<今週の主な予定・イベント>
5/15(月)中国4月鉱工業生産/小売売上高、中国一帯一路サミット閉幕
16(火)英4月CPI/PPI、独5月ZEW景況感指数、米4月住宅着工件数
17(水)英4月失業率
18(木)日本Q1GDP、豪州4月雇用統計、米4月景気先行指数/新規失業保険申請件数、ドラギ総裁講演、地区連銀総裁講演(セントルイス、クリーブランド)
19(金)ユーロ圏3月経常収支/5月消費者信頼感
<マーケットの焦点>
キーワード:FRB6月利上げ?Brexit交渉開始、欧州情勢(仏総選挙、イタリア銀行不安、ギリシャ債務問題)、日欧米金融政策、中国の信用不安・人民元安、原油価格
先週は注目の仏大統領選挙で中道のマクロン候補が圧倒的勝利を収めたことにより市場のリスク許容度が増加し、主要国の株価は堅調推移しました。ただ、中国株は中国当局が金融セクターの不正取り締まりを強化させたこともあり、年初来の安値に下落しています。
一方一時44ドル台に下落した原油は、米国在庫が予想を下回ったこともあり47ドル台に反発していることもあり、商品相場(CRB INDEX)は183台にやや値を戻しています。
リスク選好の動きと米国の6月利上げ観測でドル円は一時114円台前半まで上昇しましたが、調整一巡後はトランプ政権によるコミーFBI長官解雇や北朝鮮の弾道ミサイル実験などを警戒して再び113円台前半に反落しています。
一方仏大統領選後“SELL ON FACT”の動きで1.08台半ばまで下落したユーロは調整一巡後1.09台前半まで反発し、英国中銀インフレ報告で今年の成長見通し及び来年以降のインフレ見通しを下方修正されてポンドはやや軟調です。
Brexit強固派のマクロン大統領が誕生してハードBrexit懸念が再燃していることもポンドの足かせのようです。
今週は大きなイベントもなく市場は米国の6月利上げ観測や北朝鮮の動き、更に中国では本日”一帯一路サミット“が閉幕しますが、国際政治は5/26-27のイタリアG7サミット(シチリア)に向けた動きをフォーカスしたものとなるでしょう。
ドル円は米国の6月利上げ観測にサポートされて、また仏大統領選で欧州政治不安が後退したことから115円の上値をテストするとの見方も増えています。
ただ6月に実際利上げがあり、しかもその後年2回の利上げが示唆されたとしても、それは6月時点でのフォワード・ガイダンスであり今後の景況でいかようにも変化するものです。
もっとも6月以降年3回の利上げが示唆されればそれだけでドル買い材料ではありますが、、
ただ最近の米指標(Q1GDPの低さは一過性とFRBは言っていますが、小売りやCPIなどの低さ)の不冴えや、トランプ政権への不信感などもあり、今年のFRBの利上げ4回の見方はややタカ派過ぎるように思います。
また6月に予定される仏総選挙では支持基盤の弱いマクロン陣営が再び苦境に立つ可能性もあり、イタリア総選挙前倒し観測や、ギリシャ財政問題再燃懸念に加えてBrexit不安もあり、欧州情勢や北朝鮮はじめとした地政学的リスクも依然として存在します。
これら欧州政局不安はリスク要因であり、リスクが高まれば円が買われます。一方ECBの出口戦略がくすぶりますが、その前提は欧州政局不安の後退であり、出口戦略が本格化する時は政治不安が後退し、政治・金融両面からユーロが上昇しドル安要因となります。
したがってリスク回避の円買いは収まりますが、むしろドルが全体的に軟調となりドル円も押し下げるという関係にあると思います。
今週木曜日には日本のQ1GDPが発表されますが予想は+1.8%(前期比年率、前回+1.2%)と5期連続の成長が予想され、出口戦略観測が再燃する場合には円買い材料となるでしょう。
したがってドル円は一方的に続伸する状況にはないと考えます。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7329-0.7421 AUDYEN 83.17-84.34
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7300-0.7500 AUDYEN 82.00-85.00
今週の豪ドルは:底堅い動きでしょう
豪ドルは原油安やRBAの年内利上げ観測後退で73セント台前半、83円割れまで下落しました。しかし先週は原油が47ドル台まで反発したことや、発表された来年度(2017/18)予算案で来年度以降の赤字漸減と2020/21年均衡財政目標の維持が確認され、トリプルA格からの格下げリスクが減少したことも豪ドル反発要因となりました。また仏大統領選の結果を受けて市場のリスク許容度が増加したこともリスク通貨豪ドルをサポートしました。
テクニカルには75セントを下抜いており、下値ターゲットの年初安値71セントを目指す豪ドルですが、やはりトリプルA格に対する投資家ニーズが下値をサポートしているように思います。
まだ原油や鉄鉱石価格の先行きに不安があり、また75セントを回復するには“ドル下落”が必要となってきますが、下値は71セントや80円には達しないで押し目買いでサポートされると予想します。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。