめ多くのFRB当局発言が予定されるところです。先週のFOMCでは今回の利上げサイクルのゴールはFF金利3%であることが示されました。1990年以降前回まで3回行われた利上げサイクルにおける利上げ幅は1994年の時が3.0%、1999年1.75%、2004年4.25%ですから今回の0%→3%は歴史的にも中程度と言えます。ただ実際に3%の利上げとなるか?目標達成以前に米経済が失速し利上げ取りやめになるのか?あるいは3%を超える利上げが必要となるのか?まだ不確定な要因が多いのが現状です。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7534-0.7719 AUDYEN 86.50-87.49
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7550-0.7750 AUDYEN 85.50-87.50
今週の豪ドルは:現レベル中心にやや堅調推移
先週豪ドルは原油価格が安値47ドル台から49ドル台に反発したことやや、ドルの下落を受けて77セント台、87円台まで反発しました。
発表された2月の豪州雇用統計は就業者数が-6.4千人(予想+16千人、前回+13.7千人)、失業率5.9%(予想5.7%、前回5.7%)と予想を大きく下回りました。就業者数は毎月の変動幅が大きいのは承知していますが失業率が2ポイント悪化したのはやや懸念されます。
ただfull-time-jobが前回の-44.8千人から+27.1千人に増えたのは朗報ではあります。
ロウRBA総裁も経済の下振れリスクとして設備投資の脆弱性と雇用のばらつきを指摘していますが、今回の結果も引き続き懸念材料視されるのは確かです。豪州経済は資源価格の上昇にサポートされて全般的には回復基調なのですが、、、..
引き続き豪ドルは米ドル動向に最も左右されますが、米ドルの軟調が続く場合には再度77セント台、87円台のレジスタンスをテストすることが予想されます。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。