「今週の相場の焦点」by Joe Tsuda (津田 穣)2...
23 September 2024 ◎<ポイント> ―先週のFOMC、BOJ会合終わって、ドル安・円安の様相― ・今週の予想レンジ:142-146 ―…
“明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします” <主なイベント・日程>
1/2(火)独12月製造業PMI、英12月CIPS製造業PMI 3(水)米12月ISM製造業景況指数、米FOMC議事録 4(木)米12月ADP雇用者数、米新規失業保険申請件数 5(金)ユーロ圏12月CPI、米12月雇用統計、米12月ISM非製造業景況指数、地区連銀総裁講演(セントルイス、フィラデルフィア、クーブランド)
<マーケットの焦点>
昨年も多くの出来事がありました。トランプ政権発足1年目で12月には税制改革法案が成立、FRBは年間を通じて3回の利上げを行い金融引き締めを継続中です。 ハードBrexitは今のところ避けられていますがまだ前途多難。そして仏大統領選をはじめ反EU派台頭の懸念が高まった欧州政局ですが、仏大統領選は無事通過し独メルケル政権も何とか第一党を維持しました。ただカタルーニャ議会選挙では独立派が勝利し、また今年3月に総選挙が予定されるイタリアでも右翼政党の台頭が予想されるなど、スコットランドやアイルランドの独立運動を含めて依然として欧州は政局不安定です。 地政学的リスクではISの脅威は後退したものの、代わって北朝鮮問題がクローズアップされ、またサウジアラビアの国王交代観測やカタール・イエメンを巡るサウジアラビアとイランの対立、トランプ大統領のイスラエルの首都エルサレム認知問題、シリア問題など中東にも懸念材料が多い状態です。 また中国の発言力増大に連れて中国の南シナ海・東シナ海、ベトナムなどアジア諸国との国境問題や、北朝鮮を巡る中国やロシアと米国同盟国の対立など、地政学的リスクは依然として尽きません。 このように多くの不安材料を抱えながらも昨年はNYKダウはじめ米国中心に主要国の株価は史上高値圏まで上昇し、世界的にリスク選好の動きも活発化しました。 今年の市場の焦点も昨年来の諸問題を引き継ぐ形ですが、中でもトランプ政権の今後の運営や世界的に高騰した主要国の株価が大きな調整局面を迎えるかに注目しています。 また2020年代には米国を抜いて成長率で世界No1となる中国の動向も要注意でしょう。 昨年習体制は更に強化され、昨年のGDPは1昨年の6.7%を上回るとの見方もあり、6.5%に向けてスローダウン予想が一般的である中、今後更に成長加速となれば、その発言力も一層高まるでしょう。ただ共産党の一党独裁体制や言論統制に対する民衆の反発が高まる危険性には留意したいところ。 また来年3月の大統領選に再々再出馬すると言われるロシアのプーチン大統領は欧州や米国はじめ国際外交上の問題を抱えるだけではなく、国内でも反プーチン派の動きには要注意でしょう。 ただかかる心配事項とは裏腹に主な国際機関は今年の世界経済の成長を昨年の3.3%程度から3.6%に拡大予想しています。 大きな波乱要因が起きなければ主要国の株価が更に続伸し、世界的にリスク選好ムードが高まる可能性もあります。 トランプ政権は税制改革から更に年初にはインフラ投資拡大を目指し、本国投資法で外資の導入を図る政策です。 米国第一主義の元保護主義・排他主義が更なる外交上の問題を生む恐れがありますが、一方米国が大きな牽引車となって世界経済の拡大に寄与する可能性もあります。 今年は一言で言って「昨年を上回る波乱要因により相場が乱高下する、つまり相場のボラティリティーが上昇する」と予想します。 為替相場が活発に動けば我々ディーラー達には何よりのプレゼントとなりますが、あまりに激しい相場となれば生き残りが難しい事態となりかねません。 昨年ドル円は107円台~118円台と1100ポイント程度で例年よりも静かなマーケットでしたが、今年は100円~120円程度と、約倍の値動きを予想しています。
<豪ドルマーケット>
今週の豪ドルはやや反落を予想します
昨年のレンジ: AUDUSD 0.7165-0.8125 AUDYEN 81.48-90.30
今年の予想レンジ:AUDUSD 0.700-0.8300 AUDYEN 75.00-95.00
昨年の豪ドルは年初71セント台、85円台でオープンし上昇しましたが、5月に73セント台、81円台に反落し、9月に91セント台に上昇して75セントに下落後78セント近辺でクローズ。対円でも9月に90円台まで上昇後84円台まで反落して結局88円近辺でクローズしました。 年前半は商品相場軟調、ドル高、そして地政学的懸念などで軟調でしたが、年後半に向けて商品相場が上向き、ドルが反落する中年末にかけては資源会社の本年度の輸出予約(豪ドル買い)も出て高値圏で取引を終えました。 豪ドルは80セント、90円を上抜けできなかった要因は、やはり国内経済では低インフレや個人消費の不冴えからRBAの利上げ観測が2019年にずれ込んだことがあります。 今年の豪ドルは基本的には堅調推移を予想し、対ドルでは75-80セントを、また対円では85-90円をコアとするレンジを予想ますが、上昇トレンド入りとは決して言えません。 ドル相場は昨年にも勝る乱高下が予想され、豪ドル相場もドル相場に翻弄される可能性があります。また年末にかけて出回った資源会社のドル買い需要も終了し、年初は市場の豪ドル買いポジションが整理される可能性もあります。 商品相場については国際機関が予想するように今年の世界経済が順調に拡大すれば、堅調推移が可能となりますが、中国経済はじめまだ不透明感が強い状態です。 また上述のように世界的に大幅上昇した株価にまとまった調整が入れば、市場のリスク許容度は大きく減少し、リスク通貨豪ドルにもネガティブなインパクトを与えるでしょう。 更に一点、RBAの利上げ観測が今年後半あたりに前倒しされるか、あるいは現在来年2月程度と予想される利上げが更に先送りされる可能性、あるいは再利下げの可能性も含めてRBAの金融政策は今年も注視していく必要性があります。 米ドル同様に今年の豪ドル相場は昨年を上回って変動すると予想します。
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
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