at_money_service
マネー

シドニー発豪ドル見通し(20 November 2017)

<今週の主な日程・イベント>

11/20(月)日本10月貿易収支、米10月景気先行指数、ドラギ総裁欧州議会公聴会出席 21(火)RBA議事録、ロウ総裁講演、米10月中古住宅販売件数、イエレン議長講演 22(水)米10月耐久財受注、英秋季財政報告、米新規失業保険申請件数、メイ首相下院党首討論会、米FOMC議事録 23(木)日本勤労感謝の日休場、ECB議事録、独財務省月報、米感謝祭休場 24(金)独11月ifo景況感指数、ブラックフライデーで米国株式債券市場は短縮取引

 

<マーケットの焦点>

先週は主要国の株価に調整が入りNYJKダウや日経平均は反落。また独Q3GDPが予想を上回ったことからユーロは1.18台に上昇し、ドル円は一時10月中旬以来の112円割れまで値を下げました。 米下院は共和党の税制改革案を可決し上院に回されますが、上院は独自の財政改革案をまとめておりトランプ政権の望んでいる23日の感謝祭までの可決は尚不透明です。審議が難航したり法人減税の段階的導入などとなれば失望ドル売りにつながるでしょう。またアジア歴訪から戻ったトランプ政権は貿易不均衡問題を再確認しており、NAFTA交渉ではカナダ・メキシコ共に反発を強めるなど、再び貿易不均衡問題が脚光を浴びる可能性があります。 北朝鮮問題では習主席の特使が北朝鮮を訪問しミサイル実験や核実験放棄を要請した模様ですが、一方弾道ミサイル搭載可能の新型潜水艦を建造中との報道もあります。北朝鮮が中国のいわば最後通牒を拒絶する場合には、再び緊張が高まる可能性があります。 中東サウジでは先日大規模な汚職撲滅の粛清が行われ王子や閣僚など200人が逮捕され90兆円相当の資産が差し押さえられたと報じらています。 これら資産処分の話も聞かれアセット市場にとっては新たなネガティブ要因となる可能性があります。その他Brexit交渉は難航し、カタルーニャ問題は12/21の州議会選挙まで予断を許しません。 また12/12-13のFOMCでの利上げはほぼ確実視されますが、むしろ来年の利上げについては現在のコンセンサス年3回が景気減速などにより減る可能性も指摘されます。 このようにリスク材料は依然として混在しており、11月まで進んできたリスク選好・株高相場に更に調整が入る可能性には留意すべきです。 今週は23日が勤労感謝の日/感謝祭で日米休場となりますが、休場を控えて株価、ドル相場共に更に調整が入る可能性があります。

 

<豪ドル相場>

今週の豪ドルは依然軟調推移でしょう

先週のレンジ: AUDUSD   0.7536-0.7665   AUDYEN 84.64-87.09 今週の予想レンジ: AUDUSD   0.7500-0.7700 AUDYEN 83.50-86.50

先週豪ドルは軟調推移しました。発表された11月WESTPAC消費者信頼感が11月ぶりに100を超えた10月から再び99.7に下落したことや、Q3賃金コスト指数が前期比+0.5%、前年比+2.0%(予想+0.5%+2.2%)と予想を下回り、RBAの懸念する低インフレ環境が今後も改善しないとの読みから、RBAの利上げ観測が更に遠のき豪ドルの重石となりました。 また主要国の株価に調整が入りリスク回避の動きが見られたことも豪ドルを押し下げました。発表された10月雇用統計は就業者数が+3.7千人と予想を下回りましたが13か月連続プラスを維持し、前月分が+26.1千人に上方修正され、またfull-time-jobも+24.3千人増加したこと、更に失業率も5.4%に改善するなど、悪い結果ではなく発表直後は豪ドルをサポートしました。 今週は火曜日に発表されるRBA議事録や同日に予定されるロウRBA総裁の講演が注目されますが、豪州経済に強気であった同総裁が最近の軟調な指標に対してどのようなコメントを行うか注目されます。 再び豪ドルベアな見方が台頭しておりテクニカルには6月の安値73セント台、82円台あたりがターゲットとなります。 ただ上記のように米ドルも盤石ではないことや年末に向けての豪州資源産業の来年度の輸出予約(豪ドル買い)も予想されるため、現レベルからの大幅な下落は予想しておりません。

 

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら