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オーストラリア生活/シェアハウスの入居・退去&トラブル対処法

オーストラリアでは学生や社会人でもシェアハウスに滞在するのは一般的ですが、日本からの留学生やワーホリメーカーの方の中には、オーストラリアに来てから初めてシェアハウスを経験するという人も多いでしょう。

オーストラリアや日本に関わらず、シェアハウスで他人と共同生活をするには、譲り合いや相互理解が欠かせません。多国籍なシェアハウスで暮らす場合には、さらに文化や宗教の違いがあります。日本では想像もできないトラブルに巻き込まれることもあります。

今回はオーストラリアでシェアハウスに入居するとき/退去するときの注意点と、シェアハウスでのトラブル例、実際にトラブルに巻き込まれた際の問い合わせ先を整理してみます。

    ▼シェアハウスの入居・退去&トラブル対処法

  1. シェアハウスへの入居&退去時の注意点
  2. シェアハウスのトラブル例
  3. シェアハウスのトラブル対処法
  4. シェアハウストラブル問い合わせ先

 


 

前回・前々回の記事では、それぞれ「シェアハウスのインスペクション」と「シェアハウスの探し方~アポの取り方」について紹介しています。

シェアハウスへの入居&退去時の注意点

シェアハウスのインスペクション(内見)に行って契約が決まったら、いよいよ引っ越しになります。これからのシェアハウス生活を快適に過ごすために、そして退去の際にトラブルが起こらないように、シェアハウスの入居時/退去時に注意することをいくつか紹介します。

予約金(デポジット)の支払い

シェアハウスの契約が決まったら、入居するまでの期間部屋をキープしておくために、家賃1~2週間分程度のデポジットを請求されることがあります。デポジットは通常入居時に全額返金されるか、最初の週の家賃に充当されます。払った払っていないというトラブルを避けるためにも、必ず領収書をもらって保管しておきましょう。

保証金(ボンド)の支払い

オーストラリアでは、入居時にボンドと呼ばれる保証金を支払うことが多いです。金額はシェアハウスによって家賃の2週間分から1カ月くらいと大きく異なります。部屋の損傷や予定よりも早く退去するようなことがなければ、退去の際にオーナーから全額返金されます。

デポジット同様、入居時にボンドを支払ったらかならずサインの入った領収書を作ってもらい、退去時まで保管しておきましょう。いつ入居していくら払ったか確認することができるので、最低入居期間や金額に関する不当なボンドの未返金などのトラブルを避けることができます。

もし可能であれば、日時や金額の記録が残るので、基本的にお金のやり取りは振り込みの方がベター。

引っ越しの日時

入居の日時は、基本的にオーナーがシェアハウスに滞在している時間帯がいいでしょう。自分の希望の入居日時とオーナーの都合をすり合わせて、事前に入居の日時を確認しておきましょう。きちんとコミュニケーションが取れていなかったために、自分の希望の日時にシェアハウスに行ったら、まだ入居できなかったというトラブルもあります。荷物が多い場合は車を出してくれたり、待ち合わせて手伝ってくれるオーナーもいるようです。

オーナーが同じシェアハウスに滞在していない場合でも、基本的に支払いや部屋の案内で入居時にはオーナーと顔を合わせるでしょう。事前にシェアメイトと連絡先を交換しておけば、オーナーと連絡がつかなくて部屋に入れないなどの、トラブル発生時でも困らないかもしれません。

第一印象は大切!

シェアハウスでは他人同士が共同生活をすることになります。誰が一緒に住んでいるのか確認する、自分がこれから一緒に住むということを認識してもらうためにも、入居時に挨拶はきちんとしておくことをおすすめします。あまりにも礼儀がなっていないと、今後の生活にも不快感を与えるかもしれません。オーナーだけでなくシェアメイトにも、良い第一印象で生活をスタートし、トラブルを回避しましょう。

部屋の損傷・シミは写真を撮っておく

インスペクションの際にも確認しておきたいポイントですが、入居時に部屋の状態は再度チェックしましょう。家具に大きな損傷があったり、壁や床に大きなシミがあったりした場合は、入居時に写真に撮って残しておくといいでしょう。

オーナーがきちんと状態を把握しているのが好ましいですが、退去の際に自分の責任にされて、不当にボンドから損傷の分を差し引かれるトラブルもあるようです。自分がやっていないことを主張するのは難しいので、写真を撮っておけば十分な証拠になるでしょう。

退去ルールの確認を

オーストラリアに滞在する留学生やワーホリメーカーの方は、いろいろな都合やトラブルで予定よりも早く退去することになったり、急に退去しなくてはならなかったりする場合もあるでしょう。シェアハウスによっては「ミニマムステイ(最低入居期間)」や、「2 week notice(退去の2週間前までに知らせる)」という退去ルールを設定しています。

退去ルールに背く場合はボンドが返金されないことが多いです。退去時にトラブルに巻き込まれないようにするためにも、ルールはしっかりと確認しておきましょう。

退去ルールに関するトラブルが多いので、気を付けよう!

シェアハウスのトラブル例

シェアハウスではシェアメイトとの軋轢やお金のやり取り、ハウスルールや文化の違いなど様々な問題をめぐってトラブルが起きているようです。シドニーでは、日本国領事館からもワーホリの方々のシェアハウス関連トラブルについて注意喚起がされています。もちろん何のトラブルもなくシェアハウスで生活されている方もいますが、起こりうる事態を知っておけば、トラブル回避や対処に役立つかもしれません。

入居前に家賃とボンドを振り込んで詐欺被害に遭った

早く住む場所を決めたいという思いから、内見に行かないまま入居を決めて事前に支払いを済ませ、実際には部屋が空いていなかったり物件そのものがなかったりという詐欺被害のトラブルに遭う。

トラブル回避のためにも、事前のインスペクションは絶対!

内見時と入居時で部屋の状態が異なる

事前にインスペクションに行ったにも関わらず、全く違う部屋に入居させられた。インスペクションの時とは衛生面や同居人数、自分の居住スペースが大きく違った。

家賃の不当な請求

事前にインスペクションに行ったとしても、入居が決まってからいろいろな理由をつけられ、最初に提示されていた家賃より高い金額を請求される。または、借りる部屋が別の住人の又貸しで、請求されていた家賃や光熱費の金額が、実際のものよりもだいぶ高い。

自分用の鍵(オウンキー)がもらえない

マンションやフラットのシェアハウスで、限られた数の鍵を住人とシェアしており、自分が家に入るときに他のシェアメイトを外で待たないといけなかった。オウンキーがないので、自分の外出時間・帰宅時間に制限があった。

日本では珍しいけど、オーストラリアのシェアハウスではオウンキーがもらえないことが結構多いよ!

自分の住んでいる物件が違法シェアハウスだった

オーストラリアでは、シェアハウスに関して法律で規定が決まっているのにも関わらず、家賃を回収したいオーナーが規定以上の人数を住まわせていて、違法シェアハウスとして取り締められ急に退去しなくてはならなくなった。

悪質物件

リビング、キッチン、物置などの一部を改造した悪質物件に住んでいて、季節によっては体調不良に陥ったり、火災や緊急時のリスクについて知らされていなかった。

オーナーの過度な節水志向や掃除ルール

髪の毛一本を落としただけでも、オーナーから厳しくとがめられて気が滅入ってしまった。節水や掃除当番に過剰なルールを設けていて、自分の時間を制限されてしまう、または自分に非がないのに罰金を請求された。

おうちが綺麗すぎるのも問題かも……

オーナー/シェアメイトからのセクハラ

オーナーやシェアメイトが勝手に部屋に入ってくることがあったり、過剰に生活に踏み入って近づいてくる。共同スペースにいるときに、自分の意思に反して体を触ってきた、性的に侮辱された。

同居人数に対してバスルームの数が少なすぎる

6人が一緒に住んでいるのにも関わらず、バスルームがひとつしかないため、朝には混み合って自分が使える時間がなかった。バスルームの数が限られているので、シャワー時間や時間帯、1回のお湯の使用量に制限があった。

勝手に私物を使われる/盗難

シェアメイトが断りもなく私物を使ったり部屋を汚したりして、注意しても聞き入れてもらえなかった。冷蔵庫の食材を勝手に使われ、シェアメイトから何の断りや謝りもなかった。シェアメイトが同じ部屋にいたのに貴重品の盗難に遭い、問い詰めても解決されなかった。

不衛生な環境が改善されない

キッチン、バスルームの管理がされず放置されていて、自分ばかり掃除することになった。キッチンの生ごみや洗い物が放置されていて、異臭がしたり自分が使えるスペースが限られる。ベッドバグ、ダニ、ゴキブリなどの虫が出て、オーナーに訴えても何も対処してもらえなかった。

トイレ・シャワーの水トラブル

頻繁にトイレとシャワーが故障するため、ほとんど使用できないのに状況が改善されない。自分がトイレを壊したと難癖をつけられ、高額な賠償を請求された。

宗教のトラブル

自分が使った食材がシェアメイトの信仰している宗教上禁止されていたので、共有の食器や調理器具が使えなくなったと咎められた。シェアメイトの礼拝時間があり、その度に部屋を追い出されることになった。

宗教に関しては、お互いの理解が大切!

不当な請求や退去要請

退去時にオーナーから部屋の損傷を自分の責任にされ、高額な請求をされた。些細なことや不当な理由で、急に退去を求められた。

ボンドが返金されない

事前に知らされていなかったのに、退去時に次に入居する人を見つけないとボンドを返せないと言われ、結局ボンドは返金されずにシェアハウスを出ることになった。ボンドやデポジットの返金を求めたら、受け取っていないと難癖をつけられ聞き入れてもらえなかった。

シェアハウスのトラブル対処法

シェアハウスでのトラブルを解決するには、自分でできることとできないことがあります。シェアメイトとのトラブルでは、自分が文化の違いや生活リズムの違いを受け入れなければならないこともあるでしょう。ただ自分の思い悩みすぎということもあるかもしれません。自分の努力次第ではどうにもできない場合は、別のシェアハウスに移るか、下記の問い合わせ先に相談してみるのがおすすめです。

もし、身の危険を感じるようなことがあった場合は、すぐに荷物をまとめて信頼できる友人宅やホステル、AIR B&Bなどに避難しましょう。

事前のインスペクション(内見)は絶対!

入居する前の詐欺被害や、入居時に部屋の不備に気づくというケースは、事前のインスペクションできちんと居住環境を確認しておくことで避けることができるでしょう。オーナーやシェアメイトと直接会っておけば、人物像が掴めて安心かもしれません。前回の記事では、インスペクションで確認すべきことをおさらいしています。参考にしてください。

お金のやり取りの際は必ず領収書をもらう

シェアハウスの契約時や家賃の支払いなど、オーナーとお金のやり取りをする機会は多いはずです。振り込みの場合は日時や金額の証拠が残りますが、現金でやり取りをする場合は必ず日付とサインの入った領収書をもらいましょう。分からないことは妥協せずきちんと質問して、契約内容はきちんと把握しましょう。

日付とサインを忘れずに!

日本の常識は通じない!

多国籍シェアハウスで共同生活をする場合、文化の違いに戸惑うこともあるでしょう。不満があるときは自分だけで思い悩まず、シェアメイトと積極的にコミュニケーションを取ることで、案外簡単に解決することもあるかもしれません。自分の常識内だけで考えず、海外で生活しているという意識を持って、時には受け入れることも必要です。

別のシェアハウスに移る

どうしても我慢できないことや、不満が聞き入れてもらえない場合、別のシェアハウスに移るのも一つの手段です。オーストラリアでの生活に慣れてくると、自分の友達や知り合いから良いシェアハウスを紹介してもらえることもあるので、インターネット上で探すより安心かもしれません。

シェアハウストラブル問い合わせ先

インターネット上で部屋を探して契約したシェアハウスの場合、自分にはどんな権利や義務があるのか分からないという人も多いでしょう。不当な賠償請求やボンドの未返金などのトラブルは、オーストラリアの政府機関や領事館へ問い合わせて、きちんと契約書や領収書の準備ができれば、オーナーに訴える際の大きな公的支援になります。自分だけで対処するよりも、仲裁者がいることでオーストラリアに来て間もない留学生やワーホリメーカーという不利な立場も解決されるでしょう。

政府機関/消費者センター

NSW州では「Consumer and Commercial Division of the NSW Civil and Administrative Tribunal(NCAT)」という機関に電話をすれば、シェアハウスのトラブルに関して一般的なアドバイスをしてくれます。「NCATに相談した」とオーナーに持ちかけるだけでも、効果があるかもしれません。

当事者同士での解決が難しいときは、オンライン上でNCATに申請すると、段階を踏んで話し合いや調停手続きを行ってくれます。NCATとの話し合いには通訳サービスもあるので、英語で状況説明をするのが難しいという方でも安心です。

各州に同様の政府機関や消費者センター、賃貸トラブルに関する専門機関があるので、まずはホームページを見て情報を集めるところから始めてみましょう。

NSW州

NSW Civil and Administrative Tribunal
WEB:http://www.ncat.nsw.gov.au
所在地:Level 14 Civic Tower 66 Goulburn Street, Sydney
電話:1300 006 228

NSW: Office of Fair Trading
WEB:https://www.fairtrading.nsw.gov.au/housing-and-property/property-professionals
電話:13 32 30

VIC州

VIC Civil and Administrative Tribunal
WEB:https://www.vcat.vic.gov.au/get-started/renting-a-home
所在地:55 King Street, Melbourne VIC 3000
電話:1300 01 8228

Consumer Affairs Victoria
WEB:https://www.consumer.vic.gov.au
121 Exhibition Street, Melbourne VIC 3000
電話:1300 558 181

QLD州

QLD Civil and Administrative Tribunal
WEB:https://www.qcat.qld.gov.au
所在地:Level 9, 259 Queen Street, Brisbane QLD 4000
電話:1300 753 228

The State of Queensland Residential Tenancies Authority
WEB:https://www.rta.qld.gov.au
住所:Level 23, 179 Turbot Street, Brisbane QLD 4000
電話:1300 366 311

QLD: Fair Trading
WEB:https://www.qld.gov.au/law/fair-trading
電話:13 74 68

ACT

ACT CIvil and Administrative Tribunal
WEB:https://www.acat.act.gov.au
所在地:Level 4, Moore Street, Canberra, 2601
電話:6207 1740

SA州

SA: Consumer and Business Services South Australia
WEB:https://www.cbs.sa.gov.au
電話:131 882

WA州

WA: Consumer Protection WA
WEB:https://www.commerce.wa.gov.au/consumer-protection
電話:1300 136 237

NT

NT: Consumer Affairs
WEB:http://www.consumeraffairs.nt.gov.au/Pages/default.aspx
電話:8999 1999

TAS州

TAS: Consumer Affairs and Fair trading
WEB:https://www.cbos.tas.gov.au/home
電話:1300 654 499 / (03) 6165 3400

領事館

インターネット上でシェアハウスを探して個人契約をしている場合は、領事館が実際にトラブル解決に向けて動くというのは難しいようです。ただ、領事館から他の案内先を紹介してもらえることもあるようなので、シェアハウスでの揉め事だけでなく、トラブルに巻き込まれて本当に困ったときは、領事館に問い合わせてみるのも選択肢のひとつでしょう。

在オーストラリア大使館
WEB:https://www.au.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
所在地:1123 Empire Circuit, Yarralumla, Canberra, 2600
電話:(02) 6273 3244

在シドニー総領事館
WEB:https://www.sydney.au.emb-japan.go.jp/index_j.htm
所在地:Level 12, 1 O’Connell Street Sydney NSW 2000
電話:(02) 9250 1000

在メルボルン総領事館
WEB:https://www.melbourne.au.emb-japan.go.jp/index_j.html
所在地:Level 25, 570 Bourke Street, Melbourne VIC 3000
電話:(03) 9679 4510

在ブリスベン総領事館
WEB:https://www.brisbane.au.emb-japan.go.jp/jp
所在地:Level 17, 12 Creek Street, Brisbane QLD 4000
電話:(07) 3221 5188

在ケアンズ領事事務
WEB:https://www.brisbane.au.emb-japan.go.jp/jp/about/cairns.html
所在地:Level 15 Cairns Corporate Tower, 15 Lake Street, Cairns, QLD 4870
電話:(07) 4051 5177

在パース総領事館
WEB:https://www.perth.au.emb-japan.go.jp/jp/index.html
所在地:U22 / Level 2 111 Colin Street, West Perth WA 6005
電話:(08) 9480 1800

Tenants’ Union(テナント・ユニオン)

Tenants’ Union(テナント・ユニオン)は、各州の住宅賃貸法に基づいてローカル機関から電話で法的アドバイスを提供しています。各地域によって問い合わせ先やサービス内容が違うので、ホームページから自分の地域を検索してみましょう。

NSW州

Tenants’ Union of NSW
WEB:https://www.tenants.org.au

VIC州

Tenants Victoria
WEB:https://www.tuv.org.au

QLD州

Tenants Queensland
WEB:https://tenantsqld.org.au

ACT

Tenants’ Union ACT
WEB:http://www.tenantsact.org.au

NT

Darwin Community Legal Service: Tenants’ Advice Service
WEB:https://www.dcls.org.au/legal-and-advocacy-services/tenants-advice

TAS州

Tenants’ Union of Tasmania
WEB:http://tutas.org.au

オーストラリアで充実したシェアハウス生活を!

オーストラリアの留学生、ワーホリメーカーの方から様々なシェアハウス関連トラブルが報告されていますが、オーストラリアのシェアハウス探しに疑い深くなる必要はありません! きちんとインスペクションに行って、気に入ったお家が見つかれば、信頼できるオーナーや友達が見つかる素敵な場になるはずです。

これまでオーストラリアでのシェアハウス探しから、シェアハウスのトラブル対処法まで、3回にわたってシェアハウス関連記事を掲載しています。オーストラリアに来たばかりの留学生やワーホリメーカーの方は、同記事を参考にしながら、安心して住めるシェアハウスを見つけて楽しいオーストラリア生活を送ってください!

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