基本情報

オーストラリアの犯罪を知る

オーストラリアは比較的治安の良い国ですが、日本と比べると犯罪は多く発生しています。オーストラリアにいる日本人の犯罪被害で最も多いのは、スリや置き引きなどの窃盗です。オーストラリア生活に慣れていくにつれて、所持品の管理が緩みがちになるので注意しましょう。

NSW州はオーストラリアの中でも犯罪発生率が高い地域です。特にシドニーの中心部では、キングスクロス地区やチャイナタウン地区などの繁華街で犯罪が多発し、シドニーの西部や南西部の郊外でも発生件数が増加しています。

オーストラリアで最も犯罪発生率が低いACT準州であっても、日本と比べると安全とは言えません。

若者による飲酒に起因した傷害事件が繁華街で頻繁に発生しているため、危険な場所には近寄らず、夜遅くに無用に外出しないなど、事件に巻き込まれないよう十分な注意が必要です。

オーストラリアで身近にある犯罪

詐欺

インターネットを介した振り込み詐欺が急増しています。携帯電話の通話・SMSからの誘引行為も多数報告されており、警察や政府機関を装ったものや公式サイトに酷似したウェブサイトを用いたものなど、手口が非常に巧妙化しています。ATO(国税庁)の職員と名乗る者から電話があり、「未払いの税金を今すぐ振り込まないと逮捕される恐れがある」などとして、金銭の振り込みを要求された事例も複数報告されています。

また、賃貸物件を巡る金銭トラブルが多発しています。日本を出発する前に賃貸先の入金を済ませて渡豪したものの、到着してみると部屋は実在せず家主とも連絡が取れないなどの事例があります。

強盗・暴行

店舗強盗、路上強盗、侵入強盗、車上強盗などは日本よりも多く発生しています。人目のつかないところで複数人に取り囲まれて所持金を強奪されたり、抵抗したところ殴る蹴るの暴行を受けるケースがあります。また、バスや電車を待っている間に暴行を受ける被害も報告されています。

深夜の時間帯は、パブやナイトクラブが多い繁華街で飲酒に絡んだ暴力事件が多発しています。酔客同士のトラブルは非常に多いので、巻き込まれないよう注意が必要です。また、州により規定は異なるものの、オーストラリアは公園など屋外の公共エリアでの飲酒は禁止されています。

スリ・置き引き

日本人が被害者となる事件で最も多いのは、スリや置き引きなどの窃盗被害です。観光客の集まるエリアや空港、ホテルのロビー、ビーチ、長距離バスなどは、特にスリや置き引きが多発する現場です。

荷物を床や椅子、テーブルに置いたまま手続きや会話に気を取られている間や、飲み物を取りに行ったり、トイレに行っている間に、気づいたら荷物がなくなっていたという報告は多くあるので注意しましょう。

シェアハウスでのトラブル

シェアハウスでの詐欺被害が増えています。よくある例として、シェアハウスの内見をせずにインターネット上で家主とやり取りをし、入居を決めて事前に支払いを済ませた後、連絡が取れなくなったり、実際には物件が存在しなかったり、別の人物が家主だったりするケースが挙げられます。

インターネットで購入した商品が自宅マンションの共有スペースに届けられた際、本人が受領するまでの間に中身の商品が抜き取られるという郵便物の盗難も報告されています。

また、バックパッカー向けゲストハウスにおける盗難、宿泊料を巡るトラブルなども発生しています。

車上ねらい

自宅のガレージやショッピングモール、ガソリンスタンド、公園、ビーチ、観光地、遊園地などでの車上ねらいが頻繁に発生しています。窓ガラスが割られたり切り取られたりして、車内の金品やカーナビなどが盗まれるほか、車そのものが盗まれるケースもあります。盗難車両が別の犯罪に使われる事例も多く見られます。

また、駐輪している自転車などの盗難も発生しているため、しっかりと施錠するようにしましょう。

空き巣

一戸建て・マンションの形態を問わず、空き巣は多発しており、犯人は主に無施錠個所やガラス窓を破って侵入しています。セキュリティ対策を施したアパートの上階でも、留守中にドアがこじ開けられて貴金属やOA機器が盗まれた事例があります。

また、郵送されるキャッシュカード、クレジットカードや個人情報を狙って郵便受け内を荒らす窃盗も多発しています。

家庭内暴力・性的暴力

日本人女性に対する強制わいせつや強姦未遂は身近な犯罪のひとつです。英語指導、食事、観光案内などで誘い出し、住宅や室内に連れ込まれて性的被害に遭った事例も少なくありません。

帰宅中に面識のない男に突然ナイフで切りつけられた事例、後ろから男に口や首を押さえつけられ、引きずり込まれて暴行を受けた事例、住み込み先のファームで農場主から被害に遭った事例なども過去に報告されています。 繁華街における飲酒や薬物絡みの暴行傷害事件、配偶者やパートナーからのDVの被害も増加しています。

違法薬物犯罪

覚せい剤、コカイン、大麻、合成麻薬といった違法薬物が広くまん延しています。繁華街の路上やクラブで違法薬物売買が行われ、中毒症状から常識では考えられない行動による犯罪も発生しています。

違法薬物には絶対に手を出さないでください。

労働法の違反

オーストラリアでは、移民労働者の搾取を犯罪とみなし、雇用主を法律で厳しく取り締まっています。ワーキングホリデービザや学生ビザなどの一時滞在ビザでも、正当な滞在を損なうことなく職場での権利を主張することができますが、一時滞在の移民労働者は他と比べて、不当に低賃金で働かされる可能性が2倍高いとされています。

最低賃金はフェアワーク委員会(Fair Work Ombudsman)によって毎年7月に見直されています。

オーストラリアでは観光ビザで働くことができません。適法な査証を受けないまま働いているところを移民局に拘束され、強制送還された事例もあります。自分のビザの条件や期限をよく確認し、ルールに従って行動しましょう。

検疫での違反

オーストラリアは出入国に関し、厳格な措置を講じています。動植物・食品・薬品・児童ポルノ関連・入国査証関連では日本よりも厳しい審査を受けることになります。

過去に小動物や植物の持ち出し、児童ポルノの持ち込みで税関当局から厳しい措置を受けた事例があります。特に、児童ポルノは間接的な児童虐待として厳しく罰せられるため、それらを保存したデバイスなども国内に持ち込めません。また、現金1万豪ドル以上の持ち込みには申告が必要です。

テロ・暴動

移民国家であるオーストラリアの中には、海外のテロ組織の影響を受け、これらに対して資金・物資調達などの後方支援を行う者や、自ら紛争地域に渡航してテロ組織とともに戦う、いわゆる外国人戦闘員となる者が一部存在しています。


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