基本情報

オーストラリアの自然災害を知る

オーストラリアでは毎年さまざまな種類の自然災害が発生します。特に、日本では珍しい熱波・森林火災は頻繁に発生し、死者・負傷者が多い自然災害として知られています。また、洪水・台風も大きな被害をもたらします。一方、日本で多発する地震は、オーストラリアでは頻度の少ない自然災害です。

日頃からオーストラリア国内の災害関連情報に注意し、被災に備えておきましょう。

オーストラリアの州ごとの気候

オーストラリアは南半球にある国で、北半球と季節が逆です。8つの州・準州に分かれ、ぞれぞれ気候が異なります。ほとんどの地域には四季があり、北部の熱帯地域は雨季と乾季に分かれています。

  • NSW州:冬でも過ごしやすい気候の晴天が続き、夏は太陽の日差しに恵まれています。
  • VIC州:天気が変わりやすく、特にメルボルンは一日の中に四季があるとも言われています。
  • ACT州:冬は夜になると氷点下まで冷え込み、オーストラリア・アルプスでは雪が降ります。夏は湿度が非常に低く、夜間の気候は爽やかです。他の地域に比べると雨が少ない地域です。
  • QLD州:亜熱帯気候で、ほぼ一年中温暖または暑い気候です。夏は降雨量が最も多く、雷雨や洪水も他州に比べ、多く発生します。
  • SA州:夏冬ともに気温に幅がありますが、冬は過ごしやすく、夏は雨が少なく乾燥しています。アデレードは州都の中で最も湿度が低く乾燥した地域です。冬は一部の地域で雪が降ることが稀にあります。
  • WA州:夏は暑く乾燥していて冬は穏やかです。夏に雨が降ることは稀ですが、冬は激しい雨や雷雨が発生することがあります。また、州の90%以上は森林火災が起こりやすい地域です。
  • TAS州:四季があり、1月と2月が最も乾燥しています。は南極から吹く南風で、オーストラリアで最も気温が下がります。首都ホバートは、州都の中でアデレードに次いで2番目に雨が少ない都市です。
  • NT準州:最北端は、雨季と乾季の2つのはっきりした季節に分かれています。5月~10月の乾季は、晴天の日中は暖かく乾燥していて、夜は涼しくなります。11月~4月の雨季は、高い湿度、モンスーンによる雨や嵐が特徴で、湿度は80%を超えることもあります。10月~12月は雷雨が発生する時期で、1月が最も雨の多い月です。

オーストラリアで身近な災害

熱波(Heatwaves)


出典:オーストラリア気象庁

オーストラリア気象庁では、特定の場所で平均気温を上回る日が数日間以上連続することを熱波と定義しています。熱波は命に関わる最も深刻な自然災害とされています。 熱波は、溜まった熱気を下げる降雨のない期間が長いと起こりやすく、熱波により停電や落雷に伴う山火事が各地で発生するなど、暑さ絡みの災害は年々深刻になっています。

オーストラリアの気候は、1910年に観測が始まって以来、平均1.4℃温暖化しており(すべての月で温暖化が観測)、日中と夜間の気温が上昇しています。その結果、熱波の頻度・強さ・期間も上昇し、猛暑日が増加しました。オーストラリアの夏は全土で気温が40度を超える日もあり、WA州では日中の気温が51度に達した記録もあります。SA州のアデレードはオーストラリアの州都の中で最も気温が上昇しており、極度の熱波による緊急警報も多く出されています。

内部リンク

熱波発生時の行動

森林火災(Brushfire)


出典:オーストラリア気象庁

森林火災はオーストラリアでは頻繁に発生する自然現象ですが、降雨量の減少や気温の上昇といった条件が重なると大規模化・長期化しやすくなり、甚大な被害をもたらします。

オーストラリアには年間を通じて、山火事が発生しやすい地域と季節があります。 北部では乾季の冬から春にかけて、南部では夏と秋が森林火災のピークです。これら自然環境以外の原因でも地域によっては時期に関係なく危険な森林火災が発生する可能性があります。

また、近年の気候変動下では、長時間の熱波や干ばつが発生する可能性が高く、激しい森林火災の原因となっています。森林火災のシーズンも長期化・拡大化しており、2019年3月〜2020年2月にかけて東南部で発生した大火災は、国民の8割に影響を与えるほどの規模だったと言われております。

サイクロン(Tropical Cyclone)


出典:オーストラリア気象庁

オーストラリアのサイクロンは、日本の台風(Typhoon)にあたります。通常11月〜4月にかけて発生する最大風速64ノット以上の熱帯低気圧のことを指します。オーストラリア周辺のサイクロンの発生個数は年間平均11個と、日本の台風の26.1個と比べて少ないですが、最も激しいサイクロンでは突風は時速280kmを超えることもあります。

サイクロンは強風・大雨・高潮をもたらし、時には人的・物的被害、洪水・沿岸低地の浸水や、落雷なども引き起こします。サイクロン発生の影響による、航空便の遅延や欠航、目的地の変更なども珍しくありません。

洪水(Flood)


出典:オーストラリア気象庁

オーストラリアでは頻繁に洪水が発生します。豪雨による洪水被害が多いのは主に大陸東部の沿岸部ですが、乾燥した内陸部でも浸水する場合があります。ブリスベン・ゴールドコーストを含むQLD州南東部からNSW州、VIC州東部にかけての約1,200kmにわたる海岸線では、鉄砲水や河川の氾濫・強風・高波による影響を特に大きく受けます。

オーストラリアでは干ばつ、豪雨、サイクロンの襲来など、世界的な異常気象の影響を受け、広範にわたる浸水被害が起きます。2011年1月初頭には、QLD州東南部ブリスベンから内陸にかけて大洪水に襲われ、約20万人が避難し、避難地域の水位が下がるまで1カ月かかりました。オーストラリアの人口が集中する東海岸一帯は河川が多く、度々洪水に見舞われています。2022年2月には長期にわたり局所的な豪雨に見舞われ、シドニーを含むオーストラリア東部で100年ぶり過去最大の豪雨・洪水が発生し、約50万人に避難指示が発令されたことも記憶に新しいでしょう。

内部リンク

洪水発生時の行動

落雷・雷雨(Lightning Strike)


出典:オーストラリア気象庁

オーストラリアの雷には、停電だけではなく交通網を完全に停止させるほどの破壊力があります。森林に落雷すると、山火事を引き起こします。日本と比べて建物に落雷する頻度も多く、避雷針の設置が義務付けられています。

オーストラリアでは毎年、落雷による負傷者が100人以上出ています。特にオーストラリア北部のダーウィンは雷多発地帯のひとつで、最盛期の12月~1月の落雷は1秒間に1回とも言われています。激しい豪雨に伴う落雷(Thunderstorms)も多く、2024年2月にもシドニーで4人が落雷の直撃によって重傷を負いました。

参照:在オーストラリア日本国大使館

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