<今週の主な予定・イベント>
5/8(月)中国4月貿易収支、4月NAB企業信頼感/景況感、地区連銀総裁講演(SF、クリーブランド)
9(火)豪州連邦予算案発表、豪州3月小売売上高、韓国大統領選、ボストン連銀総裁講演
10(水)日銀会合主な意見公表、中国4月CPI/PPI、ドラギ総裁オランダ議会で講演、米週間石油在庫統計、ボストン連銀総裁講演
11(木)ニュージーランド準備銀行理事会、日本3月国際収支、ECB経済報告、BOE理事会(四半期インフレ報告)、米4月PPI、OPEC月報、G7(Bari, Italy)
12(金)独Q1GDP(速報値)、米4月小売売上高/CPI、5月ミシガン大学消費者信頼感、シカゴ連銀総裁講演
<マーケットの焦点>
キーワード:仏大統領選(マクロン勝利)、韓国大統領選、Brexit交渉開始、欧州情勢(仏大統領選、イタリア銀行不安、ギリシャ債務問題)、日欧米金融政策、中国の信用不安・人民元安、原油価格
先週は米FOMC、米4月雇用統計の発表、そして週末には注目の仏大統領選が行われました。
FOMCでは金融政策の変更は予想通りありませんでしたが、Q1の景気減速を一過性とし、緩やかな利上げを正当化するなどから6月利上げ観測が一時高まりドル円を112円台に押し上げました。また米4月雇用統計は失業率が4.4%に改善しNFPRも予想値+190千人に対して+211千人に増加と強い反面、前月のNFPRが+98千人から+79千人に下方修正されました。また平均時給は予想通りに+0.3%でしたが、前月分が+0.2%から+0.1%に下方修正され、前年比では+2.5%(予想+2.7%、前回+2.6%)とFRBやトランプ政権の懸念する賃金の伸び鈍化が明らかになりました。結局結果を受けて米債利回りは上昇分を削ることになり、発表直後は112円台後半に上昇したドル円の上値テストも限定的でした。
注目の仏大統領選は予想通りにマクロン候補の圧勝(開票率93%でマクロン氏65%、ルペン氏35%)で本日シドニー市場オープンはユーロドルが1.10台前半、ドル円が113円近辺、ユーロ円が124円台半ばと小規模ならが“ギャップオープン”となりましたが、“SELL ON FACT”の動きも見られ、現在ユーロドルは1.0970、ドル円は112.80、ユーロ円は123.80近辺です。
取り敢えず仏のEU離脱懸念は後退し、Brexitやトランプ大統領誕生後の保護主義に歯止めが掛かった状況ですが、依然欧州政治リスクは存在します。
つまり仏では早速来月議会選挙が実施されますが、国民の多くはマクロン氏の政党の過半数独占を望んでいないとの世論調査もあります。大統領選直後のKANTAR SURVEYの調査では総選挙における支持率はマクロンパーティー26%、共和党21%、極右国民戦線21%などで、今後とも極右政党の動きの影響を受けるでしょう。
また英国の地方選挙ではメイ首相が圧勝しており、一方親EUでBrexit強固派と言われるマクロン大統領誕生で英国対EUの交渉は一層の難航が予想されます。更に反ユーロ派が多数のイタリア総選挙前倒しの可能性や、9月の独総選挙、ギリシャの財政問題再燃の可能性など、仏大統領選は無事通過しても依然として欧州リスクが指摘されます。
また先週トランプ大統領は幾つかの法案の上院または下院での可決にこぎ着けましたが、例えばオバマケア代替法案は下院で可決したものの、上院ではオバマケアを一部残すなど下院とはかなり異なる内容となりそうで、すんなりと可決には至らないでしょう。
メキシコの壁問題は財源問題もあり“絶望的”との見方もあり、「トランプ政策尻すぼみ」の可能性が指摘されます。
一方米雇用統計では今回NFPRは予想を上回りましたが、失業率が4.4%など完全雇用に近づけばNFPRの伸びもいずれ鈍化するでしょうし、また弱い賃金上昇率はFRBの利上げ速度にも影響を及ぼすでしょう。
仏大統領選の結果を受けたリスク選好の動きも、欧州リスク払拭とはいかずにユーロの上値も限定的でしょう。一方ドル円もトランプ政策の不透明感と雇用統計によるFRBの利上げ速度減速の可能性などより、113円を超えて115円を目指す動きになる可能性は少ないように思います。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7367-0.7556 AUDYEN 82.67-84.54
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7300-0.7500 AUDYEN 82.00-85.00
今週の豪ドルは:引き続き上値が重い展開でしょう
先週豪ドルは原油が一時44ドル台まで続落したことや、RBA理事会での景気見通しも従来とかわらず、住宅問題も利上げよりは住宅供給や監督当局規制で解決すべきことが示され、利上げ観測が後退したことから、一時74セント割れ、83円割れまで下落しました。
ただ原油が46ドル台後半に反発したことや、米ドルがやや軟化したことから現在は74セント台前半、83円台半ばに小戻ししています。
豪ドルは引き続き原油や鉄鉱石価格を見ながら、米ドル動向を反映した動きが予想されます。
また明日は2017/18年度の連邦予算案が発表される予定ですが、財政均衡目標の次期を2020/21年に据え置くかも焦点となるでしょう。
豪ドルは引き続き商品相場の軟調を受けて下値不安が残りますが、原油の下落に歯止めが掛かり、またドルの上値が限定的であれば、74セント割れ、83円割れがサポートされる展開が予想されます。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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