オーストラリアでいろいろなサイトを見てシェアハウスの目星はつけたけれど、部屋の下見(インスペクション)をするときに見るべきポイントが分からない、というワーホリ・留学初心者の方は多いでしょう。日本では当たり前のことだと思って確認しなかったために、引っ越しをしてから思わぬトラブルが起こることも。
「あの時ちゃんと見ておけばよかった……」と後悔しないためにも、今回はオーストラリアのシェアハウスをインスペクション(部屋の下見)をするときの注意点を整理してみます。
シェアハウスの探し方やアポの取り方については前回の記事を参照しましょう。
シェアハウスのインスペクション(部屋の下見)では、シェアハウスの住環境以外にも見るべきポイントはたくさんあります。アポの確認から退去ルールまで、インスペクションの際のあらゆる確認事項を「シェアハウスに行く前」「シェアハウスに行ったら」「シェアハウスに行ったあと」の3つに分けて紹介します。
シェアハウスのオーナーによっては、事前にやり取りをしていてもインスペクション(部屋の下見)のアポを忘れていてすっぽかされるというケースがあります。特にコンタクトを取ってからインスペクションまで日が空く場合は、インスペクション当日にこれから向かう旨を伝えたほうが確実です。
実際の部屋とシェア広告に載っていたじょうほうを照らし合わせるためにも、インスペクション(部屋の下見)に行く前に情報をメモしておくといいでしょう。オーナーに確認する際に口頭だけで説明するよりも、手元に情報があったほうが便利かもしれません。
良い物件はすぐに取られてしまうことが多いので、即決とまではいかなくても、インスペクション(部屋の下見)に行った後はなるべく早めに入居するかどうかをオーナーに連絡しましょう。物件を気に入って、インスペクションの際にその場で契約する、またはキープしておきたいという時のために、家賃1週間ほどの現金を用意しておけば予約金(デポジット)を払うことができます。
あまりにも清潔感がない人や態度が悪い人には、シェアハウスのオーナー側から入居を断られることがあります。ラフでフレンドリーなオーストラリア人オーナーも多いですが、最低限のマナーとして、挨拶と身だしなみには気を付けましょう。
インスペクション(部屋の下見)に行く際は、友達と一緒に行くことをおすすめします。特に女性の場合は、一人でインスペクションに行って犯罪に巻き込まれるケースもまれにあるようなので、トラブルを避けるためにも同伴者はいた方が良いでしょう。
第3者がいることで、客観的に物件を見ることができるという利点もあります。自分だけでは判断できない場合や、誰かの意見を求めたいときにも、友達がいれば心強いでしょう。
シェアハウスまでの交通機関は、実際にインスペクション(部屋の下見)に行く際に確認しましょう。最寄り駅からシェアハウスまでがあまりにも遠い場合は不便かもしれません。通勤・通学にかかる時間や、シティまでのアクセスも調べておくといいでしょう。
バス・電車の運行時間と料金、終電の時間なども把握しておくと生活リズムがイメージしやすいです。シドニーの場合、週末はメンテナンスで電車が止まることも多いので、行き帰りで交通手段を変えてみるのもおすすめです。
シェアハウスによってセキュリティの形はさまざまです。マンションはオートロック式のことが多いですが、その場合複製が難しくて自分用の鍵(オウンキー)が持てないということもあります。オウンキーが持てないと、帰宅時間の自由が利かないので人によっては不便に感じるかもしれません。
玄関だけでなく、盗難や防犯を防ぐためにも自分の部屋やバスルームにも鍵があったほうが安心です。インスペクション(部屋の下見)の際に必ず確認しましょう。
リビングでまず見るポイントは、リビングシェアがいるかどうかです。リビングに住む人がいると落ち着かないという精神的な理由もありますが、夜に帰宅しても電気がつけられないといった生活上の不便もよく聞かれます。なるべくリビングシェアは避けた方がいいでしょう。
また、あまりにも内装のセンスが自分と合っていないと気疲れしてしまうこともあります。オーストラリアには日本とは違って多文化・多宗教が集まっていることを覚えておきましょう。
食器棚や冷蔵庫、冷凍庫内のスペースの割り当てがきちんとなされているか確認しましょう。料理をする人はコンロの型も注意するポイントです。料理に十分な火力が出るガスコンロやIHコンロなら問題ないかもしれませんが、写真のようなうずまき型の電磁コンロだと温まるのに時間がかかる場合があります。オーストラリアのシェアハウスではよく見られるので、日常的に料理をしたい人にとっては向いていないかもしれません。
そのほか、コーヒーメーカーやトースターの有無、調理器具や食器はシェアか自前かを入居前に確認しておきましょう。特に炊飯器はオーナーがオーストラリア人の場合は、用意されていない場合があるので注意が必要です。
オーストラリアのキッチンではごみ箱が収納の中に入っていることがあります。引っ越し後に嫌な思いをしないためにも、生ごみの管理はきちんとなされているか、ごみ出しのルールはあるのかをチェックしておきましょう。
オーストラリアではトイレとお風呂が一緒になったタイプが一般的なので、同居人数に対してあまりにもバスルームの数が少ないと混み合うことになります。3人以上のシェアハウスで1つのバスルームだと、不便に感じる人もいるでしょう。
シェアハウスのルールによっては、シャワーの使用時間が決められていることがあります。またオーストラリアには一日で一定量しかお湯を使えない、タンク式給湯機を使っているシェアハウスもあります。特に冬場は水しか使えないということになると厳しいので、オーナーに聞いてみるといいでしょう。
トイレに関しては、トイレットペーパーが光熱費等(ビル)に含まれているか、水圧に問題がないか確認しましょう。
シェアハウスによっては洗濯機が有料であったり、使用回数が週に何回と決まっていたりすることがあります。海外製の洗濯機の場合、機能や容量が違うこともあるので確認しておきましょう。
乾燥機があるシェアハウスは半々くらいですが、同様に使用回数に制限があるか、追加料金がかかるかどうかは押さえておくといいでしょう。
意外と見落としがちなのが、洗濯物を干すスペースです。庭、ベランダ、屋上などさまざまなケースがありますが、同居人数が多いとスペースが確保できなかったり、日当たりが悪かったりすることもあります。カビが生えるという問題のため、部屋干しが禁止されているシェアハウスもあります。下着を屋外や男女共有スペースで干すのに抵抗がある人は必ず確認しましょう。
ベッドのサイズ、ベッドリネン(シーツ、ベッドカバー、枕カバーなど)は備え付けかどうか、マットレスに損傷やへこみはないかは入居前に必ず確認しておかないと、後々大きなストレスになりかねません。扇風機や暖房、ヒーター、エアコンなど季節によっては必要になる設備も確認しておきたいポイントです。
ベッド位置やシェアメイトの温度調節によっては体調にも問題をきたすので、オーナーに用意はあるのか聞くのに加えて、設備の配置や設定に関しても確認しましょう。コンセントの位置も自分の使いたい場所に無いと不便なものです。勉強や仕事にも支障がでることもあるので、配線にも注目してみましょう。
ハウスルールはシェアハウスによって異なりますが、あまりにも細かいと窮屈な思いをするかもしれません。一見その物件が清潔で住むのに良いと思っても、オーナーが綺麗好きで自分にも徹底的に掃除をするように求められるのは厳しいという人もいるでしょう。
ハウスルールに関しては、自分の中で譲れるポイントと譲れないポイントの線引きを持っておくことが大切です。
日本の家族や友達に連絡を取りたい場合は、通信量や料金が通常よりかかることもあるので、シェアハウスにWi-Fiがあったほうが安心です。インターネット代がビルに含まれているかどうかは、事前にオーナーに確認しておきましょう。
「Speedtest.net」などの無料スマホアプリを使って、ネット速度を計測してみるのもおすすめです。同アプリのウェブサイトによれば、オーストラリアの平均ブロードバンド通信速度は世界ランキング53位で31.53Mbps。日本は15位で81.27Mbpsと豪日の平均通信速度には2倍以上の差があるので、オーストラリアでの生活に慣れるまでは、日本との通信速度の違いにストレスを感じるかもしれません。
立地や契約、シェアメイトの使用状況によってはかなり接続が不安定になる可能性があります。また、ルーターから離れると接続が弱くなるので、自室となるベッドルームでテストすると、実際に生活する上での正確な通信速度が分かるでしょう。
基本的には3カ月ほどのミニマムステイを設けているシェアハウスが多いです。ミニマムステイ期間内に退去することになると、保証金(ボンド)が返金されません。留学生やワーホリメーカーの方は、トラブルを避けるためにもミニマムステイはきちんと把握しておきましょう。
そのほか、「退去するときは後に住む人を見つけてから」といった退去ルールを設定しているシェアもあります。不当な退去ルールを要求される前に、オーナーにきちんと確認しておくといいでしょう。
「前払い/後払い」「2週間に1度または月払い」「振込/現金」などシェアハウスによってレントの支払い方法は異なります。レントの支払い方が不明確だとトラブルにも繋がりかねないので、細かいところまでオーナーに確認しておきましょう。
ビルがレントに含まれているシェアハウスも多いですが、別で支払う場合はビルの支払い方法も事前に把握しておきましょう。後でビルは別で支払うと知った場合、シェア探しの予算がかなり異なってくる場合もあります。
オーナーは管理者として別の家に住むシェアハウスもありますが、できればオーナーも一緒に住んでいた方がトラブルへの対処が早くなるので安心です。インスペクション(部屋の下見)では、電話やメールでは分からなかったオーナーの人柄も見えてきます。一緒に住むことになる仲間として、気が合う合わないは重要です。
部屋に問題はなくても、シェアメイトやオーナーとフィーリングが合わない場合は、別のシェアハウスを見てみるのも一つの手かもしれません。英語環境にこだわる方は、シェアメイトの国籍や生活スタイルも聞いてみましょう。
インスペクションの帰りは、シェアハウスの周辺環境も見ておくといいでしょう。シェアハウスに机や椅子がなくて勉強できない場合は、近くにカフェがあれば便利かもしれません。銀行ATMや飲食店、スーパーも同様です。夜に帰ることが多い人は、駅からシェアハウスまでに街灯があるか、治安が悪くないかもチェックしておきましょう。
電車の沿線にあるシェアハウスは、騒音が気になって眠れないということもあるかもしれません。周辺環境は、インスペクションの際に歩きながら確かめましょう。
人気のシェアハウスには何件ものインスペクション(部屋の下見)が来ています。デポジットを払わない限り、先に入居を決める人がいればオーナーはそちらを優先させます。インスペクションは短期間のうちになるべく集中してアポを取って、早めに連絡できるようにしましょう。
オーストラリアでは、入居時にボンドと呼ばれる保証金を支払うことが多いです。シェアハウスによって金額は大きく変わりますが、インスペクション(部屋の下見)の際にその場でボンドを支払うのはおすすめしません。シェアハウスでよくあるトラブルのひとつに不当にボンドの返金がされないケースがあります。シェアハウスの契約時に必ずボンドの領収書をもらって、退去時まで保管しておきましょう。
シェアハウスによっては、次に入居する人を決めるために早めにシェア広告を出しているところがあります。契約することが決まったらすぐに入居できるか、または自分の希望する入居日に引っ越しができるかをオーナーに確認しましょう。
入居日に関するやりとりがきちんとできていなかったために、今日滞在する場所がないという事態が起こることもあります。
インスペクション(部屋の下見)のチェックリストをまとめた画像を作成しました。スマホにダウンロードして、インスペクション当日のチェック漏れを防ぎましょう!
英語環境のシェアハウスを探しているワーホリメーカーや留学生の方は、オーナーが日本人だけとは限りません。せっかくインスペクション(部屋の下見)に行ったのに、英語が出てこなくて質問する機会を逃すことがないように、インスペクションで使える英会話を押さえておきましょう。
道に迷いました。
ーI’m lost.
いま向かっているのですが、ちょっと遅れそうです。
ーI’m heading to your place, but I’ll be late.
15分後につきます。
ーI’ll be there in 15 minutes.
なにか家のルールや条件はありますか?
ーAre there any house rules or conditions?
リビングに住んでいる人はいますか?
ーIs anyone staying in the living room?
家には全部で何人住んでいるんですか?
ーHow many people are living in total?
家賃はいくらですか?
ーHow much is the rent?
家賃に光熱費などすべて含まれていますか?
ーDoes the rent include all bills?
家賃はどのように支払いますか?
ーHow should I pay the rent?
最低入居期間はどれくらいですか?
ーWhat is the minimum length of stay?
家を出るときはどれくらい前に言わないといけませんか?
ーHow long before leaving the room do I need to tell you?
Wi-Fiは使えますか?
ーDo you have Wi-Fi?
後ほど連絡します。
ーI’ll call you later.
他にもアポがあるので今は答えられません。
ーI can’t say right now, because I’ve got another appointment.
昨日インスペクションに行った___です。そちらのお部屋に引っ越したいです。
ーI’m___. I visited your place yesterday. I would like to move in your house.
いつから入居できますか?
ーWhen can I move in?
ボンドはいくらですか?
ーHow much is the bond?
今回はお断りします。ありがとうございました。
ーI have decided not to take your rooom. Thank you.
オーストラリアでシェアハウスを探す場合、インスペクション(部屋の下見)は最低3件は行った方がいいでしょう。インスペクションに行くうちに比較対象も増えて、自分の中で「これはいい!」「これはダメ」と判断できるようになってきます。
シェアハウス探しは早く家を見つけて安心したいという気持ちから、焦って部屋を決めてしまう人も多いです。こだわりすぎるのも問題ですが、自分で何を優先するか順位を決めて、条件と実際の部屋とをうまく折り合いをつけて決めていくことが大切です。
シェアハウスの探し方やアポの取り方については前回の記事を参照しましょう。
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