「今週の相場の焦点」by joe Tsuda (津田 穣)9...
9 December 2024 ◎<ポイント> ―ドルは水準を維持し、米株は史上高値更新― ・今週の予想レンジ:148.00-153.50円 先週…
7/31(月)中国7月製造業/非製造業PMI、米6月中古住宅販売成約件数
8/1(火)RBA理事会、中国7月財新製造業PMI、ユーロ圏Q2GDP(速報値)、米7月自動車販売、米6月個人所得収支、米7月ISM製造業景況指数
2(水)米7月ADP雇用者数、連銀総裁講演(クリーブランド、SF)
3(木)豪州6月貿易収支、中国7月財新サービス業PMI、ECB経済報告書、BOE理事会、BOE四半期インフレ報告書、米6月製造業受注、米7月ISM非製造業景況指数、新規失業保険申請件数
4(金)豪州6月小売売上高、RBA四半期金融政策報告書、米7月雇用統計、米6月貿易収支
先週はNYKダウが21,800ドル台に史上高値を更新し、原油が49ドル台まで反発するなど商品相場も堅調推移し(CRB INDEXは184台に上昇)、全般的にリスク選好地合となりました。
インフレ鈍化傾向で米国の利上げ速度がスローダウンするとの見方も株価をサポートしたと言えます。
注目の米Q1GDPは前期比年率で+2.6%(予想+2.7%、前回は+1.4%から+1.2%に下方修正)と予想並みでしたが、同時に発表されたインフレ指数であるPCEコアデフレーターが前期の+1.8%から+0.9%に低下するなどインフレ鈍化傾向が結局FRBの引き締め観測を後退させ、ドルは110円台半ば、対ユーロ1.17台半ば、対ポンド1.31台半ば、対豪ドル80セント台前半まで軟化しました。
今週は指標的には中国の7月製造業/非製造PMIが今朝発表され、それぞれ51.4(前回51.7)と54.5(前回54.9)とややスローダウンしましたが、明日の民間発表の財新製造業PMI(予想50.4、前回50.4)が注目されます。
米国サイドでは金曜日の7月雇用統計が注目で、予想値はNFPRが+18.3万人(前回+22.2万人)、失業率が4.3%(前回4.4%)、平均時給が+0.3%(前回+0.2%)ですが、特に低賃金上昇率が問題視される中平均時給の伸びが注視されます。
先週のFOMCではバランスシート縮小時期の開始を「比較的早期」とし9月開始観測が高まりましたが、今後の労働市場やインフレ動向、更には債務上限引き上げ問題次第では開始時期が後ずれする可能性もあり、FRBのハト派的姿勢と受け止められて、更にドルの地合を弱める可能性があります。
その他にもトランプ政権の経済政策遂行能力に対する懐疑的な見方や、ロシアゲート疑惑、更には8/1から米国からの輸入牛肉に対する関税が50%に引き上げられる(セーフガード発動)ことから、日米の貿易不均衡問題にトランプ政権が圧力を掛けてくる可能性、北朝鮮の地政学的懸念などドル安要因が目立ちます。
また安倍政権の内閣改造が行われる見通しですが、自民、民進含めて日本の政局混迷が嫌気されて、現在2.万円を切ってきた日経平均が大幅下落すれば、これも円買い材料となります。
一方年初来の高値を更新するユーロ高がドル安の大きな原因ですが、ECBは8月の米ジャクソンホール会議で資産購入プログラム終了を宣言し、9月のECB理事会でテーパリングを開始するとの見方が浮上しており、ECBの引き締め姿勢もユーロ高をサポートします。ただ最近ユーロ圏のインフレ率の鈍化傾向やユーロ高もディスインフレ要因であるため、1.20を超えるユーロ高に対してはECB当局の牽制が始まる可能性があります。総じてドル軟調材料が非常に目立ちますが、ドル売りの青信号点灯と考えるには慎重であるべきと考えます。
先週のレンジ:AUDUSD 0.7877-0.8065 AUDYEN 87.65-89.42
今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7900-0.8100 AUDYEN 87.00-90.00
豪ドルは米ドル全面安地合にあって商品相場高や中国の景況が改善しているとの見方にサポートされ、先週は一時80セント台半ば、89円台半ばまで続伸しました。
しかしさすがに高値警戒感もあり79セント台半ば、ドル円の下落につれて一時87円台後半まで反落しています。
先週はRBA当局者が相次いで「海外中銀の引き締めに豪州が自動的に従う必要はない」との姿勢を表明し(ロウ総裁、デベル副総裁など)し、またロウ総裁は「豪ドルがもう少し下落すれば好ましい」と発言するなど、早くも豪ドル高牽制が始まったようです。
明日のRBA理事会声明や金曜日に発表になるRBAの四半期金融政策報告書におけるインフレ見通しや豪ドル高に対する見解を注視する必要があります。
80セント、90円の心理的な壁ではさすがに高値警戒感が強いですが、米ドルが更に全面安となれば豪ドルも80セントを超えるでしょうし、一方出遅れているドル円が110円を割っていけば豪ドル円は軟調に転じることが予想されます。
もっとも豪ドルが本格的に反落するには史上高値圏に張り付く主要国の株価に大幅調整が入る局面であると考えています。
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
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