賃貸借の手順
予算や場所、部屋数などの条件を決め、新聞の不動産欄で探すか、地元の不動産業者(Real Estate Agent)に直接出向いてみ
る。新聞の場合は、すぐ電話して下見(Inspection)の予約を取る。
不動産業者では店頭の物件案内を見るか、予算や条件を伝えて探してもらう。インターネットの物件紹介も充実している。
契約書にサインする
契約では、賃貸契約書(Residential Tenancy Agreement、Lease)の写し、契約時に支払う料金の一覧表などが渡される。賃貸契約書は契約条件と物件状態報告書(Condition Reports)の2部からなり、状態報告書には物件の状態や備品についての詳細が記入されている。契約書の特記事項欄(Special Conditions)に、不利な条件などが記載されていないか要注意。
契約時には、保証金(通称Bond。Residential Tenancies Fundに預託される)として通常4週間分の家賃、それに2〜4週間分の家賃の前払いと契約書作成費用の半額などが必要になる。保証金は賃貸契約終了時に払い戻されるが、部屋の汚れや破損状態によっては修理費分が差し引かれることがある。
シェア・アコモデーション
通常の賃貸物件のほかに、シェア(Share)をする方法もある。これは、学生や独身者、若いカップルなどが一軒家や大きなフラットなどを共同で借りるもので、各自の寝室以外は、リビング、キッチン、バス・トイレ、ランドリーなどを共同使用する。一般的に家賃、光熱費などは人数で割って負担する。部屋の賃貸名義人や持ち主が誰なのか、連絡先など確認しておくこと。Bondや部屋代の支払い時は必ず領収書をもらうようにする。
不動産を購入する
原則的に外国人の不動産取得が認められるのは、
①永住ビザを取得した移住予定者、
②一時居住者として1年以上滞在する者、
③市民権を取得した者、
④海外投資家への販売認可を得た新築物件を購入する場合、
⑤オーストラリア国内に役員用居宅を必要とする企業。
ただし一時居住者が住宅を取得した場合、帰国などで一時居住者でなくなったときには物件を売却しなければならない。詳細は、外資審議会(www.fi rb.gov.au)まで。●不動産購入の手続きと主な費用通常は弁護士や資格をもった専門家に契約手続きや物件の調査を代行してもらう。手続きはおよそ次のような手順となる。
①不動産業者や売り主から提示された契約書を弁護士が検討(または契約書を作成する)。クーリング・オフ(Cooling off )は5日間。
②弁護士あるいは専門家に依頼して、購入物件に欠陥がないか調査を行う。建築物報告書(Building Report)、害虫駆除報告書(Pest Control Report)など。
③問題がなければ本契約(Exchange Contract)を交わす。物件価格の10%を支払い、残金は6〜8週間後の決済時の支払いとなる。
④残金の決済、物件の引き渡し。
⑤弁護士による登記手続き。弁護士費用、印紙税などの支払い。
●取得時の主な費用
①物件価格、②契約書や権利証書の作成・確認や調査などの弁護士経費、③物件調査費用、④銀行諸経費、⑤印紙税。
●物件維持の主な経費
①地方税、②水道税、③土地税、④各種保険料、⑤フラットやユニットの維持・修繕のための積立金とその管理組合費、⑥賃貸物件への投資でその管理を委託する場合の経費、⑦借入金の利子負担。
また自宅の場合、光熱費や通信費など生活にかかる支出はもちろん、将来の増改築や修繕などの費用も考慮しなければならない。
●住居取得の政府補助金
初めて住居や土地を購入する人に対して、州政府が補助金を給付している。補助金額が$5,000から$15,000まで、また物件購入時の印紙税の免除など、いくつか種類がある。詳細は、州政府サイトまで。www.osr.nsw.gov.au/grants
ユニットを購入する
●ストラータとカンパニー・タイトル
ストラータ・タイトル(Strata Title)は、建物全体を入居世帯で分割し、そのユニット(Unit、Lot)を所有する形態。通常の不動産物件と同じく、自由に売買や賃貸を行うことができる。ユニットには管理組織(Owner's Corporate)があり、管理費と維持費の運用にあたっている。
カンパニー・タイトル(Company Title)は、土地と建物を個人会社が所有する形態で、不動産を直接買うのではなく、会社の株を買って株主として物件を所有する。株の賃貸や売買、譲渡を行う場合は、ほかの株主の同意が必要。
●オークション
購入希望者が多ければ値上がりする場合がある。また、希望最低価格(Reserve Price)に達しなければ落札されない。オークションに参加する際、業者から契約書を受け取り、事前に弁護士や専門家に内容確認と物件の調査を依頼する。
引越手続きと家具の処分
賃貸の場合、引越の2〜4週間前には不動産業者や家主に通知すること。その後、引越当日までに、住居の状態が調査される。入居時に提出したCondition Reportsと照合して備品や部屋の状態を点検するのだが、損傷が激しいとBondの返済額が減るばかりか、最悪の場合は追加料金を請求されることもある。
●各公共機関に住所変更を通知する
電気やガス、電話などの各機関に住所移転の手続きをすると、引越先に最終の請求書(Termination Bill)が送られてくる。この料金は、保証金(Deposit)と相殺され、差額は転居先へ小切手で返還されるか、転居後の請求で精算される。その他の機関への住所変更手続きも忘れずに。郵便局では一定期間、旧住所に届いた郵便物を転送してくれる転送サービス(MailRedirection)を行っているので利用しよう。
●大型家具を処分する
大型家具は運搬費用を考えると廃棄した方が安上がりな場合もあるが、オーストラリアはリサイクルが非常に盛んで、かなり古くても捨てずにセカンドハンド(中古)の商品として利用されることが多い。時間があるなら週末にガレージ・セールを行うのも方法だ。
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