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シドニー発豪ドル見通し(5 Match 2018)

<主なイベント・日程>

3/5(月)中国全国人民代表大会開幕、米2月ISM非製造業景況指数
6火)RBA理事会、米1月製造業受注、FRB関係者講演(ブレイナード理事、NYK連銀総裁、ダラス連銀総裁)
7(水)豪州Q4GDP、米1月貿易収支、米2月ADP雇用者数、FEDベージュブック、地区連銀総裁講演(NYK連銀、アトランタ連銀)
8(木)日本Q4GDP(改定値)、中国12月貿易収支、ECB理事会、米新規失業保険申請件数
9(金)日銀金融会合、中国2月CPI/PPI、米2月雇用統計、地区連銀総裁講演(シカゴ連銀、 ボストン連銀)

 

 

<マーケットの焦点>

先週も主要国の株価は軟調推移し、ドル円は一時105円台前半と今年の最安値を付けました。
パウエル議長の議会証言や中国2月PMIの発行などイベントがありましたが、最大のニュースはトランプ政権が鉄鋼(25%)、アルミ製品(10%)への関税賦課の方針を正式に発表したことです。
中国やEUは報復措置を示唆し、貿易摩擦拡大が世界経済に与える影響が懸念され、主要国の株価は大幅下落し、リスク回避の円買いが再燃しました。
また金曜日の国会答弁で黒田日銀総裁が「19年度頃には消費者物価は2%に達し、出口戦略について検討していることは間違いない」と発言したことも円買いを誘いました。
先週初25,709ドルまで反発していたNYKダウは先週末24,538ドルまで反落しています。 また週末には独の第二党社会民主党の連立の是非を問う党員投票が行われ、連立賛成が過半数を占め独政権の空白は解消する運びとなりました。
一方4日行われたイタリア総選挙の結果は本日中には大勢が判明しますが、ベルルスコーニ元首相の政党フォルツァ・イタリアと欧州連合(EU)懐疑派の「同盟」(旧北部同盟)などでつくる右派連合、EU懐疑派の新興政党「五つ星運動」、与党・民主党を中心とする左派連合が三つどもえの接戦を展開しており、左派連合は最も劣勢とみられ、民主党政権に厳しい審判が下される可能性があり、政局不安につながる可能性があります。
今週トランプ大統領は輸入制限措置の詳細を発表予定ですが、各国に対して例外なしに適用するとの報道も週末にありました。 来週予定されるペンシルベニア州米下院補欠選は今年秋の中間選挙の前哨戦と言われますが、同州は鉄鋼業が盛んであり、トランプ大統領の輸入制限は同州へのアピールの狙いがあるものと思われます。
また週末ロシアゲートを調査中のモラー特別検察官は、娘婿クシュナー氏の海外ビジネスがホワイトハウスの政策に影響を与えているか調査すると述べており、トランプ大統領は高まる国内政治のへの非難を対外に振り向ける政治的意図もあるのでしょう。
更に米北対話に関して北朝鮮は非核化を目標とする米国の前提条件は拒否する姿勢を明らかにしています。
今週米国サイドでは2月のISM非製造業景況指数、1月貿易収支、2月雇用統計などの主要指標が発表されますが、最近好調な雇用統計よりも、むしろ悪化の一途をたどる貿易収支の結果に市場は強く反応する可能性があります。
全般的にトランプ大統領の保護貿易主義発言などが原因で再び市場のリスク回避の動きが活発化し、今週も株価続落・ドル円下値テストの可能性が高いと考えます。

<豪ドルマーケット>

今週の豪ドルは引き続き軟調推移でしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7712-0.7893 AUDYEN 81.56-84.16
今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7650-0.7850  AUDYEN 80.50-83.50
先週豪ドルは続落しました。 発表されたQ4 CAPEX(民間設備投資)が前期比-0.2%(予想+1.0%、前回+1.0%)と予想を下回り、設備投資減退も底を打ったという楽観論が冷やされました。
また発表された中国の2月製造業/非製造業PMIが予想を下回ったことや、原油が61ドル台に反落していることも豪ドルの重石となりました。 あまり誰も大きく取り上げませんが、個人的には先週以来米豪10年債利回り格差で米国が豪州を上回っている影響が大きいと考えています。 FRBの引き締めが向こう2-3年続くと考えられる一方、RBAの利上げの可能性は来年5月程度まで後ずれしており、予想以上に米豪金利逆転現象が続く可能性が指摘されます。
今週のRBA理事会では再び利上げに慎重な姿勢が確認されるでしょう。 本邦期末を控えたリパトリのカバーをまだ取っていない投資家は、豪ドル円の続落を前に焦りを覚えていると思われます。 係るリパトリ関連の円買い需要も豪ドル円の上値を重くするでしょう。
今週水曜日にはQ4GDPが発表されますが予想は前期比+0.5%(前回+0.6%)、前年比+2.5%(前回+2.8%)とややスローダウン予想となっています。

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Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

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