今回は、これから新たに建築を始めるOff-the-Plan物件の購入について解説します。
Off-the-Plan物件を購入する場合、誰も住んだことのない新しい物件に住むことができるのは当然のこと、内装も好みのデザインを選択することが可能です。新築なので修繕費用もかからず、電気・ガス料金なども新しく効率的なシステムの導入により、低く抑えることができるでしょう。不動産の上昇サイクルに合えば、物件価格の上昇も期待できます。更に引き渡しまで時間があるので、支払いのための貯蓄を増やすことが可能です。
しかしながら、引き渡しまでの期間が長いということは様々な不確定要素が存在することに他なりません。
通常、契約書には予定竣工月が記載されていますが、資金繰りや行政組織との折衝、天候などを理由にプロジェクトの進捗が遅れ、竣工が予定より大幅に遅れることがあり、
更に、以下のようなリスクについても認識した上で購入を決定するべきでしょう。
完成していない物件に価値をつけるため、販売価格が適正であるかどうかを判断するのは非常に困難です。プロジェクトにより着工から竣工までの期間は数年に及ぶため、完成時の物件市場価格が契約価格よりも下がるリスクも認識する必要があります。
決済のための銀行融資確約を契約の時点で受けることは大変困難です。購入を決める際に銀行から仮のローン認可を受ける形となりますが、銀行は一般的に物件の鑑定評価ができる段階になるまで融資を確約せず、決済前に行なう評価額を基準に融資査定をするので、決済前の評価額が契約時よりも下がった場合、決済時に必要な資金に不足が生じることもあります。銀行金利の上昇で、返済金利が想定以上に増える可能性もあります。
また、失職などの理由で決済前になって仮融資許可が撤回されることもあり得ます。
契約の時点で購入価格の通常5-10%を契約金として収めますが、引渡しまでの長い期間、この契約金が売主側で保管されることになります。
また、売主が物件引渡し前に倒産した場合はこの契約金が返金されないこともあり得ます。
売主側はさまざまな建築申請手続きを行なう中で計画を変更せざるを得ないことも多くあります。そうした際、契約時と異なる仕上がりや仕様、更には物件面積まで一定の範囲内であれば買主の承諾なく変更できると謳っている契約も多々あります。
上記のような理由から、Off-the-Planでの購入では契約する前に契約書の精査が何よりも重要と言えるでしょう。
なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
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