<今週の主な予定・イベント>
7/10(月)日本5月国際収支、黒田総裁挨拶、中国6月CPI/PPI、ユーロ圏財務相会合、加計学園閉会中審査
11(火)FEDブレナード理事・SF連銀総裁講演、EU財務相理事会
12(水)FEDベージュブック、カンザスシティー連銀総裁講演、イエレン議長下院証言
13(木)中国6月貿易収支、米6月PPI、新規失業保険申請件数、FED当局講演(シカゴFED、ブレナード理事)、イエレン議長上院議会証言
14(金)米6月鉱工業生産、米6月小売売上高、米6月CPI、ダラスFED総裁講演
<マーケットの焦点>
キーワード:イエレン議長議会証言、Brexit交渉開始、欧州政局(メイ政権、イタリア地方選挙、ギリシャ債務問題)、ロシアゲート問題、日欧米金融政策、中国格下げ、原油価格
先週は、前週末の東京都議選で自民党が惨敗し、また火曜日には北朝鮮が初めてICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を行い、金曜日に米国6月雇用統計発表とハンブルクG20開催など、イベント盛り沢山の週となりました。
前週末と比較してNYKダウや上海総合指数、英国や独はやや上昇を維持し、一方日経平均やカナダ、豪州はやや軟化しました。
また商品相場は結局原油が47ドル台から一時43ドル台まで下落するなど総じて軟調でした。
多くのイベントを経て為替相場ではドル安・円安・欧州通貨高が顕著となりました。
この流れの背後には主要国の金融政策への思惑が働いています。米国が今年2回の利上げをする一方、前週にはECB、英国中銀、カナダ中銀など主要国銀行総裁が軒並み出口戦略に対して前向きな発言を行ったインパクトが大きいと言えます。
これに対して黒田日銀総裁は引き続き日本経済、消費者物価動向に対して慎重な姿勢を繰り返し、日本以外の主要国との金融政策の方向性に対する温度差がドル安・円安・欧州通貨高をもたらしたと言えます。
欧米は共に引き締め方向ですが、やはりここ数年金融引き締めに動いているFRBに対してECBや英国中銀の発言が驚きを与えたようです。
また今回の円安の背景には6月まで欧州政局不安や北朝鮮問題で市場に溜まっていた「リスク回避の円買い」ポジションの巻き戻しがあったことも確かで、にわかに市場に高まっている「円キャリートレード復活」と位置付けるにはまだ時期尚早と思われます。
また米国6月雇用統計はNFPRが+22.2万人と久しぶりの20万人を突破しましたが、失業率が4.4%にやや悪化、平均賃金の伸びが0.2%(予想0.3%)とやや下回るなど強弱混合でした。ただNFPR+22.2万人のインパクト大きく、ドル円は114円台まで上昇し、NYKダウも押し上げました。
またG20では北朝鮮問題や通商、地球温暖化など討議されましたが、北朝鮮問題では日米韓と中国・ロシアの温度差が表面化し、通商問題では反保護主義を主張しながらも米国に配慮して不公正な貿易国に対する「正当な対抗措置」を容認、また気候変動問題ではパリ協定からの離脱を表明した米国を除く参加国の「エネルギーの効率化」に合意するなど、全般的に米国の孤立化が目立つ結果となりました。
本日は加計学園問題に対する閉会中審議が行われていますが、行政に対する政府圧力を巡る野党攻撃を嫌気して円が下落し、ドル円は114円台前半、ユーロ円は130円台、ポンド円は147円台に上昇しています。
また今週はイエレン議長の上下両院での議会証言やFRB当局発言が相次ぎます。今週発表される米国の重要指標、6月CPI、小売売上高、鉱工業生産の結果とともに、FRBの金融姿勢が注目されます。
6月までのリスク回避の円買いの巻き戻しや金利差に着目した円売りが継続するかが今週のポイントとなります。
<豪ドル相場>
先週のレンジ:AUDUSD 0.7571-0.7695 AUDYEN 85.67-86.98
今週の予想レンジ: AUDUSD 0.7500-0.7700 AUDYEN 85.00-88.00
今週の豪ドルは:現レベル中心の底堅い動きでしょう
先週豪ドルは対ドルではRBA理事会において主要国にフォローした出口戦略への示唆はなく、慎重な“ニュートラルスタンス”が確認されたことから一時75セント台半ば、85円台後半に下落しました。しかし、その後は強い国内指標(6月小売売上高、6月貿易収支)や欧州通貨高(ドル安)にサポートされて76セント台を回復し、特に対円では86円台後半に上伸しました。
今週は国内指標では水曜日の7月WESTPAC消費者信頼感が注目されますが前回は前月比
-1.8%と弱く、最近の信頼感の低さを再確認するか注目されます。
また原油価格が再度44ドル台に下落し、Australia Department of Industry, Science and Innovationが 来年度の鉄鉱石価格を50ドル以下と予想するなど商品相場の先行きはあまり明るくありません。
ただ商品相場の軟調は市場も織り込みつつあり、むしろ世界経済好転で商品相場予想が上方修正される可能性も年後半にはあります。
欧州通貨高がいつまで続くか定かではなく、再度欧州通貨下落→豪ドル売り圧力の可能性もありますが、足元は75-76セント台、85-86円台中心の底堅い動きが予想されます。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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