at_money_service
マネー

シドニー発豪ドル見通し(19 March 2018)

<主なイベント・日程>

3/19(月)19/20ブエノスアイレスG20、2月日本貿易収支
20火)独2月ZEW景況感指数、英2月CPI、中国全人代閉幕
21(水)日本春分の日、FOMC(経済見通し、パウエル議長会見)、米Q4経常収支
22(木)NZ中銀理事会、豪州2月雇用統計、独/ユーロ圏3月製造業PMI、BOE理事会、ECB経済報告、EU首脳会談
23(金)日本2月CPI、米2月耐久財受注、米2月新築住宅販売、米暫定予算期限、地区連銀総裁講演(ボストン、ミネアポリス、アトランタ)

 

 

<マーケットの焦点>

先週も多くの出来事がありましたが、リスク回避材料が多く、主要国の株価は総じて軟調推移しています。 米国ではティラーソン米国務長官が解任され、後任はトランプ寄りのポンペオCIA長官となり、またゴールドスタイン国務次官も解任されました。 また先日辞任したコーン米国家経済会議委員長の後任に保護主義的な経済評論家のカドロー氏が就任し、コーン委員長と確執があった対外強固派のナバロ米国家通商会議委員長が発言力を増加させるなど、トランプ政権の保護主義色が更に強まっています。
トランプ政権が中国に対して300億ドル(一説には600億ドル)の輸入関税を検討、あるいは中国に対して知的財産権侵害で制裁措置の発動を検討中との報道もありました。
またロシアゲートを調査中のモラー特別検察官がトランプ大統領の投資会社(現在息子が運営)に対してロシア関連を含む書類を精査するために召喚状を出したとの報道も。
一方英国ではロシア人亡命者家族への暗殺未遂事件で、英国は23人のロシア外交官国外退去を発表しましたが、報復措置としてロシアも23人の英国外交官の追放を発表しています。 日本国内でも森友関連の財務省文書書き換え問題で佐川現国税庁長官の辞任があり、本日も国会での野党の追及が続いています。麻生財務相は本日から始まるG20欠席を発表しています。
今週も日米の政治動向を見ながらの不安定な相場展開が予想されます。 米経済は良好なパーフォーマンスを示しますが、上記のように保護主義色が更に強まれば、米経済のみならず世界経済への影響が懸念されます。 世界経済への不安が再燃すれば当然主要国の株価へに影響は免れません。 また今週のFOMCでは利上げが確実視され、焦点は今年のフォワードガイダンス、つまり利上げが年内3回か、4回かであり、強気のガイダンスが出ればドル買いとの見方もあります。 しかし利上げの加速は株価にとってネガティブであることは間違いなく、その前に米国発の保護主義懸念が高まり、あるいは利上げ加速から米経済が失速する事態となれば、FRBのフォワードガイダンス自体見直しの必要性が強まることは間違いのないところです。 短絡的にFOMCでの利上げ=ドル買いとの見方はできず、むしろ上記のような不安材料も見え隠れする不安な相場展開が継続する可能性が高いと考えます。

 

 

<豪ドルマーケット>

今週の豪ドルは上値の重い展開でしょう

先週のレンジ: AUDUSD 0.7709-0.7916 AUDYEN 81.72-84.52

今週の予想レンジ:AUDUSD 0.7600.0.7800  AUDYEN 80.00-83.00
先週豪ドルは再び軟調推移しました。 2月以降の調整買戻しも79セント台前半、84円台半ばで一巡といったところです。
基本的にドル高・円高地合であり、欧州通貨安に豪ドルもフォローしましたが、クロス取引での円買い圧力を豪ドルの上値を押さえました。 また世界的な保護主義の高まり、特に米中間の通商問題の悪化が間接的に豪州経済にも悪影響するとの見方も売り材料視されました。

中国は豪州の最大貿易国である一方、対米貿易の比重は比較的低い(輸出の約5%、輸入の約12%)のですが、米中間の通商摩擦は間接的にその他地域からの豪州への資源需要を低下させるという見方です。
今週は国内指標では2月雇用統計があり、最近の失業率の低下傾向(5.5%)が確認されれば今後の賃金上昇に期待を持たせるでしょう。
しかし足元は国内指標よりもドル相場や市場のリスク許容度に左右されそうです。

この記事をシェアする

Joe Tsuda のプロフィール

東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。

1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。

現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ


☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。

☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/

☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。

この投稿者の記事一覧

概要・お問い合わせ

その他の記事はこちら